『ムボウェニ財務相の辞任報道で急反落。ダウンサイドリスクに要警戒』
〇今週の南ア円、リスク選好ムードに週央にかけ7.67まで上昇
〇その後米金利上昇と米ドル高、南アPMI等の指標不冴え、財務相辞任報道などで7.45まで急落
〇週末にかけては財務相後任人事への安堵感で7.53前後で越週
〇南ア円、上方向に主要レジスタンスポイント控え、テクニカルには上値余地乏しい
〇ファンダメンタルズも南ア国内のコロナ感染拡大懸念、経済先行き不透明感強まり、下落材料残る
〇南ア円下落がメインシナリオ、来週の予想レンジ(ZARJPY):7.35ー7.65
今週のレビュー(8/2−8/6)
今週の南アフリカランド円(ZARJPY)相場は、週初7.53円で寄り付いた後、@米早期テーパリング観測の後退を背景としたリスク選好ムードの高まり(米ドル安→商品価格上昇→南アランド高)が支援材料となり、週央にかけて、週間高値7.67円(7/16以来、約3週間ぶり高値圏)まで上昇しました。しかし、90日移動平均線(7.70円)をバックに続伸を阻まれると、A米金融当局者による相次ぐタカ派的な発言(米早期テーパリング観測再燃→米長期金利上昇→米ドル高→南アランド安)や、B南アフリカにおける新型コロナウイルスの感染拡大懸念、C南ア7月民間部門PMI(結果46.1、予想49.0、前月51.0)の急低下(約10ヵ月ぶり低水準)、Dムボウェニ南ア財務相の辞任報道が重石となり、週後半にかけて、週間安値7.45円まで急落しました(7/29以来、約1週間ぶり安値圏)。もっとも、Eムボウェニ氏の後任として南部アフリカ開発銀行のゴドンワナ総裁が起用されることが発表されると、安堵感から持ち直し、結局7.53円前後での越週となっております。
来週の見通し(8/9−8/13)
南アランド円相場は、7/26に記録した約4ヵ月ぶり安値7.34円をボトムに反発に転じると、今週半ばにかけて一時7.67円まで上昇しました。しかし、上方に90日移動平均線や一目均衡表雲上下限といった主要レジスタンスポイントを控えていること、強い売りシグナルを示唆する三役逆転が継続していること等を踏まえると、テクニカル的に見て「地合いは弱い(上値余地は乏しい)」と判断できます(事実、週後半にかけて南アランドは急反落。7.51円前後に位置する一目均衡表転換線を下抜け出来れば、来週は7/26に記録した直近安値7.34円の下方ブレイクも射程圏内に)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@南アフリカにおける新型コロナウイルスの感染拡大懸念や、A南アフリカの政情不安(暴動リスクの残響)、B上記@Aを背景とした南アフリカ経済の先行き不透明感(今週発表された南ア7月製造業PMI、南ア7月民間PMIは共に市場予想を大幅に下回る冴えない結果)、C国内から国外への資金流出リスク、D南ア中銀による利上げ観測の後退(現行の金利水準が長期間据え置かれるとの思惑)など、南アランド円相場の下落を意識させる材料が残っております。
以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。8/10に予定されている南ア6月製造業生産高や、8/11の南ア7月SACCI景況感指数が市場予想を下回る場合や、南アフリカにおける新型コロナウイルスの感染拡大を巡るヘッドラインが報じられる場合には、南ア経済の先行き不透明感を通じて、南アランドに強い下押し圧力が加わる恐れがあるため、来週も引き続き、ダウンサイドリスクに注意が必要でしょう(良好な米雇用統計を背景とした米早期テーパリング観測の高まりも南アランドの重石)。尚、来週は上記以外に、ゴドンワナ次期財務相による発言・ヘッドラインにも注目が集まりそうです(同氏の改革方針を見定める一週間)。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.35ー7.65
注:ポイント要約は編集部
南アランド円日足
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