トルコリラ円見通し 日足は3日連続陰線、ドル高リラ安へ揺れ返す(21/8/6)

トルコリラ円の8月5日は12.93円から12.77円の取引レンジ。終値は12.85円で前日から0.04円安、日足は8月3日から3日連続の陰線(三羽烏)となった。

トルコリラ円見通し 日足は3日連続陰線、ドル高リラ安へ揺れ返す(21/8/6)

トルコリラ円見通し 日足は3日連続陰線、ドル高リラ安へ揺れ返す

〇昨日のトルコリラ円、夕刻に安値12.77まで一段安、3日連続の陰線となる
〇実質マイナス金利状態への懸念とドル高が重なり、ドル高リラ安が進行、トルコリラ円も売り込まれる
〇対ドル、8.57リラから8.45リラの取引レンジ、日足は3日連続陰線
〇6/14から日足6日連続陰線で、当時の史上最安値を更新した下落時に近い動き
〇本日の米雇用統計後ドル高リラ安継続となれば、6/21安値12.48及び6/2安値12.44を試す流れへ進むか
〇12.90以下での推移中は一段安警戒とし、12.77割れからは12.73から12.70を試すとみる
〇12.90超えからは12.95試しへ向かうとみる、12.95手前は戻り売りにつかまりやすいとみる

【概況】

トルコリラ円の8月5日は12.93円から12.77円の取引レンジ。終値は12.85円で前日から0.04円安、日足は8月3日から3日連続の陰線(三羽烏)となった。
8月3日のトルコ7月消費者物価昇率が前年比18.95%となり6月の17.53%から上昇したことを受けて発表当初は当面の利下げは無いとして13.15円まで上昇、6月21日安値12.48円以降の高値を更新したのだが6月11日高値13.21円には届かず、買い一巡後の反動安から下げ足が速まり3日深夜には12.86円へ急落、さらに4日夜に12.85円へ安値を切り下げ、8月5日夕刻にはこの日の安値となる12.77円まで一段安となった。利下げは無いとの受け止めから、政策金利の週間レポレート19.0%への余裕がないため実質マイナス金利状態に陥る懸念でのリラ安を優先する市場心理へと風向きが変わり、そこにドル高が重なったことでドル/トルコリラでのドル高リラ安が進行したためにトルコリラ円も売り込まれた印象だ。

ドル円は8月4日夜に108.71円まで下落して7月2日高値111.65円以降の安値を更新したところからV字反騰となり109円台後半へ戻しているため、トルコリラ円には円安による下支え効果も出やすいところだが、それよりもドル/トルコリラにおけるドル高リラ安が勝る状況で下落している。
8月5日夕安値の後はやや下げ渋りで6日午前序盤は12.86円前後で揉み合いとなっている。

【対ドルの急落は6月14日からの下落時に近い動き】

ドル/トルコリラの8月5日は8.57リラから8.45リラの取引レンジ。終値は8.52リラで前日の8.47リラから0.05リラの下落、8月3日高値8.27リラからの反落が続いて日足は3日連続陰線(三羽烏)での急落となっている。
8月3日高値から5日安値までの下げ幅は0.30リラに拡大しており、7月29日から8月2日までの3連騰を解消している。同様の規模の反落は6月11日に8.25リラまで上昇したところから日足6日連続の陰線で6月21日安値8.79リラへ下落して当時の史上最安値を更新した時の下落期当初に近い規模となっている。
ドル/トルコリラとしては6月11日高値を超えていないため、2月16日以降の戻り高値切り下がりパターンの範囲にとどまっての下落開始という印象もある。

【米連銀とトルコ中銀の政策スタンスの差】

トルコの物価上昇率の上ブレが続いていることでの利上げ催促的なリラ安に加え、米連銀によるテーパリング開始へ向けた動きが為替市場全般でのドル高を助長しており、本当は利下げをしたいトルコ中銀と利上げ再開へ向けた準備に入りつつある米連銀との金融政策のスタンスの差が意識されやすい状況だ。
8月6日夜には米7月雇用統計の発表がある。8月5日に米連銀のウォラー理事は「我々は予想されているよりも早く金融緩和策を撤回できる可能性がある」「7月と8月の就業者数の伸びが月80万〜100万人となれば量的緩和策の縮小を始められる景気の条件を満たす」と述べた。8月4日にはクラリダ米連銀副議長が「予想通りに景気回復が続けば事実上のゼロ金利を解除できる条件が2022年末までに整い2023年には利上げが可能となる」との見方を示している。パウエル米連銀議長はテーパリングを急がない姿勢を繰り返し強調してきたが、8月後半のジャクソンホール会合では従来よりも踏み込んだテーパリングの段取りを示すのではないかと市場は見ている。

一方でトルコ中銀のカブジュオール総裁はインフレ率を下回る政策金利とすることはないと繰り返し述べて市場を落ち着かせてきたが、必要に応じて利上げをするとの姿勢を後退させてきた。エルドアン大統領は利下げすべきとの発言を以前から繰り返しており6月2日への下落も大統領発言がきっかけとなった。8月12日にトルコ中銀の金融政策決定会合があるが、そこで必要に応じて利上げする姿勢を示すのかどうか注目される。
6日夜の米雇用統計からドル高感が強まってドル高リラ安が継続となれば、6月11日からの下落期により近づき、トルコリラ円も6月21日安値12.48円及び6月2日安値12.44円を試す流れへ進みかねないところと注意したい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、8月2日午後安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとしていたが、8月3日夜の急落で8月2日午後安値を割り込んだために8月4日午前時点では8月3日夕高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして5日午後から9日午後にかけての間への下落を想定した。8月5日夕へ一段安してからも下げ渋りにとどまっているのでまだ一段安余地ありとみるが、前回ボトムから3日を経過しているので12.95円超えからはいったん強気サイクル入りするとみて6日夕から10日夕にかけての間への上昇を想定する。ただしいったん強気サイクル入りした後の急落で戻り幅の半値以上を解消するところから下げ再開と一段安入りを警戒する。

60分足の一目均衡表では8月3日夜の急落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落したが、その後も両スパン揃っての悪化が続いているが、5日夕安値からの下げ渋りにより遅行スパンは好転しやすい位置にある。遅行スパン好転からは高値試し優先とするが、先行スパンを上抜き返せないうちはその後に遅行スパンが悪化するところから下げ再開とみる。
60分足の相対力指数は5日夕刻の30ポイント割れから50ポイント到達まで戻している。このため40ポイントを割り込まないうちは戻りを試しやすいとみるが、40ポイント割れからは下げ再開とみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8月5日夕安値12.77円を下値支持線、12.95円を上値抵抗線とする。
(2)12.90円以下での推移か一時的に超えても維持できないうちは一段安警戒とし、12.77円割れからは12.70円台序盤(12.73円から12.70円)を試すとみる。12.70円以下は反騰注意とするが、12.82円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)12.90円超えからは12.95円試しへ向かうとみる。12.95円手前は戻り売りにつかまりやすいとみるが、12.95円を超える反騰の場合は13円を再び目指す上昇の継続とみる。また12.90円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

8月10日
 16:00 6月 失業率 (5月 13.2%)
8月12日
 16:00 6月 鉱工業生産 前月比 (5月 1.3%)
 16:00 6月 鉱工業生産 前年同月比 (5月 40.7%)
 16:00 6月 小売売上高 前月比 (5月 -6.1%)
 16:00 6月 小売売上高 前年同月比 (5月 27.0%)
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合 週間レポレート (現行 19.0%)



※ポイント要約は編集部

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