ドル円見通し 連騰は6日でストップ、高値警戒感で7日ぶりの反落(21/10/1)

ドル円は9月30日夜に112.07円まで高値を伸ばしていたが10月1日早朝には111.22円まで反落した。

ドル円見通し 連騰は6日でストップ、高値警戒感で7日ぶりの反落(21/10/1)

ドル円見通し 連騰は6日でストップ、高値警戒感で7日ぶりの反落

〇ドル円、9/30夜に112.07まで高値を伸ばすも、10/1早朝には111.22まで反落
〇NYダウ急落・米長期債利回り上昇一服感により、7日ぶりに反落
〇米下院12/3までのつなぎ予算案可決、政府機関の一部閉鎖等回避の見通しだがデフォルトへの不安残る
〇ドル高一服感が出ているが、ドル全面安へ変わるような動き見られず
〇111.65以下での推移中は下向きとし、111.22を割り込むところからは110.75前後への下落を想定する
〇111.75超えからは上昇再開と仮定して、9/30夜高値112.07試しへ向かうとみる

【概況】

ドル円は9月30日夜に112.07円まで高値を伸ばしていたが10月1日早朝には111.22円まで反落した。
9月15日夜安値109.09円と9月22日午前安値109.11円をダブル底として反騰に転じ、9月22日から9月29日まで6日連続の日足陽線で大上昇となり、7月2日高値111.65円を超えて年初来高値を更新、30日未明に112.04円を付けて昨年2月20日高値112.21円以来の112円台に到達し、30日夜も高値を若干切り上げていた。しかしNYダウが米連邦政府の債務上限問題が未解決の中で500ドル安を超える急落となり、米長期債利回り上昇も一服感がでたことでドル円としても112円到達に対する高値警戒と利益確定売り優勢の市場心理となって失速した。
112円到達へ一段高する前の29日夕安値111.19円割れには至らず、10月1日午前序盤はやや買い戻されているが111円台前半にとどまっている。

【米長期債利回りは連騰に一服感、株安】

9月30日の米長期債利回りは総じて低下。10年債利回りは一時1.56%まで上昇していたが前日比0.03%低下の1.49%に終わり、30年債利回りも同0.01%低下の2.05%、2年債利回りも0.01%低下の0.28%となった。株安に対して債券への安全資産買いが入ったことで利回りも抑えられた印象。
NYダウは前日比546.80ドル安と下落した。8月16日に史上最高値を付けたところから9月20日まで大幅下落し、いったんは9月27日まで戻していたが9月28日に前日比569.38ドル安と大幅下落、9月29日は下げ渋ったものの戻り幅は100ドルに満たず、30日に再び500ドル安を超える下落となった。ナスダック総合指数も前日比63.86ポイント安で9月24日からは5日続落となった。

米上院は12月3日までの連邦政府のつなぎ予算案を可決したことで政府機関の一部閉鎖等は回避される見通しとなったものの、米連邦政府債務の上限引き上げないし適用の一時停止については共和党の反対で解決の目途が立っていないため、早期に解決できない場合は米財務省が新たな国債発行ができなくなり既発債への利払いができずに債務不履行=デフォルトに陥る可能性もある。過去数年、この問題は土壇場で解決されてきたが、バイデン政権の支持率低下の中で与野党対立は深刻化しているために問題解決の長期化、市場不安の拡大も懸念されるところだ。イエレン米財務長官は問題が解決しない場合、財政資金は10月18日までに底をついて米国は史上初めてデフォルトに陥ると警告している。
ドル円が112円台到達まで急伸してきたのは米長期債利回り上昇による押し上げであり、株安による米長期債利回り上昇一服はドル円の上昇力を削ぐものだ。

【米経済指標はまちまち】

米商務省が発表した4-6月期の米GDP確定値は前期比年率6.7%増となり市場予想の6.6%増を若干上回り改定値の6.6%から上方修正された。GDPコアデフレーターは前期比年率6.1%上昇となり市場予想及び改定値と一致した。4-6月期個人消費は12.0%増で改定値11.9%から上方修正されて予想と一致した。
米労働省が発表した新規失業保険申請は前週比1万1000件増の36万2000件で市場予想の33万5000件を上回り、3週連続の悪化となった。
MNIインディケーターズによる9月のシカゴ購買部景況指数(PMI)は64.7となり前月の66.8から低下、市場予想の65.0を下回った。

【ドル高に一服感】

ユーロドルは9月29日深夜に8月20日安値を割り込んで1月6日高値1.2349ドル以降の最安値を更新したが、30日深夜にも1.1562ドルまで安値を切り下げている。ポンドドルは29日深夜に1.3412ドルまで一段安となり6月1日以降の安値を更新したがその後はやや戻して30日深夜には1.350ドルをいったん超えた。豪ドルやNZドル、南アランド等は上昇した。
メジャー通貨の加重平均であるドル指数は30日に94.50ポイントまで高値を更新したところから反落しており、ドル円の反落も踏まえればドル高には一服感が出ているものの、ドル全面安へ基調が変わるような動きはまだ見られない。特にユーロの弱さが目立っているが、米連銀の利上げ想定時期前倒しや英中銀の利上げ時期接近の認識等と比較すれば、ECBが資産買い入れ規模のペースダウンを開始するものの緩和継続姿勢にあることとのスタンスの差が意識されている印象だ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、9月15日夜安値と22日午前安値をダブルボトムとして上昇期に入ってきたが、27日昼へいったん小反落してから一段高したために28日午前時点では27日昼安値を直近のサイクルボトムとして新たな強気サイクルに入っているとし、高値形成期を29日深夜から10月2日未明にかけての間と想定した。
9月30日夜に高値を切り上げてから急落しているので、30日夜高値で直近のサイクルトップを付けて下落期に入ったと思われる。安値形成期は27日昼安値を基準とすれば30日昼から10月4日の日中にかけての間と想定されるので既に反騰注意期にある。111.75円を超えないうちは一段安余地ありとみるが、111.75円超えからは上昇再開と仮定して30日夜高値試しとし、高値更新からは強気サイクル入りとして10月5日夜から7日夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では1日未明への急落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落した。先行スパンを上抜き返せないうちはまだ一段安余地ありとするが、先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は1日未明に30ポイント割れまで低下したところからやや戻している。50ポイント台を回復できないうちは一段安余地ありとするが。50ポイント超えからは上昇再開から70ポイントを目指すとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、10月1日早朝安値111.22円を下値支持線、111.75円を上値抵抗線とする。
(2)111.65円以下での推移中は下向きとし、1日早朝安値を割り込むところからは111円、さらに110.75円前後への下落を想定する。111円以下は反騰注意とする、111.50円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)111.75円超えからは上昇再開と仮定して9月30日夜高値112.07円試しへ向かうとみる。高値更新からは112円台中盤(112.30円から112.70円)を目指す流れとみるが、112円前後までの反発でダブルトップ形成に終わる可能性もあると注意し、その後に戻り幅の半値以上を削るところからは下げ再開を警戒する。

【当面の主な予定】

10/1(金)
休場 香港(国慶節) 中国(国慶節 10/7まで)
14:00 (日) 9月 消費者態度指数・一般世帯 (8月 36.7)
16:55 (独) 9月 製造業PMI改定値 (速報 58.5)
17:00 (欧) 9月 製造業PMI改定値 (速報 58.7)
17:30 (英) 9月 製造業PMI改定値 (速報 56.3)
18:00 (欧) 9月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (8月 3.3%)
18:00 (欧) 9月 消費者物価コア指数速報値 前年同月比 (8月 1.9%)

21:30 (米) 8月 個人消費支出(PCE) 前月比 (7月 0.3%、予想 0.6%)
21:30 (米) 8月 PCEデフレーター 前年同月比 (7月 4.2%)
21:30 (米) 8月 PCEコア・デフレーター 前月比 (7月 0.3%、予想 0.2%)
21:30 (米) 8月 PCEコア・デフレーター 前年同月比 (7月 3.6%、予想 3.8%)
21:30 (米) 8月 個人所得 前月比 (7月 1.1%、予想 0.3%)
22:45 (米) 9月 マークイット製造業PMI改定値 (速報 60.5)
23:00 (米) 9月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報値 (速報 71.0、予想 71.0)
23:00 (米) 9月 ISM製造業景況指数 (8月 59.9、予想 59.5)
23:00 (米) 8月 建設支出 前月比 (7月 0.3%、予想 0.3%)
24:00 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、オンライン討論会
24:30 (欧) シュナーベルECB理事、講演
26:00 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、オンライン討論会


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