トルコリラ円見通し 米長期債利回り低下でドル安リラ高、円高に圧されるも鍋底型の上昇続く(21/8/3)

トルコリラ円の8月2日は13.13円から12.91円の取引レンジ。

トルコリラ円見通し 米長期債利回り低下でドル安リラ高、円高に圧されるも鍋底型の上昇続く(21/8/3)

米長期債利回り低下でドル安リラ高、円高に圧されるも鍋底型の上昇続く

〇トルコリラ円、米長期債利回り低下でドル安が進行、ドル安リラ高により13.13まで高値を切り上げる
〇その後は上昇一服感と高値警戒から利益確定の売りで13.10を割り込むも13.00以上を維持
〇トルコイスタンブール7月製造業PMIは54.0と前月から上昇、コロナ感染拡大の5月から回復傾向
〇8/3夕刻にトルコ7月物価上昇率の発表、市場は前月比で1.54%、前年同月比で18.5%と予想
〇13円以上で推移中は上昇余地あり、13.13超えから13.20前後を目指す上昇を想定
〇13円割れから下向きとし12.91試しへ、12.91割れを回避し13.05以上へ戻す場合は上昇再開

トルコリラ円の8月2日は13.13円から12.91円の取引レンジ。
8月2日は米長期債利回りが低下する中で為替市場ではドル安が進行、物価上昇率の上ブレが続いて当面の利下げはないとみて買い戻されてきたトルコリラは史上最安値までの大幅下落後の揺れ返しもあって8月2日には対ドルで一段高となり、一方ではドル円の下落が続いたもののトルコリラ円はドル安リラ高による押し上げで13.13円まで高値を切り上げ、終値ベースでは6月11日の13.06円以来の13円台とし、取引時間中高値も6月11日の13.21円以来の水準となった。
2日夜高値で13.10円を超えた後は上昇一服感と高値警戒感から利益確定売りが急がれて13.10円を割り込んでいるが、13.00円以上を維持して高止まりの様相だ。

8月2日夕発表のイスタンブール7月製造業PMIは54.0となり前月の51.3から上昇した。感染拡大の第三波で5月に49.3まで低下したが回復している。

米長期債利回り低下でドル安リラ高、円高に圧されるも鍋底型の上昇続く

トルコ イスタンブール製造業PMI推移

【対ドルでは6月14日以来の高値へ続伸】

ドル/トルコリラの8月2日は8.47リラから8.30リラの取引レンジ。
6月25日に8.79リラを付けて史上最安値を更新した後はリラ売り一巡からの買い戻しで7月16日に8.46リラまで上昇、その後は7月28日までを8.55リラを挟んでほぼ横ばいの持ち合いで推移していたが、7月29日未明の米FOMC後に為替市場がドル安へ向かう中で対ドルでのトルコリラも29日午後から上昇感を強めて8.41リラへ上昇して持ち合いから上放れた。
7月30日も高値を8.37リラへ切り上げていたが、8月2日も勢いを継続して当日の高安レンジが0.17リラを超える規模の日足大陽線での上昇で高値を8.30リラまで切り上げた。

為替市場は全般的に米長期債利回り低下傾向を反映してドル安基調にあるが個別通貨の強さにはムラがみられる中でトルコリラの上昇は勢いが目立つ。
米10年債利回りは先週末から0.04%低下の1.18%となり、一時は1.15%まで低下した。2021年1月に1.0%を超えたところから上昇が加速して3月31日に1.77%を付けてピークアウトしたが、その後は数日の戻りを入れつつも戻り高値を切り下げて一段安を繰り返す下降トレンドで推移している。一方で物価上昇の上ブレが続いていることや6月までの史上最安値更新へと売られたリラの中長期的な弱さを反映してトルコ10年債利回りは17%台にある。3月22日に当時の中銀総裁が突然解任されたとの報道で13%台だったところから20%まで急伸した後はやや低下傾向ではあるものの、16%台まで低下したところからは反発して高水準を維持している。
ドル円の下落基調は日米金利差を意識してのドル安円高だが、トルコリラが対ドルで上昇しているのも当面はトルコ長期債利回りが高水準で高止まりするとみて金利差からの妙味もリラ買いを誘っている印象がある。

【8月3日夕の物価上昇率からリラ高加速か、いったん下げるか】

8月3日夕刻にトルコの7月物価上昇率の発表がある。7月の消費者物価上昇率についての市場予想は前月比で6月の1.94%から1.54%へ伸びが鈍化するものの前年同月比では6月の17.53%から18.5%へとさらに伸びると見込まれている。前月比での伸びが鈍化すれば物価上昇の上ブレもピークアウトするのではないかと受け止められて年後半にトルコ中銀の利下げ余地も出てくるかもしれないという見方にもなるが、予想を上回る上昇率なら当面の利下げは無いとしてトルコ長期債利回り上昇と対ドルでのリラ高も継続という反応になるかもしれない。
トルコの政策金利である週間レポレートは19.0%での据え置きが続いている。物価上昇率との乖離が保たれればリラ高要因になるが、乖離が縮小して余裕がなくなる場合には利上げ催促的なリラ売りが再燃する可能性もあるところだ。
次回のトルコ中銀金融政策決定会合は8月12日に予定されている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月29日午後からの急伸で7月28日夜高値を超えたために7月27日深夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして7月28日夜から7月30日夜にかけての間への上昇を想定していたが、7月30日夜高値へ続伸したところから8月2日午後安値までいったん下げ、その後に一段高となっているため、30日夜高値を直近のサイクルトップ、8月2日午後安値を同サイクルボトムとして新たな強気サイクル入りしたと思われる。高値形成期は8月4日夜から6日夜にかけての間と想定されるが、物価上昇率の発表等からの波乱にも注意がいるため13.00円割れを弱気転換注意とし、8月2日午後安値12.91円割れからは弱気サイクル入りとして5日午後から9日午後にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では29日午後からの上昇で遅行スパンが好転、先行スパンからも上抜けてきたが、その後も両スパン揃っての好転が続いているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。高値更新が続かないと遅行スパンは悪化しやすくなると注意し、遅行スパン悪化からはいったん下げに入りやすいとみて安値試し優先へ切り替える。先行スパンからの転落を回避するうちはその後に遅行スパンが好転するところから上昇再開とするが、先行スパン転落からは下げ足が速まる可能性があると注意する。
60分足の相対力指数は30日夜高値からの一段高に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行の気配が出ている。50ポイント以上での推移中は上昇余地ありとするが、2日夜高値を超えたところでも指数のピークが切り下がるなら反落警戒とし、50ポイント割れから続落に入る場合はいったん下げに入るとみて40ポイント割れを目指すとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、13.00円を下値支持線、13.13円を上値抵抗線とする。
(2)13円以上での推移中は上昇余地ありとし、13.13円超えからは13.20円前後を目指す上昇を想定する。13.20円以上は反落注意とするが、13円台を維持しての推移なら4日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる.
(3)13円割れからは下向きとして2日午後安値12.91円試しへ向かうとみる。12.91円割れを回避して13.05円以上へ戻すところからは上昇再開とするが、12.91円割れからはいったん大きめの調整安に入るとみて12.80円割れを目指す下落期入りと考える。また13円以下での推移なら4日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

8月03日
 16:00 7月 消費者物価上昇率 前月比 (6月 1.94%、予想 1.54%)
 16:00 7月 消費者物価上昇率 前年同月比 (6月 17.53%、予想 18.50%)
 16:00 7月 生産者物価上昇率 前月比 (6月 4.01%)
 16:00 7月 生産者物価上昇率 前年同月比 (6月 42.89%)
8月05日
 20:30 外貨準備高(グロス) 7/30時点 (7/23時点 626.6億ドル)
8月10日
 16:00 6月 失業率 (5月 13.2%)
8月12日
 16:00 6月 鉱工業生産 前月比 (5月 1.3%)
 16:00 6月 鉱工業生産 前年同月比 (5月 40.7%)
 16:00 6月 小売売上高 前月比 (5月 -6.1%)
 16:00 6月 小売売上高 前年同月比 (5月 27.0%)
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合 週間レポレート (現行 19.0%)


※ポイント要約は編集部

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る