109円台序盤、米長期債利回り低下で7月19日夜安値に迫る
〇ドル円、米長期債利回り低下からのドル安感強まる中、109.50割れから下げ足を速め109.17まで下落
〇米2年債債利回りは0.17%まで低下し6/18以降の最低値、6月FOMC後の急騰幅の大半を解消
〇NYダウ前日比97.31ドル安と下落したが取引時間中の史上最高値更新、昨年3月以降の上昇を継続
〇109.50以下で推移中は下向き、109.05試しへ、109円前後では買戻しも入りやすいとみる
〇109.50前後は戻り売りにつかまりやすい、109.50超えから強気転換注意、109.82を目指す可能性
【概況】
ドル円は8月2日深夜安値で109.17円まで下落、7月23日深夜高値110.58円以降の安値を更新、7月23日への上昇起点だった7月19日夜安値109.05円に迫った。
7月29日未明の米FOMC後にテーパリングへの新たな踏み込みはないとしてドル安反応となりドル円は29日未明高値110.28円から下落に転じて30日午前安値で109.35円まで下げた。FOMC後のドル売り一服で31日未明高値109.82円まで戻したものの買い戻し一巡後は勢いに欠け、週明け8月2日は日中を横ばい程度で推移していたが、米長期債利回りの低下を見てドル安感が強まる中で109.50円割れから下げ足を速めた。
7月23日深夜高値からは27日深夜安値109.57円へ一段目、30日午前安値までを二段目とすれば、底割れにより三段目の下落に入っている。
109.50円台までで下げ止まれていれば60分足や120分足レベルの逆三尊構成の右肩形成にとどまって切り返しに入る可能性もあったが、三段下げ型で下降トレンドを形成し始めているため、7月19日夜安値109.05円割れを試し、底割れからは7月2日高値を起点とした下落期の長期化も懸念される状況となってきている印象だ。週末の米雇用統計も控えているので突っ込み警戒感から下げ渋る可能性もあるところだが、先行的に底割れしてゆく可能性も警戒される。
【米長期債利回りが一段と低下】
8月2日は米長期債利回りの低下が目立った。利上げ時期に敏感な2年債利回りは6月17日未明の前回FOMC直後に急騰反応となり直前の0.15%台から0.28%台へ急伸したが、その後は戻り高値を切り下げつつ低下傾向に入り、7月20日に0.18%まで下げたところからは下げ渋りだったものの8月2日は0.17%まで低下して6月18日以降の最低とし、6月FOMC後の急騰幅の大半を解消している。
米10年債利回りは先週末比0.04%低下の1.18%となり、一時1.15%を付けて7月20日の1.12%に迫った。年初に1.0%を超えたところから上昇が加速して3月31日に1.77%を付けてピークアウトしたが、その後は週足で1週の戻りを入れつつも水準を切り下げる下降トレンドで推移しており、7月20日からの反発も22日で一巡して低下再開に入っている。30年債利回りも0.04%低下の1.85%となった。
NYダウは前日比97.31ドル安と下落したが序盤は取引時間中の史上最高値を更新した。多少の調整安をいれつつも昨年3月底以降の歴史的大上昇を継続する流れであり、本来なら株高債券安で長期債利回りが上昇傾向で推移してもよいところだが、株高に対しては史上最高値圏での高値警戒感もあること、変異株による感染再拡大への不安心理が安全資産としての米長期国債への買い意欲を維持していることで利回り低下傾向となっている。
米連銀が7月29日未明に発表した金融政策でも量的緩和縮小開始への議論は始まっているものの景気回復の過熱が落ち着けば物価上昇の上ブレを一時的として量的緩和縮小着手は急がれないとの市場の受け止めも長期債利回り低下を招いている。週末の中国国家統計局による製造業PMI等の低下、8月2日夜の米ISM製造業景況指数の低下等、最近は中国の景気回復にも一服感が出ており、米国も6月までのやや過熱した景気回復感が落ち着いているため、米連銀が言うように景気回復を続けてもインフレが危険な状況へ進むことはないだろうと市場も認識しているようだ。
ただし、8月2日には米連銀のウォラー理事が「今後2回の雇用統計が改善を示せば10月に量的緩和策縮小を開始することは可能だ」と述べる等、既にパンデミック対策としての量的緩和政策は役割を終え始めたとするタカ派的な考え方も米連銀内にはあるようだ。そうしたことも踏まえ、週末の米7月雇用統計が予想以上の雇用拡大となるのかどうか注目される。
ドル円にとっては株高によるリスク選好感が優勢ならクロス円の上昇を反映してドル円においても円安ドル高へ向かう可能性があるものの、米長期債利回り低下傾向が続くうちは日米金利差を踏まえて下落しやすい状況と思われる。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、7月22日夜安値から3日目となる27日深夜安値でサイクルボトムを付けて戻したが、23日深夜高値から3日目となる29日未明高値でサイクルトップを付けて弱気サイクル入りした。31日早朝へいったん戻してから一段安しているため30日午前安値で短めのサイクルボトムを付けて底割れにより既に新たな弱気サイクル入りとなっている可能性もあるので、7月31日早朝高値を超えないうちは一段安余地ありとみる。3日夜から4日未明にかけて続落の場合はボトム形成期が4日午前から6日午前にかけての間へ延びる可能性もあるとみる。強気転換は31日早朝高値超えからとし、その際は4日午後から7日早朝にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では27日深夜からの反騰で遅行スパンが好転していたが2日夜の下落で再び悪化、先行スパンへ潜り込んだところからも転落した。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、強気転換には先行スパンを上抜き返すところからとし、その際は遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は28日夜に70ポイント手前まで上昇したところから反落して2日深夜には30ポイントをいったん割り込んだ。その後も50ポイント以下での推移が続いているのでまだ一段安余地ありとみる。下げ足が速まる場合は20ポイント割れを目指す可能性もあるところとし、強気転換は50ポイント超えからとする。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7月19日深夜安値109.05円を下値支持線、109.50円を上値抵抗線とする。
(2)109.50円以下での推移中は下向きとして7月19日深夜安値109.05円試しとみる。109円前後ではいったん買い戻しも入りやすいとみるが、109.50円以下での推移なら4日の日中も安値試しを続けやすいとみる。下げ足が速まる場合は108.75円から108.50円にかけてのゾーンへ下値目途を引き下げる。
(3)109.50円前後は戻り売りにつかまりやすいとみる。109.50円超えからは強気転換注意として31日早朝高値109.82円を目指す可能性があるが、109.65円以上は反落警戒圏とみる。
【当面の主な予定】
8/3(火)
10:30 (豪) 6月 住宅建設許可件数 前月比 (5月 -7.1%、予想 -4.0%)
13:30 (豪) 豪中銀、政策金利 (現行 0.10%、予想 0.10%)
18:00 (欧) 6月 生産者物価指数 前月比 (5月 1.3%、予想 1.4%)
18:00 (欧) 6月 生産者物価指数 前年同月比 (5月 9.6%、予想 10.3%)
23:00 (米) 6月 製造業新規受注 前月比 (5月 1.7%、予想 1.0%)
27:00 (米) ボウマンFRB理事、会議開会挨拶
8/4(水)
英中銀金融政策委員会(MPC)1日目
07:45 (NZ) 4-6月期 就業者数 前期比 (1-3月 0.6%、予想 0.7%)
07:45 (NZ) 4-6月期 就業者数 前年同期比 (-3月 0.3%、予想 1.2%)
07:45 (NZ) 4-6月期 失業率 (1-3月 4.7%、予想 4.4%)
10:45 (中) 7月 財新サービス業PMI (6月 50.3、予想 50.5)
16:50 (仏) 7月 サービス業PMI改定値 (速報 57.0、予想 57.0)
16:55 (独) 7月 サービス業PMI改定値 (速報 62.2、予想 62.2)
17:00 (欧) 7月 サービス業PMI改定値 (速報 60.4、予想 60.4)
17:30 (英) 7月 サービス業PMI改定値 (速報 57.8、予想 57.8)
18:00 (欧) 6月 小売売上高 前月比 (5月 4.6%、予想 1.6%)
18:00 (欧) 6月 小売売上高 前年同月比 (5月 9.0%、予想 4.4%)
21:15 (米) 7月 ADP非農業部門雇用者増加数 前月比 (6月 69.2万人、予想 65.0万人)
22:45 (米) 7月 サービス業PMI改定値 (速報 59.8、予想 59.8)
23:00 (米) クラリダFRB副議長、講演
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
23:00 (米) 7月 ISMサービス業景況指数 (6月 60.1、予想 60.5)
※ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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