来週の為替相場見通し:『米早期テーパリング観測が再燃。米ドル高に要警戒』(8/7朝)

ドル円は8/4に記録した約2ヵ月半ぶり安値108.72をボトムに反発に転じると、今週末にかけて、110.36(7/27以来の高値圏)まで急伸しました。

来週の為替相場見通し:『米早期テーパリング観測が再燃。米ドル高に要警戒』(8/7朝)

『米早期テーパリング観測が再燃。米ドル高に要警戒』

〇今週のドル円、109.69で寄り付き後リスク回避の動き、米指標の不冴えに週央にかけ108.72まで下落
〇その後はISM非製造業指数等の好結果、FRB関係者から相次いだタカ派発言に反発
〇週末の米雇用統計ではNFP、失業率共に予想を上回り、110.36まで急伸して110円台で越週
〇ユーロドル1.1864で寄り付き後米ドル下落に1.1901まで上昇、週末雇用統計後には1.1754まで反落
〇ドル円、雲下限、90日線、21日線等上抜けテクニカルの地合い強い
〇ファンダメンタルズも早期テーパリング期待再燃、米長期金利と米株の上昇が共存等ドル上昇要因増加
〇来週の予想レンジ(USDJPY):109.00ー111.50、(EURUSD):1.1625−1.1875

今週のレビュー(8/2−8/6)

<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初109.69で寄り付いた後、@株式市場の軟調推移や、A原油先物価格の冴えない動き、B上記@Aを背景としたリスク回避の円買い圧力、C米長期金利の急低下、D米7月ISM製造業景況指数(結果59.5、予想60.8、前回60.6)の不冴な結果、EボウマンFRB理事による「労働市場が回復するには時間がかかる」との慎重な発言、F米7月ADP雇用統計(結果33.0万人、予想69.5万人)のネガティブサプライズが重石となり、週央にかけて、週間安値108.72(5/26以来、約2ヵ月半ぶり安値)まで急落しました。

しかし、5/26に記録した直近安値108.71をバックに下げ渋ると、G米7月ISM非製造業景況指数(結果64.1、予想60.5)の力強い結果(統計開始以来の最高値)や、HクラリダFRB副議長による「利上げ開始条件は2022年末まで満たされる可能性があり、2023年からの利上げ開始は正当化される」との発言、Iダラス連銀カプラン総裁による「7月及び8月の雇用統計に進展が見られれば、近くテーパリングに着手することが得策だ」との発言、J米失業保険継続受給者数(結果293.0万人、予想326.0万人、前回329.6万人)の急減少(昨年3月以来となる300.0万人の大台割れ)、Kウォラー米FRB理事による「FRBは一部の予想より早くテーパリングに着手できる」との発言、

Lサンフランシスコ連銀デイリー総裁による「年内か来年早々のテーパリングを見込む」との発言、M米7月非農業部門雇用者数(結果94.3万人、予想87.0万人)及び、N米7月失業率(結果5.4%、予想5.7%)の力強い結果(労働市場の改善を示唆)、O上記MNを背景とした米早期テーパリング観測の再燃及び米長期金利の急上昇(米10年債利回りは週央に記録した1.12%から1.30%へ急上昇)、P米主要株価指数の堅調推移(米ダウ平均株価は史上最高値更新)が支援材料となり、週末にかけて、7/27以来となる高値110.36まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、結局110.25近辺での越週となっております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.1864で寄り付いた後、@ユーロ圏7月製造業PMI改定値(結果62.8、予想62.6、前回62.6)が市場予想を上回ったことや、A米長期金利の急低下、B米7月ADP雇用統計のネガティブサプライズが支援材料となり、週央にかけて、週間高値1.1901まで上昇しました。しかし、7/30に記録した約1ヵ月ぶり高値1.1910をバックに伸び悩むと、C米7月ISM非製造業景況指数の力強い結果や、D米当局者による相次ぐタカ派的な発言、E欧州圏における新型コロナウイルスの感染拡大懸念、FECBによる金融緩和の長期化観測(欧州債利回りの急低下)、G米雇用統計の力強い結果(米早期テーパリング観測再燃→米長期金利急上昇→米ドル高)が重石となり、週末にかけて、7/23以来となる安値1.1754まで反落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、結局1.1760前後での越週となっております。

来週の見通し(8/9−8/13)

<ドル円相場>
ドル円は8/4に記録した約2ヵ月半ぶり安値108.72をボトムに反発に転じると、今週末にかけて、110.36(7/27以来の高値圏)まで急伸しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、雲下限や90日、21日移動平均線を上抜けするなど、テクニカル的に見て、「地合いの好転」を意識させるチャート形状となりつつあります(短期ロング勢によるロスカットが一巡→悪材料出尽くしに伴うあく抜け感→ショートカバーと新規ロング構築で急反発。前週のパウエルFRB議長定例記者会見後の下げ幅の全値戻しを達成済)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策格差を背景としたドル買い・円売り圧力(年内テーパリングを改めて織り込む米国と、金融緩和の長期化が見込まれる日本との金融政策格差は歴然)や、A米経済の回復期待(米主要株価指数上昇→リスク選好の円売り)、B米当局者による相次ぐタカ派的な発言(米長期金利の急上昇→米ドル高)など、ドル円相場の上昇を意識させる材料が複数残っています(米早期テーパリングが改めて織り込まれているにも係わらず米主要株価指数が堅調さを維持している為、ファンダメンタルズ的に地合いが強い。米長期金利上昇・米株上昇の共存)。

以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は8/11の米7月消費者物価指数や、8/12の米7月生産者物価指数、8/13の米8月ミシガン大消費者信頼感指数に加えて、米当局者発言(アトランタ連銀ボスティック総裁、リッチモンド連銀バーキン総裁、クリーブランド連銀メスター総裁、カンザスシティ連銀ジョージ総裁など)に注目が集まります。米経済指標が市場予想を上回る結果となった場合や、米当局者よりタカ派的な発言が見られる場合などには、米早期テーパリング観測を織り込む形で、米長期金利上昇→米ドル高の流れが一段と強まる可能性もあり、来週は特にアップサイドリスクに注意が必要でしょう(8/26ー8/28に開催されるジャクソンホール会議におけるパウエルFRB議長のスタンスを見極める1週間)。

来週の予想レンジ(USDJPY):109.00ー111.50

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は7/30に記録した約1ヵ月ぶり高値1.1910をトップに反落に転じると、今週末にかけて一時1.1754まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドや21日移動平均線を下抜けするなど、テクニカル的に見て、「地合いの弱さ」を印象付けるチャート形状となっております。来週は強い売りシグナルを示唆する三役逆転の再点灯が見込まれることから、続落リスクに注意が必要と考えられます(3/31に記録した年初来安値1.1703を試すシナリオを想定)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@ユーロ圏における新型コロナウイルスの感染拡大懸念や、A上記@を背景とした欧州経済の先行き不透明感、Bパンデミック緊急買入プログラム(PEPP)の買い入れ加速、C欧米金融政策格差を背景としたユーロ売り・ドル買い圧力(年内テーパリング開始が改めて意識される米国と、金融緩和の長期化が予想されるECBとの金融政策格差は歴然。ECBは先般の理事会でインフレの一時的な上振れを容認済)など、ユーロドルの続落を意識させる材料が複数残っております。

以上を踏まえ、当方では引き続き、ユーロドル相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は8/10に予定されているドイツ8月ZEW景況指数、8/12のユーロ圏6月鉱工業生産に注目が集まります(欧州圏における新型コロナウイルス・デルタ株の感染拡大が警戒される中、欧州経済指標は下振れる公算大)。市場予想を下回る結果となれば、欧州経済の先行き不透明感を通じて、欧米金融政策格差を意識したユーロ売り・ドル買いの流れが一段と強まる可能性があり、来週は週を通してダウンサイドリスクに注意が必要な1週間となるでしょう。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.1625−1.1875

注:ポイント要約は編集部

『米早期テーパリング観測が再燃。米ドル高に要警戒』

ドル円日足

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