ドル円は今週ももみあい継続(週報9月第2週)

先週のドル円は、日経平均株価が堅調な動きを示し円安が先行しやすい地合いの中、米金利上昇とともに水曜には110.45レベルの週間高値をつけました。

ドル円は今週ももみあい継続(週報9月第2週)

ドル円は今週ももみあい継続

〇先週のドル円、米金利上昇とともに水曜に110.45レベルの週間高値をつける
〇地区連銀総裁は先週末もタカ派発言続く、今週はブラックアウト期間
〇最近の109円台前半から110円台前半の中でのもみあい相場は変わっていない状況
〇明日の8月CPI、5%超える数字が続けば9月FOMCにおけるテーパリング決定思惑が高まる可能性も
〇今週は109.50レベルをサポートに110.30レベルをレジスタンスとする動きか

今週の週間見通し

先週のドル円は、日経平均株価が堅調な動きを示し円安が先行しやすい地合いの中、米金利上昇とともに水曜には110.45レベルの週間高値をつけましたが、週後半は米金利が下げに転じる動きとともにじり安の展開を辿りました。110円台でにわかロングが増えたことによるポジション調整の動きと見られますが、後から振り返ると最近の109円台前半から110円台前半の中でのもみあい相場は変わっていない状況です。

日本株は自民党総裁と執行部の交代を期待した買いが続いていますが、米国株は週初から下げ相場となっていたことで、為替市場もドル買いを続けるという地合いでは無くなりました。ECB理事会におけるPEPP縮小はテーパリングではないというラガルドECB総裁の会見発言でユーロドルは上値が重くなりましたが、ドル円は比較的米金利に素直に追従した一週間でした。

そしてその米金利は来週のFOMCに向けて思惑で上下しそうですが、地区連銀総裁は先週末もタカ派発言が続き、タカ派発言が目立つ中でブラックアウト期間(FOMC開催の前々週末=今回は11日からFOMCが終わるまで金融政策に関する発言は禁じられる)に入りました。最大の注目材料は明日の8月CPIですが、前年比で考えると以前にも書いた通りで昨年のコロナショック前の物価を初めて上抜けたのが2020年8月分ということで、本来であれば明日のCPIから徐々に減速していくというFRBの描くシナリオに近づくはずです。

しかし、これも以前書いたことですが原材料費や輸送費の高騰が今年に入ってからの新たな物価上昇要因となっているため、当初考えていたようなインフレ率減速は無い可能性が高まっています。前月の7月分前年比CPIが5.4%でしたが、明日の予想も5.3%と高いままです。5%を超える数字が続くとなるとターゲットの2%からの上振れが続くこととなり、9月FOMCにおけるテーパリング決定思惑が高まる可能性があるでしょう。

個人的には11月FOMCの可能性をずっと考えていましたが、ECBもテーパリングでは無いとしつつも緊急時から平時への金融政策へと移行を始めたことを考えると、ジャクソンホールの頃よりは9月実施の可能性も高まってきたと言えます。その場合、米金利が上昇する動きによるドル買いが勝るのか、一段安の可能性が強まる米国株のリスクオフに反応するのか、日本株の動きも影響するものの明日のCPIの結果で今週のドル円の動きも決まってきそうな気がしています。

前回数字を上回り5.5%といった数字が出てくれば、米金利上昇と株安、いっぽうで予想を下回る5.1%以下であれば米金利低下と株高となりそうですが、どちらの場合でもその時の日本株の方向を併せて見てドル円の動きは決まってきそうです。またコンセンサスに5.3%前後で5.2〜5.4%あたりの数字が出た場合には、相変わらずのもみあいというイメージです。

テクニカルにも見てみましょう。日足チャートをご覧ください。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

直近のラインを今週も微妙に引き直しました。先週の高値安値が抜けたことによるのですが、さすがに上下の水準が狭まる中であまり短期のサポートライン、レジスタンスラインを意識しすぎない方がよい展開です。現実的には下は109.60水準の水平線と上は110.40水準の水平線(ピンクの水平線、ラインマーカーで強調)が現在の強いサポートとレジスタンスと見てよいでしょう。

ただ、先週金曜の動きを見ていると110円台では徐々にドル売りオーダーが下がってきそうですから、今週は109.50レベルをサポートに110.30レベルをレジスタンスと、10銭ほど下にレンジを下げた一週間を考えておきます。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2021年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

9月13日(月)
16:00 トルコ7月経常収支、鉱工業生産

9月14日(火)
10:30 豪州4〜6月期住宅価格
10:30 豪州8月企業景況感
11:45 豪中銀総裁講演 ☆
15:00 英国8月失業率
21:30 米国8月CPI ☆

9月15日(水)
09:30 豪州9月消費者信頼感
11:00 中国8月小売売上高、鉱工業生産
15:00 英国8月CPI ☆
15:45 フランス8月CPI
18:00 ユーロ圏7月鉱工業生産
20:00 南ア7月小売売上高
21:30 米国9月NY連銀製造業景況指数
22:15 米国8月鉱工業生産、設備稼働率
23:30 週間原油在庫統計
24:00 レーンECB理事講演 ☆

9月16日(木)
07:45 NZ4〜6月期GDP
08:50 本邦7月貿易収支(通関)
10:30 豪州8月雇用統計
17:00 フィンランド中銀総裁講演
18:00 ユーロ圏7月貿易収支

21:30 米国8月小売売上高
21:30 米国9月フィラデルフィア連銀製造業景況指数
21:30 米国新規失業保険申請件数
23:00 米国7月企業在庫

9月17日(金)
15:00 英国8月小売売上高
17:00 ユーロ圏7月経常収支
18:00 ユーロ圏8月建設支出
18:00 ユーロ圏8月CPI
23:00 米国9月ミシガン大消費者信頼感速報値

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

9月6日(月)
ドル円は前週末から続伸した日経平均株価の動きを見て円安が先行、欧州市場序盤には日経平均先物が3万円の大台に乗せる動きとともに109.95レベルの高値をつけました。しかし110円の大台ではドル売りオーダーが見られたことから上値が重くなり、NY市場が休場となることもあり鈍い動きのまま、1日のレンジも36銭に留まりました。

9月7日(火)
ドル円は東京市場では調整の入った株式市場を横目にわずかに上値が重たい程度のもみあいでしたが、欧州市場に入り米金利が上昇、NY市場前場には1.385%まで上昇したことから。ドル円もNY後場には110.32レベルまで上昇し、高値圏での引けとなりました。

9月8日(水)
ドル円は前日に米金利上昇をきっかけとしたドル高の動きとなっていましたが、そのドル高の流れを継続し、東京後場には一時110.45レベルの高値をつけました。しかし欧州市場に入りダウ先物が大きく下げる流れに沿って110.14レベルまで下げ、ダウ先の動きとともに上下しましたが、NY市場ではダウの上値が重くドル円もやや水準を下げての引けとなりました。

9月9日(木)
ドル円は前日高値圏でザラ場ベースの反転パターンを形成していましたが、東京前場にネックラインを下抜けたことで一段安の流れとなりました。その後110円の大台を割り込み、NY市場では米金利が低下する動きとともにドル安の動きとなり109.62レベルの安値をつけそのまま安値圏での引けとなりました。

9月10日(金)
ドル円は東京市場では堅調な日経平均株価の動きを受けてユーロ円とともに円売りの動きが先行しました。欧州市場序盤には109.99レベルの高値をつけたものの110円の大台はトライできず、その後はNYの引けまで109円台後半の狭い値幅の中でのもみあいに終始した週末となりました。

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