トルコリラ円見通し 12.60円台で上値重く、3日連続で上ヒゲ陰線(21/10/1)

トルコリラ円の9月30日は12.62円から12.48円の取引レンジ、10月1日早朝の終値は12.50円で前日終値の12.52円からは0.02円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し 12.60円台で上値重く、3日連続で上ヒゲ陰線(21/10/1)

トルコリラ円見通し 12.60円台で上値重く、3日連続で上ヒゲ陰線

〇トルコ円、新たな安値更新は回避するも、12.60台で戻り売りにつかまり上値重く、日足は3日続落
〇対ドル、ドル高一服感によりややリラ売りが落ち着いた印象だが、9/30戻り高値8.84リラにとどまる
〇史上最安値更新の流れはまだ継続中か
〇9/29露土首脳会談実施、露との関係性問題視されれば新たなリラ売りの材料となる可能性も
〇12.57以下での推移中は下向きとし、9/30昼安値12.48割れからは12.43から12.40を試すとみる
〇12.57超えからは12.62試しとし、12.63台へ乗せるところからは12.65から12.69を目指す流れとみる

【概況】

トルコリラ円の9月30日は12.62円から12.48円の取引レンジ、10月1日早朝の終値は12.50円で前日終値の12.52円からは0.02円の円高リラ安だった。
6月2日安値12.44円と6月21日安値12.48円をダブル底として上昇期に入り9月2日には13.32円まで高値を切り上げてきたが、9月8日の中銀総裁による「政策金利の判断目安としての物価指数はコア指数とする」旨の発言から利下げの可能性が警戒されて下落に転じ、9月16日のエルドアン大統領による利下げ催促発言から一段安となり、9月23日にトルコ中銀が政策金利を従来の19.0%から18.0%へと引き下げたことで12.50円を割り込み、9月27日には12.42円まで安値を切り下げて6月のダブル底を割り込んだ。
9月27日安値の後は新たな安値更新を回避しているが、12.60円台では戻り売りにつかまって上値が重く、ここ3日間の日足は上ヒゲの陰線で終値ベースでは9月28日から3日間の続落となっている。

【対ドルでの下落一服】

ドル/トルコリラの9月30日は8.93リラから8.84リラの取引レンジ、1日早朝の終値は8.88リラで前日終値の8.91リラからは0.03リラのドル安リラ高だった。
9月23日のトルコ中銀による利下げ強行から急落して史上最安値更新に入り、9月30日未明には8.9557リラまで最安値を更新してきた。30日の日中から夜にかけてはユーロドルが一段安したもののポンドドルの下げ渋りや豪ドル米ドルの反発やドル円の急落によりドル高一服感が出たことでリラ売りもやや落ち着いた印象だが、30日深夜の戻り高値は8.84リラにとどまって高値切り下がり傾向の範囲にあり、30日の高安レンジも29日の高安レンジ内にとどまっており、史上最安値更新の流れはまだ継続中という印象だ。

【露土首脳会談、対米での緊張感再び高まるか】

トルコのエルドアン大統領は9月29日にロシア南部のソチでロシアのプーチン大統領と首脳会談を行ったが、帰路の機中で同行メディアの取材に応じて「首脳会談ではトルコ国内での原発建設や宇宙開発分野での協力について意見交換した」とし、「ロシアとの軍事協力をより高い次元に引き上げることを協議した」と述べた。

トルコは北大西洋条約機構(NATO)加盟国だが、トルコがロシア製地対空ミサイルシステムS400を導入したことで米国との関係が悪化、トランプ政権時代はトランプ氏とエルドアン氏の関係は良好だったことでトルコへの制裁も軽微で形式的なものだったが、バイデン大統領はかつてエルドアン大統領を独裁者呼ばわりしており就任からは両国関係の悪化が懸念されてきた。米国はトランプ政権時代に最新鋭ステルス戦闘機F35の共同開発計画からトルコを排除したことでトルコはロシアとの関係を強化している。天然ガスのパイプラインでもトルコとロシアは共同しており、天然ガス価格の暴騰により欧州で混乱が起きているもののトルコでは安定供給が実現している。

トルコは9月23日の中銀による利下げ強行で金融市場からの信頼を失いつつあるが、地政学的リスク問題についても今後のロシアとの関係性から再び問題視され始めるようだと、新たなリラ売りの材料となりかねないと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、9月27日午後安値から12.55円超えへ戻したために28日午前時点では27日午後安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして28日夕から30日夕にかけての間への上昇を想定した。29日午前時点では28日午後高値でサイクルトップを付けて弱気サイクル入りとしたが、29日深夜に28日午前高値をわずかに超えてから失速し、30日夜への反騰で29日深夜高値をわずかに超えてから再び失速する乱調な展開が続いている。
このため、9月30日昼安値12.48円を割り込む場合は30日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして10月5日昼から7日昼にかけての間への下落を想定する。30日夜高値を上抜き返す場合は30日昼安値ないしは直前安値をボトムとした強気サイクル入りとして10月4日夜から6日深夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では1日未明への下落で先行スパンから転落しているので、先行スパンを上抜き返せないうちは一段安余地ありとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とするが、先行スパンを上抜き返す場合は上昇再開の可能性ありとみて遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は1日未明への下落で40ポイントを割り込んだがその後はやや戻している。50ポイント以下での推移中は20ポイント台への一段安余地ありとするが、50ポイント超えから続伸に入る場合は上昇再開と仮定して70ポイントに迫る上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、9月30日昼安値12.48円を下値支持線、30日夜高値12.62円を上値抵抗線とする。
(2)12.57円以下での推移中は下向きとし、30日昼安値割れからは12.40円台序盤(12.43円から12.40円)を試すとみる。12.40円以下は反騰注意とするが、12.50円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)12.57円超えからは12.62円試しとする。12.62円では戻り売りにつかまりやすいとみるが、12.63円台へ乗せるところからは12.60円台後半(12.65円から12.69円)を目指す流れとみる。また12.60円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

10月01日
 16:00 9月 イスタンブール製造業PMI (8月 54.1)
10月04日
 16:00 9月 消費者物価指数 前月比 (8月 1.12%)
 16:00 9月 消費者物価指数 前年同月比 (8月 19.25%)
 16:00 9月 消費者物価コア指数 前月比 (8月 0.4%)
 16:00 9月 消費者物価コア指数 前年同月比 (8月 16.8%)
 16:00 9月 生産者物価指数 前月比 (8月 2.77%)
 16:00 9月 生産者物価指数 前年同月比 (8月 45.52%)
10月07日
 20:00 外貨準備高(グロス) 10/1時点 (9/24時点 828.4億ドル)

10月11日
 16:00 8月 失業率 (7月 12.0%)
 16:00 8月 経常収支 (7月 -6.83億ドル)
10月12日
 16:00 8月 鉱工業生産 前月比 (7月 -4.2%)
 16:00 8月 鉱工業生産 前年同月比 (7月 8.7%)
 16:00 8月 小売売上高 前月比 (7月 0.7%)
 16:00 8月 小売売上高 前年同月比 (7月 12.3%)

10月21日
 20:00 トルコ中銀の次回金融政策決定会合


※ポイント要約は編集部

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