トルコリラ円見通し 米FOMC後はドル高リラ安に(21/6/17)

トルコリラ円の6月16日は12.95円から12.77円の取引レンジ。

トルコリラ円見通し 米FOMC後はドル高リラ安に(21/6/17)

米FOMC後はドル高リラ安に

〇トルコリラ円、対ドルでのリラ安とドル円の急伸が交錯し17日早朝にわずかに安値を切り下げる
〇17日午前序盤は新たな安値更新へは進んでいないが、上値の重い状況
〇対ドルではドル全面高でリラ売られ17日早朝に8.62へ安値を更新
〇本日夜に金融政策決定会合、トルコ中銀のスタンスが市場にどう伝わるのか注目
〇12.70割れからは12.60前後への下落を想定、下げ足が速まれば12.50台後半へ下値目途引き下げ
〇12.95超えからは反騰入りとみて13円を試すとみる、13円以上は反落警戒

【概況】

トルコリラ円の6月16日は12.95円から12.77円の取引レンジ。
6月14日の米バイデン大統領とトルコのエルドアン大統領による初の対面首脳会談による両国関係の改善期待を背景に6月7日から6月11日まで5連騰となり6月11日夕刻に13.21円まで切り上げたが、その後は新たな高値更新へ進めずに、首脳会談の成果は薄かったとして15日早朝に13円割れへ下落、15日夜には12.779円まで続落した。その後は下げ一服となり、17日未明の米FOMC声明が市場予想よりもタカ派的だったことでドル全面高となる一方でドル円が急伸したために、トルコリラ円は対ドルでのリラ安とドル円の急伸が交錯して17日早朝に12.772円までわずかに安値を切り下げた。
6月17日午前序盤は12.81円を挟んだ揉み合いで新たな安値更新へは進んでいないが、上値の重い状況となっている。

【対ドルでは3日続落、米連銀がタカ派へ傾斜する中でトルコ中銀の金融政策会合に注目】

ドル/トルコリラの6月16日は8.62リラから8.47リラの取引レンジ。エルドアン大統領による利下げ言及報道から6月2日朝に8.77リラへ急落して史上最安値を更新した後は暴落一服で買い戻しに入り、米土首脳会談での両国関係改善期待で6月11日高値8.25リラまで反騰してきたが、首脳会談での成果は薄かったとして再び下落に転じていた。
6月17日未明の米FOMCを控えてドル高感が強まる中で6月14日から15日へと続落していたが、17日未明のFOMCが市場予想よりもタカ派的な内容だったことで発表後にはドル全面高となり、トルコリラも対ドルで売られて17日早朝にはこの日の安値となる8.62リラへ安値を更新、日足は3日連続の陰線=三羽烏となった。

米FOMCではFFレート誘導基準を現行の0.00%〜0.25%に据え置いたものの、市中銀行が米連銀に預けている超過準備預金の付利(IOER)を0.05%引き上げて0.15%とし、市場からの資金吸収手段である翌日物リバースレポ(RRP)の金利も従来の0.00%から0.05%へ引き上げた。またFOMC参加者18人の金利見通しでは、2023年末までに利上げを予想したのは18人中13人で前回に同様の予想が示された3月会合での18人中7人から増加し、2022年の利上げ想定も4人から7人へ増加した。
パウエル米連銀議長は会見において「金利予想は参加者個人による予想にすぎず利上げ議論は極めて時期尚早」と述べたものの、「量的金融緩和策の縮小について議論を始めた」と述べた。FOMC発表を受けて米長期債利回りは上昇してドル全面高となり、ユーロドル等が一段安し、南アランドやメキシコペソ等の新興国通貨も全面安となり、トルコリラも売られる展開となった。

米連銀が量的緩和を縮小し始めるのはまだ先だが、もはや量的緩和が拡大されることはなく、利上げ時期も従来の見通しから早まることとなった。ワクチンの普及でNY州やカリフォルニアでの規制が解除され景気回復感が強まる中、ワクチン普及や景気回復で出遅れるところでは中銀の金融緩和終了へ向けたプロセスも遅れるためドル高基調が続きやすい状況に入ってきた印象だ。その中においてトルコは大統領の意向により利下げを早めたい姿勢にあるため、米国の引き締め化とトルコの緩和化との差が今後はより目立つこととなるのではないかと思われる。
6月17日夜にはトルコ中銀の金融政策決定会合がある。利下げしたい大統領の意向を踏まえて中銀のスタンスが市場にどう伝わるのか注目される。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、6月11日夕高値と14日夕高値がダブルトップとなって下落期に入った。6月10日夕安値を基準とすれば安値形成期は15日夕から17日夕にかけての間と想定されたが、6月17日早朝へ一段安しているために15日夜安値を直近のサイクルボトムとして底割れから新たな弱気サイクルに入っている可能性がある。17日早朝へ急落する前の高値12.95円を超えないうちは新たな弱気サイクル入りとして18日夜から22日夜にかけての間への下落を想定する。ただし、12.95円を超える場合は17日早朝安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして17日の日中から18日夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では17日早朝への一段安で遅行スパンが悪化し、先行スパンからの転落も続いている。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパンを上抜き返せないうちは一時的に遅行スパンが好転してもその後の悪化からは下げ再開とするが、先行スパンを上抜くところからはいったん戻しに入るとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は17日早朝への下落では30ポイント台にとどまっているが、16日午後からは50ポイントを超えても維持できずにいるためまだ一段安余地ありとし、強気転換には60ポイントを超える上昇が必要とみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12.70円を下値支持線、12.95円を上値抵抗線とする。
(2)12.90円以下での推移中は下向きとし、12.70円割れからは12.60円前後への下落を想定する。12.60円以下は反騰注意とするが、下げ足が速まる場合は12.50円台後半へ下値目途を引き下げる。また12.85円以下での推移なら18日も安値試しを続けやすいとみる。
(3)12.90円から12.95円手前は戻り売りにつかまりやすいとみるが、12.95円超えからは反騰入りとみて13円を試すとみる。13円以上は反落警戒とするが、12.95円を超えた後も12.90円以上での推移なら18日は高値試しへ向かう可能性があるとみる。

【当面の主な予定】

6月17日
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合 政策金利 (現行 19.0%)
 20:30 週次外貨準備高 6/11時点 (6/4時点 496.4億ドル)
6月22日
 16:00 6月 消費者信頼感指数 (5月 77.3)
6月24日
 16:00 6月 製造業景況感 (5月 110.3)
 16:00 6月 設備稼働率 (5月 75.3%)
 20:00 トルコ中銀MPC議事録要旨
 20:30 週次外貨準備高 (6/18時点)
6月25日
 17:00 5月 観光客数 前年比 (4月 3162%)  

※ポイント要約は編集部

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