トルコリラ円見通し 対ドルで史上最安値更新だがドル円の連騰で持ち合いにとどまる(21/9/30)

トルコリラ円の9月29日は12.61円から12.49円の取引レンジ、30日早朝の終値は12.52円で前日終値の12.54円からは0.02円の円高リラ安となった。

トルコリラ円見通し 対ドルで史上最安値更新だがドル円の連騰で持ち合いにとどまる(21/9/30)

対ドルで史上最安値更新だがドル円の連騰で持ち合いにとどまる

〇トルコ円、ドル円連騰の円安で新たな安値更新回避するも30日未明には12.50割れまで反落
〇ドルトルコリラ、30日未明に8.9557へとさらに最安値更新、その後も最安値近辺に
〇4か月サイクルの底形成期は10月後半と想定、当面は史上最安値12.03を試す流れか
〇12.55以上での推移なら上昇余地あり、29日深夜12.61前後は戻り売りにつかまりやすい
〇12.50割れからは下向き、9/27安値12.42試し、12.42割れからは12.30台後半を試す流れ

【概況】

トルコリラ円の9月29日は12.61円から12.49円の取引レンジ、30日早朝の終値は12.52円で前日終値の12.54円からは0.02円の円高リラ安となった。
9月23日のトルコ中銀による予想外の利下げ強行から一段安に入り9月27日には12.423円まで安値を切り下げたが、その後は対ドルでトルコリラの史上最安値更新が続く中でドル円が連騰して7月2日高値を超える上昇となったことでの円安に支えられたために新たな安値更新を回避しているが、12.60円台へ乗せたところでは戻り売りにつかまる状況で、29日も夜高値で27日安値以降の戻り高値をわずかに超えたものの30日未明には12.50円割れまで反落している。

【対ドルでの下落一服】

ドル/トルコリラの9月29日は8.95リラから8.81リラの取引レンジ、30日早朝の終値は8.91リラで前日終値の8.86リラからは0.05リラのドル高リラ安となった。
9月23日のトルコ中銀による利下げ強硬からの急落で8.7998リラをつけて従前の史上最安値だった6月25日の8.7992リラを割り込み、27日には8.8949リラへ続落したが、30日未明には8.9557リラへとさらに最安値を更新、その後も最安値近辺にいる。
9月29日はドル全面高の様相でユーロドルが年初来安値を更新、ポンドドルが6月1日以降の安値を更新、豪ドル米ドルやNZドル米ドルが9月3日以降の安値を更新、ドル円が年初来高値を更新するなどドル全面高の様相であり、ドル/トルコリラとしてはトルコ中銀の利下げ強行による金融政策への不信感でのリラ売りに加えて全般的なドル高がかぶさる形であり、最安値を更新してもなお値頃感を持てない状況にある。

【概ね4か月周期の底打ちサイクルにおける底形成期】

トルコリラ円は概ね4か月前後の底打ちサイクルで推移している。昨年11月6日の史上最安値から4か月目の3月8日安値、そこから3か月半となる6月21日安値(6月2日安値とのダブル底、終値ベースでは6月21日が安い)で前回の底を付けて上昇してきた。9月2日高値で13.32円を付けたところで上昇が一巡、9月8日のカブジュオール中銀総裁による「政策金利の判断基準にはコアCPIを採用」する旨の発言、9月16日のエルドアン大統領による利下げ催促発言、9月23日の利下げ強行とリラ売り材料が続いて大幅下落となり、既に6月2日と6月21日の両安値によるダブル底ラインも割り込んできている。

6月21日安値を基準として4か月サイクルの底形成期は早ければ9月末となるが平均的には10月後半と想定されるためまだ日柄的な下げ余地があると思われる。円安による底上げ効果でトルコリラ円は昨年11月6日の史上最安値12.03円割れには至っていないものの、10月4日の物価上昇率発表から追加利下げの可能性が高まる場合にはリラ売りに拍車がかかる可能性があるところとみて当面は4か月サイクルの底形成期として史上最安値を試す流れと考える。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、9月27日午後安値から12.55円超えへ戻したために28日午前時点では27日午後安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとした。またトップ形成期は23日夕高値を基準として28日夕から30日夕にかけての間と想定した。9月28日午後高値から反落していたために29日午前時点では既に28日午後高値でサイクルトップを付けて弱気サイクル入りしているとしたが、29日深夜に28日午前高値をわずかに超えてから失速したため、直近のサイクルトップを29日深夜高値へ改めて弱気サイクル入りとする。ボトム形成期は30日午後から10月4日午後にかけての間と想定されるのでまだ一段安警戒とし、強気転換は29日深夜高値超えからとする。

60分足の一目均衡表では9月29日深夜高値からの反落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落しつつあるので、遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。先行スパンを上抜き返す場合は上昇再開の可能性もあるとみて29日深夜高値試しとするが、一時的に先行スパンを超えてもその後に先行スパンから転落するところからは下げ再開とみる。
60分足の相対力指数は40ポイントから60ポイントまでの範囲内で横ばい推移だが、28日午前高値から29日深夜高値への高値切り上げに際しては指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられるため、60ポイント超えへ上昇できないうちは30ポイント割れへの一段安を警戒する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、9月27日安値12.42円を下値支持線、29日深夜12.61円を上値抵抗線とする。
(2)12.55円以上での推移なら上昇余地ありとするが12.61円前後は戻り売りにつかまりやすいとみる。12.62円超えからは12.65円試しとするが12.62円以上は反落警戒圏とみる。
(3)12.50円割れからは下向きとして12.42円試しとし、12.42円割れからは12.30円台後半(12.40円から12.35円)を試す流れとみる。12.40円以下は反騰注意とするが、12.50円以下での推移なら1日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

9月30日
 16:00 8月 貿易収支 (7月 -42.8億ドル)
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合議事要旨
 20:30 週次 外貨準備高(グロス) 9/24時点 (9/17時点 814.2億ドル)
10月01日
 16:00 9月 イスタンブール製造業PMI (8月 54.1)
10月04日
 16:00 9月 消費者物価指数 前月比 (8月 1.12%)
 16:00 9月 消費者物価指数 前年同月比 (8月 19.25%)
 16:00 9月 消費者物価コア指数 前月比 (8月 0.4%)
 16:00 9月 消費者物価コア指数 前年同月比 (8月 16.8%)
 16:00 9月 生産者物価指数 前月比 (8月 2.77%)
 16:00 9月 生産者物価指数 前年同月比 (8月 45.52%)

10月21日
 20:00 トルコ中銀の次回金融政策決定会合

※ポイント要約は編集部

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