ドル高基調継続するも、短期は下押しに要注意(週報10月第1週)

先週のドル/円相場は、ドルが小高い。ザラ場ベースでは一時112.08円まで値を上げ、年初来高値を更新する局面なども見られたが、週末にかけて上げ幅を急縮小させている。

ドル高基調継続するも、短期は下押しに要注意(週報10月第1週)

ドル高基調継続するも、短期は下押しに要注意

〇先週のドル円、上方向にテクニカルポイントをブレーク、年初来高値更新の112円台に上昇するも続かず
〇週末にかけて一時110.91まで反落、111円を回復したレベルで越週
〇米債務上限問題、暫定予算案可決し米大統領が署名、10/1からの政府機関閉鎖は回避
〇今週、9月ISM非製造業景況指数、雇用統計等の米重要指標発表予定
〇ドル安・円高方向は110.91が目先のサポート、割り込めば110.60や110.25が視界内に
〇今週のドル円予想レンジ110.00-112.20

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、ドルが小高い。ザラ場ベースでは一時112.08円まで値を上げ、年初来高値を更新する局面なども見られたが、週末にかけて上げ幅を急縮小させている。

前週末は、実施されたドイツ総選挙の出口調査などで「SPDと与党CDU・CSUが大接戦」と報じられ、政権の行方が関心を呼ぶ。一方、日米豪印の首脳はNYで会合を開き、中国を念頭に「強制に屈せず」とする共同声明を発表していた。
そうした状況下、ドル/円は110.70円前後で寄り付いたのち、週間安値となる110.53円を示現。以降、月末30日にかけてはほぼ右肩上がりの展開で、年初来高値111.66円をはじめとするテクニカルポイントを次々ブレークし、112円台へと上伸している。しかし、昨年高値122.22円を目前に突然上げ渋ると、週末に掛けては一転してドル売り優勢に。一時1円を超える下落、110.91円まで軟化したのち、週末NYは辛うじて111円を回復したレベルで越週した。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「日本の政局」と「米国情勢」について。
前者は、9月29日に行われた菅首相の後継者を決める自民党総裁選が話題に。日経新聞などが事前に「1回目の投票で決着がつかず決選投票となるのが確実な情勢」と報道、かなりの混戦を見込んでいた通り、「大本命」と目された河野氏が国会議員票3位に沈むなど大波乱ではじまる。ただ、最終的には決選投票で岸田氏が勝利をおさめ、新総裁に決定。その後は自民党役員や新内閣への人事が関心を集めるなか、複数メディアで金融・為替政策への影響も大きい財務相については「鈴木元五輪相」が内定、外相は「茂木氏続投」と報じられていた。

対して後者は、「ボストン連銀総裁とダラス連銀総裁の2人がそれぞれ辞任を表明」したことや、上院銀行委公聴会で、民主党のウォーレン議員が「パウエルFRB議長の再任は支持しない意向」を声高に表明したことなどが思惑を呼ぶ。そうしたなか、週間を通した最大のトピックスは、時間切れギリギリまで縺れた「米債務上限問題」か。情勢が二転三転するなど、今回も期限切れをにらみハラハラさせられたが、最終的には米上下院で暫定予算案を可決したことに続き、バイデン米大統領が署名。10月1日からの政府機関閉鎖はなんとか回避されている。

<< 今週の見通し >>

先週のドル/円は、上方向のテクニカルポイントを次々ブレーク。年初来高値を更新し112円台まで一時上昇したものの、結局続かなかった。週末に掛けて急失速、1円を超える調整的下押しも観測されている。ちなみに、先週末に掛けてのドル安値は110.91円で、これは一連のドル高が始まった安値109.11円を起点とした上げ幅のフィボナッチ38.2%戻し110.95円に近い水準だ。第一波という意味では、なかなか良いレベルで下げ止まったのかもしれない。
マーケットで、もっとも注視されているものは依然として米金利動向だが、先月後半のFOMCで利上げ開始時期の前倒し示唆もあり、米長期金利は上昇基調。対して、日本の金利は到底上がっていくような環境にない。もちろん、相場の変動要因は金利差だけでないものの、対円でドルを積極的には売りにくい状況にあることは間違いなさそうだ。ドルは基本的に底堅いイメージながら、「新型コロナ」や「北朝鮮情勢」などのほか、引き続き「中国恒大リスク」も取り沙汰されており、マーケットのリスク志向が一段と強まると、その限りではないだろう。

テクニカルに見た場合、ドル/円は112円台を示現したのち、1円を超える下押しが観測されているものの、
基本的なリスクは依然としてドル高方向か。昨年高値の112.22円や一昨年高値112.40円を目指すという流れに変化はないもよう。
しかし、短期的にはもう一段の調整が入っても不思議はなく、その場合のターゲットを前述したフィボナッチで考えると38.2%戻しは110.95円、同半値戻しは110.60円、同61.8%戻しは110.25円となる。注意しておきたい。

材料的に見た場合、中長期的には、「電力不足問題」や「恒大リスク」など次々に問題が噴出する「中国情勢」や、「新型コロナ関連」、「北朝鮮情勢」。そして、4日には岸田新内閣の閣僚が正式決定する「日本の政局」−−などが注視されている。
そうしたなか今週は、9月のISM非製造業景況指数や同雇用統計といった重要な米経済指標が発表される予定だ。また、先週ほどではないものの、今週も米地区連銀総裁らの発言機会が多く、要人発言には一応注意しておきたい。

そんな今週のドル/円予想レンジは、110.00-112.20円。ドル高・円安については、111円半ばなどにも抵抗はあるが、先週示現した年初来高値の112.08円をめぐる攻防が最大のポイントに。ただ、超えても抵抗は多く上値は重そう。
対するドル安・円高方向は、フィボナッチポイントにも近い先週安値の110.91円が目先のサポート。それを割り込むと110.60円や110.25円などが意識される展開か。

ドル高基調継続するも、短期は下押しに要注意

ドル円日足


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