実質金利の低下が重石。来週はトルコ中銀の金融政策会合に注目
〇今週のトルコ円、12.97で寄り付き後トルコ指標の好調に週前半13.17まで上昇
〇その後はエルドアン大統領の利下げ圧力発言、米長期金利の上昇等で週末にかけ12.73まで下落
〇トルコ円、週末にかけての下落で主要サポートを下抜けトルコ売り地合い強まる
〇ファンダメンタルズも中銀会合を前にエルドアン大統領の利上げ圧力が強まる等トルコ下げ材料多い
〇トルコ円下落がメインシナリオ、8/12のトルコ中銀政策決定会合要注視
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):12.45ー13.00
今週のレビュー(8/2−8/6)
今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初12.97円で寄り付いた後、@トルコ7月製造業PMIの力強い結果(結果54.0、前回51.3、※6ヵ月ぶり高水準)や、A米早期テーパリング観測の後退を背景としたグローバルなリスク選好ムード(過剰流動性相場逆流リスクの後退→エマージング通貨上昇)、Bトルコ7月消費者物価指数(結果18.95%、予想18.60%、前回17.53%)及び、Cトルコ7月生産者物価指数(結果44.92%、予想43.60%、前回42.89%)の市場予想を上回る結果、D上記BCを背景としたトルコ中銀による利下げ観測の後退が支援材料となり、翌8/3にかけて、週間高値13.17円まで急伸しました(6/14以来、約1ヶ月半ぶり高値圏)。
しかし、6/11に記録した直近高値13.24円をバックに伸び悩むと、Eインフレ高進に伴う実質金利の急低下や、Fエルドアン大統領による「金利を引き下げればインフレ圧力も緩やかになる」との発言(利下げ圧力)、G米金融当局者による相次ぐタカ派的な発言(米早期テーパリング観測再燃→米長期金利上昇→米ドル高→エマージング通貨下落)が重石となり、週末にかけて、7/20以来、約2週間ぶり安値となる12.73円まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、結局12.77円前後での越週となっております。
来週の見通し(8/9−8/13)
トルコリラの対円相場は、8/3に記録した約1ヶ月半ぶり高値13.17円をトップに反落に転じると、週末にかけて、約2週間ぶり安値となる12.73円まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、90日移動平均線や21日移動平均線を下抜けするなど、テクニカル的に見て、「地合いは弱い」と判断できます(来週は強い売りシグナルを示唆する三役逆転の再点灯に要警戒)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@国内から国外への資本流出圧力や、Aトルコ国内における新型コロナウイルスの感染拡大リスク、Bキプロスを巡るEU・トルコの関係悪化懸念、CS400を巡る米・トルコの関係悪化懸念、Dインフレ高進に伴う実質金利の低下圧力、E米早期テーパリング観測の再燃(エマージング通貨に下押し圧力)、Fエルドアン大統領による根強い利下げ圧力など、トルコリラの下落を意識させる材料が増えつつあります。
以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は8/12に予定されているトルコ中銀の金融政策決定会合に注目が集まります。インフレ高進を背景にトルコ中銀は政策金利を据え置く公算が大きいものの、エルドアン大統領は前々から同会合(7ー8月頃)までに政策金利を引き下げるよう圧力をかけてきた為、トルコ中銀がエルドアン氏に配慮した姿勢を示すのか、中銀としての独立性を貫くのかに注目が集まります。後者の場合は、アーバル前中銀総裁時と同様、カブジュオール総裁が解任に追い込まれるリスクも想定される為、同会合後のボラティリティ拡大(サプライズ的なヘッドラインリスク)に注意が必要でしょう。
来週の予想レンジ(TRYJPY):12.45ー13.00
注:ポイント要約は編集部
トルコリラ円日足
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