円高リスク継続、109円割れの可能性もあるか(8/17夕)

17日の東京市場は小動き。日本のお盆は過ぎたものの、「夏枯れ」商状は依然として続いているようで、動意は乏しかった。

円高リスク継続、109円割れの可能性もあるか(8/17夕)

円高リスク継続、109円割れの可能性もあるか

〇本日のドル円、109.20-35と狭いレンジで横ばい推移
〇NZドル、対円で18日の中銀会合を前に7/21以来となる76円割れまで売り込まれる
〇バイデン米大統領「米軍のアフガン撤退に変更なし」と改めて強調
〇本日は米7月小売売上高や同鉱工業生産などが発表される見通し
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは108.70-109.70

<< 東京市場の動き >>

17日の東京市場は小動き。日本のお盆は過ぎたものの、「夏枯れ」商状は依然として続いているようで、動意は乏しかった。

ドル/円は109.25円レベルで寄り付いたものの、積極的な売買は観測されず。終日を通して109.20-35円といった20ポイントにも満たない横這い推移にとどまっている。日米株価の動きに一喜一憂する局面などもみられたが、実際の変動には繋がらず。狭いレンジのまま、16時現在では109.20-25円で推移、欧米市場を迎えていた。
そうしたなか、興味深い動きをたどったのはNZドル。対円では7月21日以来となる76円割れまで売り込まれている。18日の同国中銀会合を前に、これまでの利上げ観測が後退したとの指摘が聞かれていたようだ。

一方、材料的に注視されていたものは、「アフガン情勢」と「新型コロナ」について。
前者は、タリバンがアフガニスタンをほぼ制圧したことが改めて示されるなか、国際社会からは激しい非難も。そのなか英仏首脳は電話会談を行い、「アフガン情勢で数日以内のG7開催の意向」を表明していた。しかし、日本や米国、主要な欧州諸国が情勢に懸念を示す反面、中国やロシア、イランなどは逆に好意的な見解。たとえば、中国外務省の華報道局長は会見で「アフガン国民の意思と選択を尊重する」などと述べ、タリバンによる武力制圧を事実上容認していた。なお、上記のような状況下、バイデン米大統領は演説を実施し「米軍のアフガン撤退に変更なし」との考えを改めて強調している。

対して後者は、コロナ拡大を受け、米国がトルコへの渡航警戒レベルを4段階でもっとも高い「中止」に引き上げたほか、NZ首相が「3日間のロックダウンに入る」との考えを表明。また、日本も政府が茨城や栃木など7府県に緊急事態宣言を発出する方針を固めた、と報じられている。一方、米国も、ブルームバーグは「バイデン米大統領が、ブースター(3回目のワクチン接種)について今週中にも発表を行う」などと報じていた。厳しい状況はまだまだ続きそうで、続報などにも要注意。

<< 欧米市場の見通し >>

ドル/円は引き続きレンジ内で推移しているものの、109円割れを意識した動き。3日に記録した安値108.72円も視界内へと捉えられている。また、ドル/円だけでなく、前述したNZドル/円やポンド/円などクロスの多くも軒並み下値をうかがう動きで、足もとは円全面高の様相だ。単体であれば下げ渋ることも予想されるが、クロスを含めたスパイラルな動きからドル/円はさらなる下値を試す可能性も取り沙汰されていた。

米ファンダメンタルズならびに金利動向への関心が高いという状況に変化なし。米地区連銀総裁などからは早期テーパリングについて強気の発言が聞かれるものの、「新型コロナ(デルタ株)の感染拡大」もあってか、ここ最近は発表される米経済指標が全体的に冴えない。加えて、「アフガン情勢」と「北朝鮮情勢」という2つの地政学リスクもドル高の重石になっている感を否めず、目先は積極的にドルが買いにくい環境か。堅調なNYダウなどの動きに異変が生じれば、為替市場への影響もありそうだ。

テクニカルに見た場合、依然として円は全面高の様相が継続。ドル/円もやや円高方向にバイアスのかかった動きとなっている。ちなみに、安値108.72円を起点とした上昇幅の76.4%戻しは109.20円で、目先のフィボナッチサポートと昨日レポートしたが、そののち同レベルをアッサリと下回ってきた。フィボナッチの観点では、このままの勢いで109円割れ、100%戻しの108.72円を目指す展開をたどる可能性も否定できない。

材料的に見た場合、中長期的には、アフガン情勢も日米などとの新たな対立要因になりそうな「中国情勢」や、感染拡大がいまだ止まらぬ「デルタ株を中心とした新型コロナウイルス変異種」、菅首相の指導力への疑問符も取り沙汰されるなかの「日本の政局」−−などが注視されている。
一方、本日は米経済指標として、7月の小売売上高や同鉱工業生産などが発表される見通しだ。昨日発表された8月のNY連銀製造業景況指数もネガティブサプライズ。予想より下振れドル売り要因となっただけに、本日も引き続き警戒感は強いようだ。また、パウエルFRB議長による講演への注目度も高く、しっかりと注意を払いたい。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは108.70-109.70円。まずは本日東京高値である109.35円レベルが最初の抵抗。超えれば移動平均の90日線などが位置する109.60円台がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、昨日安値109.11円をめぐる攻防に注目。下回ると109円割れ、前回安値108.72円がいよいよ視界内に入ってくる。

円高リスク継続、109円割れの可能性もあるか

ドル円日足

※ポイント要約は編集部

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