ドル円 短期的高値を見て調整先行(週報10月第1週)

先週のドル円は、前週FOMC後の利上げ思惑前倒しの流れから米金利上昇とともにドル買いが強まる動きとなりました。

ドル円 短期的高値を見て調整先行(週報10月第1週)

短期的高値を見て調整先行

〇先週のドル円、米金利上昇とともにドル買い強まる、木曜日に年初来高値を更新し112.08レベルへ
〇週末にかけて米金利低下、一時110円台へ入り込む
〇今週は米国雇用統計に関心が集まる、金曜日休場明けの中国の動きにも注目
〇テクニカルには上昇チャンネルの中、110円割れでは買いが出て、上げる時は昨年高値を超える動きか
〇今週は110.40レベルをサポートに111.50レベルをレジスタンスという流れ

今週の週間見通し

先週のドル円は、前週FOMC後の利上げ思惑前倒しの流れから米金利上昇とともにドル買いが強まる動きとなりました。木曜にはユーロドルと足並みを揃えドルの年初来高値を更新する動きとなりましたが、ドル円は昨年コロナショック前の高値112.23レベルに届かなかったこともあって、週末に向けてポジション調整が広がっての引けとなりました。

最近のドル高は、米金利上昇の影響が大きかったと言えますが、10年債利回りを見てもFOMC直前の1.296%から先週28日のNY市場では1.563%と0.267%の上昇となり、ドル円は素直に米金利上昇に沿った動きとなりました。週末にかけて米金利は1.462%まで低下する動きとともににわかロング勢の投げも加わって一時110円台へと入り込みました。

今週は月初ということで経済指標の発表が続きますが、注目度が高いのは金曜の米国雇用統計でしょうか。着実に失業率は改善してきているものの前回のNFP(非農業部門雇用者数)が予想から大きく下振れしていた(+23.5万)ことや、パウエルFRB議長が現在の雇用改善にまだ満足していないといった発言をしていることもあって、予想(コンセンサス+47.5万、予想幅+30〜65万)からどの程度乖離するのか、特にマイナス方向での乖離が気にされるところです。

そして、今週は月曜から木曜まで中国が休場となりますが、そうした中で今朝の香港取引所では寄りからエバーグランデの取引が停止されています。株式市場は日経平均を中心に下げていますが、昨日の香港のサウスチャイナモーニングポスト紙によると香港の銀行のエクスポージャーは17.9億米ドルと銀行資産の0.05%を占めているに過ぎないそうで、関係者によると影響はそれほど大きくないとのことですが、果たして実際はどうなのか中国の休場明けまで注意が必要という点で、今週は金曜に注目があつまりそうです。

テクニカルにはまず週足チャートを見てください。

短期的高値を見て調整先行

ドル円は年初来高値を更新し112.08レベルとコロナ前の高値まで15銭まで迫りました(チャートでは高値112.22と表示)。当然高値を試すだろうと思っていた参加者が多く、コストが悪いにわかロングが多かったこと、ザラバベースで水曜から木曜のチャートで反転パターンを形成しネックラインを下抜けたこともあって、木曜NY市場でドル円は反落、いったん高値更新を断念する動きとなりました。

今週はイベントもありますが、週足レベルの長いスタンスで考えるならば現在はピンクのラインで示したほぼ平行の上昇チャンネルの中での動きと考えることができ、110円の大台割れでは買いが出てくる流れ、上げる時には次は昨年高値をしっかりと超える動きというチャートに見えます。ただ、日柄的に上下に振れやすい時間帯にいることもあって、最初のトライは失敗した格好です。

日足チャートも見てみましょう。

週足チャートに示した上昇チャンネルにはかなり上下ともある感じです。週初の動きからするといったん下押しが先行しやすそうですが、既に先々週安値と先週高値との38.2%押しは達成していますので、目途となるのは半値押しの110.59、61.8%押しの110.24となります。先ほど日柄面で上下に振れやすいと書きましたが、テクニカルなターゲットも中途半端になりやすく、間の110.40あたりがサポートになる可能性を考えています。

いっぽうで短期的な高値は既に見てしまっているので、戻り売りがどの水準から出てくるかですが、111円台半ばといったところでしょうか。今週は110.40レベルをサポートに111.50レベルをレジスタンスという流れを見ておきます。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2021年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

10月4日(月)
**:** 中国市場休場(〜7日)
**:** 豪州夏時間取引開始
**:** 本邦新内閣発足
16:00 トルコ9月CPI ☆
23:00 (セントルイス連銀総裁講演)
23:00 米国8月製造業新規受注
**:** OPECプラス閣僚級

10月5日(火)
08:30 本邦9月東京区部CPI
09:30 豪州8月貿易収支
**:** 黒田日銀総裁講演
12:30 豪中銀政策金利発表 ☆
15:45 フランス8月鉱工業生産
16:50 フランス9月サービス業PMI
16:55 ドイツ9月サービス業PMI ☆
17:00 ユーロ圏9月サービス業PMI ☆
17:30 英国9月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏8月PPI
21:30 米国8月貿易収支
22:45 米国9月サービス業PMI
23:00 米国9月ISM非製造業景況指数

10月6日(水)
10:00 NZ中銀政策金利発表 ☆
15:00 ドイツ8月製造業新規受注
17:30 英国9月建設業PMI
18:00 ユーロ圏8月小売売上高
21:15 米国9月ADP全国雇用者数 ☆
23:30 週間原油在庫統計
**:** EUサミット

10月7日(木)
**:** 黒田日銀総裁講演
15:00 ドイツ8月鉱工業生産
15:45 フランス8月貿易収支
20:30 米国9月チャレンジャー人員削減数
21:30 米国新規失業保険申請件数
22:00 レーンECB理事講演 ☆
22:00 シュナ―ベルECB理事講演
24:45 (クリーブランド連銀総裁講演)
25:00 カナダ中銀総裁講演

10月8日(金)
08:50 本邦8月貿易収支(国際収支)
10:45 中国9月MarkItサービス業PMI ☆
15:00 ドイツ8月貿易収支
21:30 米国9月雇用統計 ☆
23:00 米国8月卸売売上高・在庫

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

9月27日(月)
週明けのドル円は111.00レベルにドル売りオーダーが入っていることや、前週後半の短期筋ドル買いの利食いも出てドル売りが先行しました。東京昼過ぎには110.54レベルの安値をつけたものの押し目買いも根強く、また欧州市場に入りユーロドルが下げる動きとともにドル円にも改めて買いが入り111.07レベルまで上昇、NY市場では111円を挟んで底堅い推移のままで引けました。

9月28日(火)
ドル円は上昇、NY市場朝方には高値111.64レベルと年初来高値まで2銭に迫りました。高値更新がお預けになったことでNY市場では111.23レベルまで利食いに押されたものの引けにかけては改めてドル買いが強まりました。

9月29日(水)
ドル円は東京前場に111.68レベルと年初来高値を更新した達成感が出たこと、また米金利がやや低下した動きも重なってその後は利食いの売りが目立ちました。欧州市場に入りユーロドルが年初来安値を更新、米金利が改めて上昇する動きとともにドル円も上昇、NY市場では112.05レベルと昨年コロナショック前の高値に迫る動きとなり、そのまま高値圏での引けとなりました。

9月30日(木)
ドル円は四半期末で動きが鈍ったこともあって東京から欧州市場まで111円台後半の狭い値幅で高値もみあいを続けました。NY市場が始まる前に112.08レベルと僅かに高値を切り上げましたが、昨年高値をトライできなかったことから利食い売り、実需のドル売り続き、ダウが大幅安となったことからリスクオフの円買いが強まりと、引けにかけて111.24レベルの安値をつけ安値引けとなりました。

10月1日(金)
ドル円は東京朝方に実需と思われるドル買いが出たものの上値は重く週末を前にドル売りが続く展開となりました。NY市場までは株式市場が重たかったこともドル円、クロス円での円買い材料となっていましたが、NY市場でダウが大幅高となっても反応は鈍く、前日までにドル高値圏で捕まった向きのポジション調整が続き、方向感が乏しいままでの週末クローズとなりました。



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