ユーロドルは下抜けで下降局面入り(週報10月第1週)

先週のユーロでは、ドイツ総選挙実施後の政治空白期間とECB金融政策があいまり、ユーロ売りにつながりやすい環境が続きました。

ユーロドルは下抜けで下降局面入り(週報10月第1週)

ユーロドルは下抜けで下降局面入り

〇先週のユーロドル、ユーロ売り強まり週央に1.16割れ、年初来安値を更新
〇米長期金利の上昇、ドイツ総選挙後の政治空白長期化懸念がユーロ売り促す
〇テクニカルにはヘッドアンドショルダーの形成で、今後大きな下落の可能性
〇今週は4日のユーロ圏サービス業PMI、8日のレーンECB理事講演が市場の注目高い
〇今週は1.1490レベルをサポートに、1.1640レベルをレジスタンスとする流れか

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロは、前週末に実施されたドイツ総選挙において与党CDUが大敗、SPDが第1党となったものの735議席中206議席に過ぎず、CDUとはわずか10議席差とどちらも連立政権を組むことができる状況となりました。キーとなる第3党緑の党と第4党FDPの政策が全く異なるものの大連立(SPD+CDU)も考えにくい状況です。

今回も政党のシンボルカラー(第1党から順にSPD=赤、CDU=黒、緑=緑、FDP=黄色、AFD=青)とその組み合わせで、有力案としてSPDと緑の党、FDPによる信号機、CDUと緑の党、FDPであればジャマイカ(国旗の色)とどちらになってもおかしくはありませんので、中心となるSPDもしくはCDUが、残りの2つに対して魅力的な提案が出来るかどうかです。しかし冒頭にも書いた通りで政策が異なることからメルケル首相でさえ、これら両党との連立は実現できなかった経緯があります。

最新の状況では、まず緑の党とFDPで協議を行い、それから連立の中心となるSPD、CDUと協議を行うと述べています。今月中にまとまるような話ではありませんが、長期化することはユーロの上値を抑えることとなりますので、FRBよりも後にテーパリングの決定を行うであろうECBの金融政策(12月理事会で協議予定)ともあいまって、材料面ではユーロ売りにつながりやすい環境が続きます。

そして、先週ユーロ売りにつながったもう一つの要因はテクニカルです。テクニカルにユーロはかなり下げる可能性が出ていますので、週足チャートからご覧ください。

ユーロドルは下抜けで下降局面入り

昨年コロナショック後の安値を起点に水色の点線で示したようなヘッド&ショルダー型の反転パターンを長期的に形成し、先週の安値でネックラインとなる2020年後半の安値を下抜けたことで長期的に大きな下落の可能性がでてきました。

今年8月に年初来安値を更新した際には大きなダマシとなりましたが、その後改めてユーロが売られる動きとなったことを考えると、仮に今回もダマシになったとしても最終的にはユーロ売りに回帰する可能性が高いと考えられます。

日足チャートもご覧ください。

ユーロドルは下抜けで下降局面入り 2枚目の画像

ピンクの水平線が先ほどの週足で示したネックラインですが、現状はまだ同水準から下放れできないでいます。仮に青のラインで示した拡散型のもみあいだと仮定すると非常に難しい相場になってしまいますが、それは大きく反発してから考えれば良いことなので、いまは素直に下抜けを継続中と考え、戻りは9月高値と9月安値の23.6%戻し1.1644をやや超える程度と考えたいところです。

下値は週足で示した2020年安値と2021年高値の半値押しとなる1.1492が妥当な水準です。今週は1.1490レベルをサポートに、1.1640レベルをレジスタンスと、ユーロの下げが継続しやすい週を見ておこうと思います。

今週のコラム

今週はドルインデックスの週足チャートを見てみましょう。

ユーロドルは下抜けで下降局面入り 3枚目の画像

ドル円は昨年高値の上抜けにいったんは失敗しましたが、ユーロドルも含めて現在は米金利先高観によるドル高相場であると言えます。ドルインデックスのチャートも微妙な水準に来ていますので確認してみましょう。

昨年はコロナショック後の安値と年後半の戻しが同水準(黄色のラインマーカー)となっていて、その水準が2020年後半からの反転パターンのネックラインとなっています。
その水準は94.74ですが、先週のドルインデックス高値は94.52とかなり迫りました。テクニカルにはこのドルインデックスのネックライン上抜けがドル全面高のきっかけになる可能性が高いですから、しばらくは注視していたいと思います。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

10月4日(月)
**:** 中国市場休場(〜7日)

10月5日(火)
15:45 フランス8月鉱工業生産
16:50 フランス9月サービス業PMI
16:55 ドイツ9月サービス業PMI ☆
17:00 ユーロ圏9月サービス業PMI ☆
17:30 英国9月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏8月PPI

10月6日(水)
15:00 ドイツ8月製造業新規受注
17:30 英国9月建設業PMI
18:00 ユーロ圏8月小売売上高
**:** EUサミット

10月7日(木)
15:00 ドイツ8月鉱工業生産
15:45 フランス8月貿易収支
22:00 レーンECB理事講演 ☆
22:00 シュナ―ベルECB理事講演

10月8日(金)
15:00 ドイツ8月貿易収支
21:30 米国9月雇用統計 ☆

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

9月27日(月)
ユーロドルは東京市場では動きが見られませんでしたが、欧州市場序盤以降急速に売りが広がりました。これは前日のドイツ総選挙でSPDが16年ぶりに第1党となったもののCDUも196議席とわずかな違いであることから、どちらも連立政権を組むことができ組閣が難航し年内には困難と考えられることが主要因でした。ドイツにおける政治の空白期間長期化がユーロ売りの材料となり、ユーロドルは1.1684レベルの安値をつけ、その後買い戻しはでたものの上値が重たい地合いで引けました。

9月28日(火)
ユーロドルはドル円とともにドル高・ユーロ安の動きとなっていましたが、ユーロ円が底堅かったこともあって安値1.1668レベル近辺で横方向のもみあいを続けている時間が長かった印象でした。ユーロドルも年初来安値に4pips足りずとなりました。

9月29日(水)
ユーロドルは欧州市場に入り年初来安値を更新、その後も米金利上昇とともに一段安の動きとなり、テクニカルに重要なポイントとなっていた1.16水準をも割り込むこととなりました。ドイツの政局は年内ギリギリまで、場合によっては年を越す可能性もあることから長期的にもユーロが売られやすい流れとなってきました。

9月30日(木)
ユーロドルは欧州市場前場まで動きが鈍く1.16前後の狭い値幅でのもみあいを続けていました。欧州昼前にユーロポンドの実需売りが出たことをきっかけにユーロドルも下げ、前日安値を割り込むとNY市場ではユーロ円の売りが強まったことも重なって1.1563レベルまで水準を下げ、若干戻しての月末クローズとなりました。

10月1日(金)
ユーロドルはNY市場まではドル売りの動きから底堅い展開が続き、ドル円同様に前日までのユーロ売りに対して週末前のポジション調整が入っていた様子でした。特にユーロドルはテクニカルに下降トレンド入りしたと見る向きが多かったことから短期筋の売りも膨らんでいた様子で、週末前の積極的な取引は手控えられていました。

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