ドル/円は3週連続小動き、脱却なるか注目
〇先週のドル円、一時110.45まで値を上げるも週末には109.63へ全戻し
〇22日のFOMC、米紙WSJが「11月のテーパリング開始シグナルを発する可能性」と報じる
〇今週は米8月消費者物価指数、9月ミシガン大消費者信頼感指数などの経済指標発表
〇今週のドル/円予想レンジは、109.00-110.80
〇ドル安・円高方向は109.60前後が弱いサポート、割り込めば109.41や109.11を目指す
<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場は、ドルが小じっかり。ただ、週間を通して1円も変動しないなど、動きは引き続き鈍かった。
前週末、次期自民党総裁選に出馬しないことを明言した菅首相の後継者争いが早くもそこここで観測され思惑を呼ぶ。一方、WHOが、新型コロナウイルスの変異株について「ミュー株」を新たに「注目すべき変異株」に指定したことを明らかにし、物議を醸していた。
そうした状況下、ドル/円は109.70円レベルで寄り付いたのち、週の半ばに掛けて上値を試す展開。110円を超え、週間高値の110.45円まで一時値を上げた。しかし、勢いは続かず、週末に掛けては「行って来い」。週間安値109.63円へと全戻しを記録、週末NYは再び小反発した109.90円前後で取引を終えて越週している。
なお、先週はポンドや豪ドル絡みなどでやや興味深い動きも観測されたが、特筆すべきは日本株。なかでも東証株価指数TOPIXは、いわゆるバブル期以来「31年ぶり高値」を一時更新していた。また、7日の中米エルサルバドル法定通貨化を受け、暗号資産(仮想通貨)ビットコインは15%超の下落をたどるなど、一時大荒れの様相に。
一方、週間を通して注視されていた材料は、「日本の政局」と「北朝鮮情勢」について。
前者は、菅氏の後継者争いとも言える自民党の総裁選は、岸田氏や高市氏など4-5人の争いが予想されるなか、有力候補のひとり「石破元幹事長が不出馬を検討」と伝えられ話題に。ちなみに、不出馬の場合には河野行革相の支持に回る見込みだという。そうしたなか、「衆院選、11月実施が濃厚に」、「政府、東京や大阪など19都道府県の緊急事態宣言の延長を決定」、「菅首相、月末に訪米し日米首脳会談など実施」−−といった報道や発表が別途観測されている。
対して後者は、久しぶりに北朝鮮関連のニュースが多く、市場でも思惑を呼ぶ。たとえば、8日の韓国聯合ニュースが「北朝鮮は9日の建国73年に合わせ平壌で大規模な閲兵式を実施する可能性が高まった」と報じた舌の根も乾かぬ、現地時間9日午前0時、つまり日付が変わってスグに平壌の金日成広場で軍事パレードが開催されたもようだ。なお、そののち朝鮮中央通信が実際にパレードの様子を報じたほか、「金朝鮮労働党総書記が出席した」とも指摘。また、韓国外務省は「日米韓3ヵ国の特使、14日東京で朝鮮半島の核問題を協議する方向で調整」している旨の発表を行っていた。
<< 今週の見通し >>
先週のドル/円相場は、109.63-110.45円という82銭レンジ。ちなみに、先々週そしてその前の週も週間で1円未満の変動にとどまっており、小動きは実に3週連続となる。昨年来、週間を通して1円未満の変動に終わるということ自体はそれほど珍しくないものの、さすがにそれが3週間続くとなると由々しき事態だ。まずは足もとの「小レンジ(109.41-110.45円)」から、しっかりとしたレンジ放れを期待する声も高まっている。
マーケットで、もっとも注視されているものは引き続き米ファンダメンタルズならびに金利動向で、市場は早くも22日に予定されているFOMC会合へと関心が移行しつつあるようだ。今週はそんな次回FOMCをにらみ思惑が交錯する展開か。いわゆる「ブラックアウト期間」に入ることで、FRB理事などからのコメントは聞かれないが、発表される米経済指標に一喜一憂する可能性も否定できない。なお、前述した注目のFOMCについて、米紙WSJは「9月の会合でテーパリング開始に着手する公算は低いが、11月にテーパリングを開始するというシグナルを発する可能性がある」と報じていた。
テクニカルに見た場合、前述したようにドル/円は3週続けて1円未満の変動。そして、その期間におけるレンジはトータルでも109.41-110.45円という1円強に過ぎない。時間的にもかなり煮詰まっている感があり、保ち合い放れへのエネルギーはかなり蓄積されているものの、レンジブレークの可能性は果たして如何に。ただ、1円強という「小レンジ」を抜けたとしても、その外側には「中レンジ」の109.11-110.80円、さらに3円幅に近い「大レンジ」も存在している。明確な方向性が示されるのは、まだ当面先であるのかもしれない。
材料的に見た場合、中長期的には、先週末にバイデン米大統領との電話会談が行われ関係改善への期待もうかがわせる「中国情勢」や、混戦模様となっている自民総裁選を中心とした「日本の政局」、いまだ新株が続々と観測される「新型コロナウイルス変異種」−−などが注視されている。
そうしたなか今週は、8月の消費者物価指数、9月のミシガン大消費者信頼感指数といった重要な米経済指標が発表される見込みだ。また政治的な要因も数多く、たとえば「中国外相の韓国訪問」や「IAEA理事会」、「ロシア総選挙」、「自民党総裁選告示」などが注視されている感を否めない。
そんな今週のドル/円予想レンジは、109.00-110.80円。ドル高・円安については、先週高値110.45円をめぐる攻防にまず注視。超えれば8月の月間高値であり、「中レンジ」の上限でもある110.80円がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、109.60円前後が弱いサポートで、割り込むと109.41円や109.11円を目指す。それも下回ると8月安値108.72円が意識されそうだ。
ドル円日足
※ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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