米FOMC後のドル高リラ安続き、中銀の政策金利据え置き効果も限定的
〇トルコリラ円、米FOMC後のドル高リラ安続き、6/17深夜12.61まで下げる
〇対ドル、ドル全面高に圧されて続落、6/17の日足は4日連続の陰線、史上最安値へ迫る勢い
〇トルコ中銀は政策金利据え置きを決定、市場予想通りであったため反応は限定的
〇12.75以下での推移中は下向きとし、12.60割れからは12.50前後への下落を想定する
〇12.75超えからは反騰入りとみて12.80台序盤への上昇を想定する、12.83以上は反落警戒
【概況】
トルコリラ円の6月17日は12.86円から12.61円の取引レンジ。
トルコ中銀は17日20時に政策金利の据え置きを決定したが、市場の反応は限定的で、FOMC後のドル全面高によるドル高リラ安の継続とドル円の反落も重なる中で12.62円まで安値を切り下げて6月11日へのリバウンドで付けた高値13.21円以降の安値を更新した。
エルドアン大統領による利下げ言及報道から6月2日に12.44円まで急落したところから持ち直しに入り、6月14日の米土首脳会談での両国関係改善期待も背景に6月11日高値13.21円まで戻してきたが、6月14日の米土首脳会談では目立った成果なく市場は失望に変わって下落に転じた。17日の中銀による政策金利据え置きは市場の予想通りであり、発表後にわずかに買われたものの早々に安値切り下げへ向かった。17日深夜に12.61円まで下げた後は下げ一服だが18日午前序盤は12.63円近辺で安値圏にとどまっての推移となっている。
ドル/トルコリラの6月17日は8.72リラから8.57リラの取引レンジ。6月2日のエルドアン大統領による利下げ言及報道から8.77リラへ急落して史上最安値を更新した後はいったん戻しに入り6月11日には8.25リラまで上昇したが、米土首脳会談では関係改善への成果が見られなかったことで失望売りとなり、17日未明の米FOMCが予想以上にタカ派だったことでのドル全面高に圧されて続落、17日の日足は4日連続の陰線となり史上最安値へ迫る勢いとなった。
【トルコ中銀は予想通りに現状維持】
トルコ中央銀行は17日の金融政策決定会合で政策金利の1週間レポレートを19.00%に据え置いた。カブジュオール総裁就任から3会合連続での据え置きは市場予想通りだったため、市場の反応は限定的だった。
中銀は声明で、インフレが顕著に低下するまで引き締め的な金融政策姿勢を断固として維持すると表明した。現総裁が就任してからは就任中に三度の利上げを行ったアーバル前総裁が使ってきた「必要に応じて追加利上げの用意がある」との文言が削除されてエルドアン大統領の利下げ希望の意向を踏まえて利下げのタイミングを伺う姿勢を示してきたが、足元の消費者物価及び生産者物価の上昇が収まらない状況ではとても利下げには踏み切れないことは現総裁も承知しているところであり、今回はリラ防衛の観点も踏まえて「引き締め的」や「断固として維持」などで表現を強めたようだ。
しかし6月1日にエルドアン大統領が「7月か8月ごろには中銀が利下げに転じることを希望している」旨を発言したと報じられたことでリラ売りが一挙に進んだこともあり、中銀としては物価上昇率が落ち着けば8月にも利下げしたい処ではあるが、なかなか踏み切れない状況にある。
次回の物価上昇率が低下してピークアウト感が強まれば利下げの可能性を踏まえて市場はリラ売りへ向かい、物価上昇率のピークが見えないなら利上げ催促でリラ売りへ向かい、いずれにしてもリラが売られやすい環境にあるのではないかと思われる。特に米連銀が量的緩和縮小の開始を議論し始めて利上げ時期の予想を前倒ししてきたこと、主要中銀でも量的緩和の縮小を既に開始し始めるところもあり、景気回復による緩和縮小と利上げの模索に入っている中ではトルコ中銀の利下げ希望姿勢は異質すぎるものだ。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、6月11日夕高値と14日夕高値がダブルトップとなって下落期に入ったが、17日午前時点では17日早朝へ一段安したために15日夜安値を直近のサイクルボトムとして底割れから新たな弱気サイクルに入っている可能性があるとし、17日早朝へ急落する前の高値12.95円を超えないうちは新たな弱気サイクル入りとして18日夜から22日夜にかけての間への下落を想定するとした。
6月17日夜に一段安して18日早朝へ続落しているためボトム形成中とみる。強気転換には12.80円を超えるような反騰が必要と思われる。
60分足の一目均衡表では17日早朝への一段安で遅行スパンが悪化し、先行スパンからの転落も続いている。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパンを上抜き返せないうちは一時的に遅行スパンが好転してもその後の悪化からは下げ再開とする。
60分足の相対力指数は18日早朝への下落で20ポイント台序盤へ低下したが、15日の下落時に付けたボトムとほぼフラットとなっている。50ポイント以下での推移中は一段安余地ありとみるが、強気逆行となる可能性もあるので50ポイント超えからはいったん戻しに入るとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12.60円を下値支持線、12.75円を上値抵抗線とする。
(2)12.75円以下での推移中は下向きとし、12.60円割れからは12.50円前後への下落を想定する。12.50円以下は反騰注意とするが、下げ足が速まる場合は6月2日安値12.44円を試す可能性もあるとみる。また12.75円以下での推移なら週明けも安値試しを続けやすいとみる。
(3)12.70円から12.75円手前は戻り売りにつかまりやすいとみるが、12.75円超えからは反騰入りとみて12.80円台序盤への上昇を想定する。12.83円以上は反落警戒とするが、12.75円を上回っての推移なら週明けも高値試しへ向かう可能性があるとみる。
【当面の主な予定】
6月22日
16:00 6月 消費者信頼感指数 (5月 77.3)
6月24日
16:00 6月 製造業景況感 (5月 110.3)
16:00 6月 設備稼働率 (5月 75.3%)
20:00 トルコ中銀MPC議事録要旨
20:30 週次外貨準備高 (6/18時点)
6月25日
17:00 5月 観光客数 前年比 (4月 3162%)
注:ポイント要約は編集部
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