ドル円見通し 8月4日夜安値からの反騰続く、米雇用統計待ち(21/8/6)

5日深夜には109.75円へ上昇、6日早朝も若干高値を伸ばしている。

ドル円見通し 8月4日夜安値からの反騰続く、米雇用統計待ち(21/8/6)

ドル円見通し 8月4日夜安値からの反騰続く、米雇用統計待ち

〇昨日のドル円、深夜に109.75へ上昇、7/6早朝も若干高値を伸ばす
〇米週間失業保険申請件数の改善、FRB関係者の年内テーパリング開始可能性への言及、ドル高感強める
〇米10年債・2年債利回りともに2連騰、米雇用統計次第ではこれまでの低下傾向から脱却の可能性も
〇今夜発表の米雇用統計への注目が集まる中、テーパリングの前倒し論への関心高い
〇109.39以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上向きとして、110円を目指すとみる
〇109.39割れからは下げ再開を警戒し、109.20割れからは7/4夜安値108.71試しへ向かうとみる

【概況】

ドル円は8月4日夜に108.71円まで一段安したところからV字反騰に入り4日深夜に109.67円へ上昇、5日も夕刻に109.75円へ高値を切り上げ、いったん夜に109.39円まで下げたところも買われて5日深夜には109.75円へ上昇、6日早朝も若干高値を伸ばしている。
7月19日夜安値で109.05円を付けたところからは米長期債利回りの反発とNYダウの連騰によるリスク選好感から上昇に転じて7月23日深夜高値110.58円まで戻した。その後は米長期債利回りが再び低下傾向に入ったこととデルタ株感染拡大への不安心理も反映して下落基調となり8月3日夜には7月19日夜安値を割り込み、8月4日夜には108.71円を付けて7月23日深夜高値からの下げ幅は1.87円、7月2日高値111.65円からの下げ幅は2.94円に拡大した。

8月4日夜安値への下落は米ADP民間雇用報告が冴えない内容だったことでテーパリング時期が先送りされるとの思惑でのドル安だったが、その後の米ISMサービス業景況指数が予想を大幅に超えてクラリダ米連銀副議長が年内のテーパリング開始に言及したことも重なって急反騰となった。
8月5日も米週間失業保険申請件数が2週連続で改善したことやウォラー米連銀理事が年内のテーパリング開始可能性に言及したことからドル高感が強まって高値を切り上げた。8月6日夜の米雇用統計への注目が集まる中、米経済指標や米連銀高官による発言に対する市場の反応も過敏になっているところだ。

【米長期債利回りは2連騰】

8月5日の米10年債利回りは前日比0.04%上昇の1.23%となった。7月20日の1.12%から7月22日の1.31%台まで戻したところから低下傾向に入って8月4日には再び1.12%台を付けていたが、4日当日から反発に入り2連騰となった。利上げ時期に敏感な2年債利回りは前日比0.02%上昇の0.20%となったが、8月4日に0.16%まで低下したところからの2連騰となった。
米10年債利回りは3月31日に1.77%でピークを付けてから低下傾向に入って年初の1.0%に迫ってきているが、下落基調の途中で数日の戻りを入れてから一段安を繰り返してきた。今回も7月20日と同値水準まで下げたとこからの反発ながら下降トレンドの範囲にあるが、6日夜の米雇用統計から上昇が勢い付く場合はこれまでの低下傾向から脱却する可能性も出てくるところだ。

8月5日のNYダウは前日比271.58ドル高と上昇、ナスダック総合指数は同114.59ポイント高と上昇して6日ぶりに史上最高値を更新している。米連銀のテーパリング開始時期への思惑やデルタ株による感染拡大の深刻さ等の問題を抱えているもののパンデミックからの脱却と景気回復の継続期待による先高感は継続している印象だ。株高はリスクオン心理を助長する面ではドル円にとっては上昇要因になり、株高債券安で長期債利回りが上昇する組み合わせならドル円の上昇も勢い付くが、逆に株安債券高で長期債利回り低下ならリスクオフの円高に日米金利差縮小によるドル売り圧力も重なることになる。

米連銀のウォラー理事は8月5日の講演で、「米景気と雇用の回復が続く」「我々は予想されているよりも早く金融緩和策を撤回できる可能性がある」と述べた。「7月と8月の就業者数の伸びが月80万〜100万人となれば量的緩和策の縮小を始められる景気の条件を満たす」とした。
米連銀のクラリダ副議長も4日の講演で、予想通りに景気回復が続けば事実上のゼロ金利を解除できる条件が2022年末までに整い、2023年には利上げが可能となるとの見方を示している。7月14日にパウエル米連銀議長は議会証言で雇用回復にはまだ遠くテーパリングを急がないとの姿勢を強調し、7月29日未明のFOMCにおいてもテーパリングの議論は進んでいるが着手を急がない姿勢を繰り返してきた。しかし最近の米連銀高官発言は早ければ年内にテーパリングを開始する可能性を示唆するものが目立ってきており、市場に対して徐々に認識を強めさせる意図も感じられる。より具体的には8月後半のジャクソンホール会合でのパウエル議長講演で示されるのだろうが、6日夜の雇用統計内容が予想を超える良好さの場合はテーパリングの前倒し論も勢い付くと思われる。

米労働省が5日に発表した新規失業保険申請件数は7月31日までの週間で前週比1万4000件減少して38万5000件となり2週連続の改善だったが市場予想の38万4000件をわずかに上回った。
米商務省が発表した6月の米貿易赤字は前月比6.7%増の757億ドルで単月としては過去最大だった。景気回復を反映して輸入が2.1%増で過去最高、輸出も0.6%増で2019年12月以来の水準だった。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、8月4日夜へ一段安してから急伸したために8月5日朝時点では8月4日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして5日午前から9日午前にかけての間への上昇を想定した。戻り高値の切り上げが続いているので引き続きトップ形成中とみるが、5日夜安値109.39円割れを弱気転換注意とし、109.20円割れからは弱気サイクル入りと仮定して9日夜から11日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では8月4日夜安値からの反騰で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いたが、その後も両スパン揃っての好転が続いているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。弱気転換は先行スパン転落からとし、その際は遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は8月6日午前への高値切り上げに対して指数のピークが切り下がり弱気逆行気配となっているので反落注意とするが、50ポイント以上での推移中は上昇余地ありとし、50ポイント割れから続落に入る場合は下げ再開とみて30ポイント前後への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8月5日夜安値109.39円を下値支持線、110.00円を上値抵抗線とする。
(2)109.39円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上向きとして110円を目指すとみる。110円前後は戻り売りにつかまりやすいとみるが、米雇用統計から強気される場合は110.50円を目指す可能性もあるとみる。
(3)109.39円割れからは下げ再開を警戒し、109.20円割れからは4日夜安値108.71円試しへ向かうとみる。108.80円以下は反発注意とするが、109.20円を割り込んでの推移なら週明けも安値試しへ向かいやすくなるとみる。

【当面の主な予定】

8/6(金)
14:00 (日) 6月 景気一致指数CI・速報値 (5月 92.1、予想 94.0)
15:00 (独) 6月 鉱工業生産 前月比 (5月 -0.3%、予想 0.5%)
15:00 (独) 6月 鉱工業生産 前年同月比 (5月 17.3%、予想 7.9%)
21:30 (米) 7月 非農業部門就業者増加数 前月比 (6月 85.0万人、予想 87.0万人)
21:30 (米) 7月 失業率 (6月 5.9%、予想 5.7%)
21:30 (米) 7月 平均時給 前月比 (6月 0.3%、予想 0.3%)
21:30 (米) 7月 平均時給 前年同月比 (6月 3.6%、予想 3.9%)
23:00 (米) 6月 卸売在庫 前月比 (5月 1.3%、予想 0.8%)
23:00 (米) 6月 卸売売上高 前月比 (5月 0.8%、予想 0.8%)
28:00 (米) 6月 消費者信用残高 前月比 (5月 352.8億ドル、予想 230.0億ドル)



※ポイント要約は編集部

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