13円台到達後の反落から戻しきれずに続落
〇昨日のトルコリラ円、ドル円がやや戻した動きに同調し夕刻に高値13.00まで上昇
〇その後ドル円の下落に圧され失速、12.85を付け3日深夜安値をわずかに割り込む
〇ドル高リラ安となったことでトルコリラ円は強弱相殺により下げ渋り程度にとどまる
〇対ドルでは、23時からのドル全面高に圧され深夜には8.49まで続落
〇4日夕高値13.00以下で推移中は一段安警戒、4日夜安値12.85割れからは12.80前後への下落を想定
〇12.97から13.00手前は戻り売りにつかまりやすいとみる
【概況】
トルコリラ円の8月4日は13.00円から12.85円の取引レンジ。8月3日のトルコ7月物価指数の発表から13.15円(ベンダーによっては13.16円)へ上昇して6月21日安値12.48円以降の高値を更新したが、買い一巡後に急落に転じて13円を割り込み、3日深夜には12.86円まで失速した。日足ベースでは7月28日からの8月2日までの4連騰が途絶えた。
8月3日夜にかけての下落ではドル円が109円割れへと一段安したことも影響したが、8月4日の日中はドル円がやや戻した動きに同調して夕刻にはこの日の高値となる13.00円まで上昇したが、夕刻からはドル円の下落に圧されて失速し、22時台にドル円が108.71円まで一段安した局面でこの日の安値となる12.85円を付けて3日深夜安値をわずかに割り込んだ。
8月4日23時発表の米ISMサービス業景況指数が予想を大幅に上回ったことやクラリダ米連銀副議長が講演で年内のテーパリング開始の可能性に言及したことからドル全面高へと急旋回してドル円が急伸したが、一方ではドル高リラ安となったことでトルコリラ円は強弱相殺により下げ渋り程度にとどまり、8月5日午前序盤にかけては12.90円を挟んだ小動きとなっている。
【対ドルでは続落】
ドル/トルコリラの8月4日は8.49リラから8.35リラの取引レンジ。6月25日に史上最安値8.79リラを付けたところから上昇に転じ、7月16日から7月28日までは8.60リラを挟んだ下げ渋りの持ち合いだったところから持ち合い上放れに入り、8月3日夕刻には8.27リラまで高値を伸ばしてきた。しかし8月3日夜に急落となり、4日も23時からのドル全面高に圧されて深夜には8.49リラまで続落した。
8月3日夕刻への上昇は7月のトルコ消費者物価上昇率が前年比で18.95%へ加速したために当初は当面の利下げ余地がないとみてリラ買い反応となったためと思われるが、政策金利である週間レポレート19.00%に対する余裕がなくなったことを踏まえれば実質マイナス金利状態となりかねないとして利上げ催促的なリラ売り心理へと風向きが変わったために下落に転じた印象だった。8月4日はトルコ発の材料はなく為替市場全般の流れを見ながらの展開だったが、ドル高に圧されて前日からの続落となった。
【6月11日以来の13円台を維持できず、鍋底型の上昇に一服感】
トルコリラ円は昨年11月6日に12.03円の史上最安値を付けてからの反騰で2月16日に15.26円の高値を付けたが、その後は中銀前総裁の解任騒動等から下落に転じ、6月2日にはエルドアン大統領による利下げ言及報道をきっかけにして12.44円まで続落となり11月安値に迫っていた。ドル/トルコリラでは昨年11月の安値を割り込んで史上最安値更新となっていたが、トルコリラ円はドル円が7月2日まで上昇基調にあったことに支えられて最安値更新を回避した。
6月21日に12.48円まで反落したものの新たな底割れを回避して6月2日と6月21日の両安値がダブル底型となり、その後は戻り高値を切り上げつつ安値も切り上げてジリ高の推移に入ってきた。ダブル底型であるとともに緩やかな上昇だったために鍋型底の様相でもあったが、6月11日高値13.21円に迫ったところで8月3日、4日と失速しているために鍋底型によるジリ高に一巡感が出始めている。
8月3日夕安値12.86円を8月4日夜安値12.85円でわずかに割り込んだ後は下げ渋っているので、現状ないしは12.70円台後半までの水準で足場を固めて押し目形成とすれば、鍋底型からのジリ高基調の継続で6月11日高値を超えてさらに勢い付いて行く可能性も考えられるが、12.80円を割り込んでから切り返せない状況に陥る場合は6月21日からの戻り一巡による下落再開感が強まり、6月2日と6月21日のダブル底ラインを試しに向かう可能性が出てくると注意したいところだ。
トルコリラ円の上昇継続にはドル円が反騰を継続して騰勢を強める必要があると思われる。全般的なドル高ならばドル円の上昇と共にドル/トルコリラにおけるドル高リラ安も発生して強弱相殺となり、リラ自身の弱さが優先されれば円安では支えきれなくなって下落に転じやすくなる。特に米連銀によるテーパリング開始時期が早まる見込みでドル全面高の様相となる場合は量的緩和による投機マネーの活動も委縮し始めてリラも売られやすくなる。逆にテーパリング開始時期が先送りされる公算が高まってドル安なら、トルコ中銀によるインフレ抑制姿勢が確り市場に伝わればドル安リラ高によりトルコリラ円も上昇を継続しうると思われる。
デルタ株による世界的な感染爆発が景気回復感を後退させてリスク回避相場に入る場合は、クロス円全般での円高圧力が勝りながら投機通貨売りも重なってトルコリラ円の下げ足が速まる可能性もある。トルコリラ円としては今週末の米雇用統計に対する市場反応、来週のトルコ中銀金融政策決定会合でのインフレ抑圧姿勢の強弱等を見ながら、8月3日高値からの下落基調を継続するか、高値更新から上昇継続感を強めるのか試されてゆくと思われる。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月30日夜高値から8月2日午後安値までいったん下げてから一段高したために8月3日午前時点では7月30日夜高値を直近のサイクルトップ、8月2日午後安値を同サイクルボトムとした強気サイクル入りとしが、8月3日夜の急落で8月2日午後安値を割り込んだため、8月4日午前時点では8月3日夕高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして5日午後から9日午後にかけての間への下落を想定した。8月4日夜に安値を若干切り下げてその後も反騰しきれずにいるので引き続きボトム形成中とし、強気転換は8月4日夕高値13.00円を超えるところからとする。
60分足の一目均衡表では8月3日夜の急落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落したが、その後も両スパン揃っての悪化が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。安値更新を回避して推移すれば遅行スパンは好転しやすくなるので遅行スパン好転からはいったん戻りを試すとみるが、先行スパンを上抜き返せないうちはその後に遅行スパンが悪化するところから下げ再開とみる。強気転換には先行スパンを上抜き返す上昇が必要と考える。
60分足の相対力指数は3日夜の急落時に20ポイント台へ低下した後はボトムの切り下がりは見られないものの50ポイント前後には抵抗感もあるのでまだ一段安警戒とみる。強気転換には60ポイントを超えてその後も50ポイント以上を維持するような反騰が必要と思われる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8月4日夜安値12.85円を下値支持線、8月4日夕高値13.00円を上値抵抗線とする。
(2)13.00円以下での推移中は一段安警戒とし、4日夜安値割れからは12.80円前後への下落を想定する。12.80円以下は反発注意とするが、下げ足が速まる場合は12.70円台中盤(12.77円から12.73円)へ下値目途を引き下げる。
(3)12.97円から13.00円手前は戻り売りにつかまりやすいとみるが、13.05円超えからは8月3日夕高値13.15円へ迫る上昇を想定する。
【当面の主な予定】
8月05日
20:30 外貨準備高(グロス) 7/30時点 (7/23時点 626.6億ドル)
8月10日
16:00 6月 失業率 (5月 13.2%)
8月12日
16:00 6月 鉱工業生産 前月比 (5月 1.3%)
16:00 6月 鉱工業生産 前年同月比 (5月 40.7%)
16:00 6月 小売売上高 前月比 (5月 -6.1%)
16:00 6月 小売売上高 前年同月比 (5月 27.0%)
20:00 トルコ中銀金融政策決定会合 週間レポレート (現行 19.0%)
※ポイント要約は編集部
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