トルコリラ円見通し 利下げショック一服で下げ渋りの持ち合いだが下放れを警戒(21/10/4)

10月1日夜高値は12.60円にとどまって9月30日夜高値には届かずに売られ、1日午後と深夜の12.50円割れは買い戻されて持ち合いの範囲にとどまった。

トルコリラ円見通し 利下げショック一服で下げ渋りの持ち合いだが下放れを警戒(21/10/4)

トルコリラ円見通し 利下げショック一服で下げ渋りの持ち合いだが下放れを警戒

〇トルコ円、10/1高値は12.60にとどまり前日夜高値に届かず、その後売られるも持ち合いの範囲
〇対ドル、10/1夜に8.80まで戻したが再び売られ、一段安に入った状態にとどまって越週
〇本日発表の9月トルコ物価上昇率に注目集まる、結果次第では追加利下げの圧力高まる可能性
〇トルコ円、9/27安値12.42以降は揉み合い、急落一服で下げ渋っているが下放れに入る懸念も
〇12.62を超えて続伸に入れば12.65から12.70を試す可能性もあるが、戻り売りにつかまりやすいとみる
〇12.48割れからは9/27安値12.42試しへ向かい、安値更新からは12.25から12.00を目指す流れとみる

【概況】

トルコリラ円の10月1日は12.60円から12.48円の取引レンジ、2日早朝の終値は12.52円で前日終値12.50円から0.02円の円安リラ高だった。
9月23日のトルコ中銀による利下げ強行を嫌気して売られ、9月27日午後に12.42円へ続落して6月2日安値12.44円を割り込んだが、利下げショックによる売り一巡からいったん買い戻され、9月28日以降は9月30日夜高値12.624円まで戻り高値を若干切り上げたものの12.60円を超えるところは戻り売りにつかまり12.50円以下は買い戻される持ち合いの様相で騰落を繰り返しているが、10月1日夜高値は12.60円にとどまって9月30日夜高値には届かずに売られ、1日午後と深夜の12.50円割れは買い戻されて持ち合いの範囲にとどまった。

【対ドルでの下落一服だが一段安状態から抜け出せず】

ドル/トルコリラの10月1日は8.90リラから8.80リラの取引レンジ、2日早朝の終値は8.85リラで前日終値の8.88リラからは0.03リラのドル安リラ高となった。トルコ中銀による利下げショックによる急落で9月30日未明には8.9557リラまで史上最安値を更新したが、売り一巡とドル高の一服感でひとまず下げ渋りからやや戻しているところだが、1日夜に8.80リラまで戻したところは再び売られており、6月25日高値を割り込んで一段安に入った状態にとどまって週を終えた。
米長期債利回りが9月28日をピークに低下に転じており、10月1日はドルストレートにおいては総じてドル安となりユーロやポンドの動きは鈍かったものの南アランドや豪ドル等が対ドルで上昇したことがドル/トルコリラには支えとなった。

【10月4日の物価上昇率に注目】

今週は10月4日16時に9月のトルコ物価上昇率の発表がある。
9月23日の利下げにより現状の政策金利である週間レポレートは18.00%となった。これに対して8月の消費者物価上昇率の前年同月比は全体が19.25%、コア指数が16.8%だった。9月については全体で19.7%へさらに上昇すると市場は予想しており、18.9%台への低下予想もあるものの20%を超える予想もある。コア指数についての市場予想はロイター等では集計されていない。

8月の生産者物価上昇率は前年同月比で45.52%の上昇だった。原油相場の上昇や感染拡大による世界的な物流のアジア拠点での停滞等が物価高騰を招いており、生産者物価の高騰が消費者物価上昇を上ブレさせる状況が継続していることを踏まえれば9月の消費者物価も全体及びコア指数で上昇しても不思議ないところだ。
消費者物価コア指数が政策金利の18%を超えない範囲にとどまればトルコ中銀としても利上げを余儀なくされることはなかろうが、8月からさほど変わらない程度の水準で高止まりなら、政策金利の引き上げ余地もあるために、大統領による追加利下げの圧力も高まる可能性がある。コア指数の上昇で政策金利に対する余裕がなくなるケース、コア指数横ばいで追加利下げの可能性が示唆されるケース、いずれもリラ売り再開へのトリガーとなりかねないところとして注意したい。

【トルコリラ円は下げ一服で12.50円を挟んだ横ばい】

【トルコリラ円は下げ一服で12.50円を挟んだ横ばい】

トルコリラ円は今年3月のアーバル前総裁(三度の利上げで昨年11月6日の史上最安値12.03円から今年2月高値15.26円まで円安リラ高を演出)解任から急落して今年6月2日に12.44円まで下落したが、アーバル総裁後に就任したカブジュオール現総裁が「物価上昇率を下回るような利下げはしない」と繰り返し強調して市場を落ち着かせたことで上昇に転じ、9月2日には13.32円まで持ち直してきた。しかし6月2日にフラッシュクラッシュ的な急落が発生したのはエルドアン大統領による利下げ要求発言であり、大統領は「低金利がインフレを抑える」「物価上昇率と政策金利の一桁を目標とする」という姿勢を繰り返し示してきた。
8月も大統領による利下げ圧力が続いていたが、9月8日にカブジュオール中銀総裁が「政策金利の判断目安としての物価指数はコア指数とする」旨を発言したことから利下げの可能性が警戒されて下落に転じ、9月16日のエルドアン大統領が早期の利下げ催促発言を行ったことで一段安に陥り、9月23日に市場予想が政策金利据え置き予想だったところでトルコ中銀が利下げに踏み切ったことでショック安となった。

9月27日安値12.42円以降は日足チャートで見れば12.50円を挟んだ揉み合いであり、12.60円を超えるところでは売られて日足の上ヒゲが目立つ状況にある。急落一服で下げ渋っているものの横ばい程度の動きであり、安値を出し切ったという印象には至らず、横這い型の持ち合いから下放れに入る可能性が懸念される姿だ。仮に安値更新に入れば昨年11月6日の史上最安値12.03円まで下値支持線は見当たらず、ドル/トルコリラがすでに史上最安値を更新していることを踏まえればトルコリラ円も史上最安値更新を試して行く流れへ進みやすくなると思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)現状は12.50円を挟んだ持ち合いであり、12.60円台序盤を上値抵抗帯、12.50円から12.48円前後までを下値支持帯としている。
(2)12.62円を超えて続伸に入れば12.65円から12.70円を試す可能性も出てくるが、上昇は一時的として戻り売りにつかまりやすいとみる。
(3)12.48円割れからは9月27日安値12.42円試しへ向かい、安値更新からは12.00円台序盤(12.25円から12.00円)を目指す流れとみる。

【当面の主な予定】

10月04日
 16:00 9月 消費者物価指数 前月比 (8月 1.12%、予想 1.35%)
 16:00 9月 消費者物価指数 前年同月比 (8月 19.25%、予想 19.7%)
 16:00 9月 消費者物価コア指数 前月比 (8月 0.4%)
 16:00 9月 消費者物価コア指数 前年同月比 (8月 16.8%)
 16:00 9月 生産者物価指数 前月比 (8月 2.77%)
 16:00 9月 生産者物価指数 前年同月比 (8月 45.52%)
10月07日
 20:00 外貨準備高(グロス) 10/1時点 (9/24時点 828.4億ドル)

10月11日
 16:00 8月 失業率 (7月 12.0%)
 16:00 8月 経常収支 (7月 -6.83億ドル)
10月12日
 16:00 8月 鉱工業生産 前月比 (7月 -4.2%)
 16:00 8月 鉱工業生産 前年同月比 (7月 8.7%)
 16:00 8月 小売売上高 前月比 (7月 0.7%)
 16:00 8月 小売売上高 前年同月比 (7月 12.3%)

10月21日
 20:00 トルコ中銀の次回金融政策決定会合


注:ポイント要約は編集部

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