トルコリラ円見通し 米土首脳会談での関係改善見られず15日早朝からの下落続く(21/6/16)

トルコリラ円の6月15日は13.02円から12.77円の取引レンジ。

トルコリラ円見通し 米土首脳会談での関係改善見られず15日早朝からの下落続く(21/6/16)

米土首脳会談での関係改善見られず15日早朝からの下落続く

〇トルコリラ円15日日中は横ばい推移、夕方からのドル全面高きっかけのリラ安で12.77まで続落
〇米土首脳会談で関係進展がなく、今後の関係改善期待感は後退
〇米FOMC後に米長期債利回りが上昇しドル全面高となった場合トルコリラへの売り圧力が強まる可能性
〇17日のトルコ中銀金融政策決定会合で利下げを強調するなら更にリラ売りが強まる可能性も
〇12.90以下で推移中は下向き、12.75割れから12.70前後への下落を想定
〇12.90から12.95手前は戻り売りにつかまりやすいが12.95超えから反騰入りとみて13円を試すとみる

【概況】

トルコリラ円の6月15日は13.02円から12.77円の取引レンジ。6月14日の米バイデン大統領とトルコのエルドアン大統領による初の対面首脳会談実現による両国関係の改善期待を背景に6月7日から6月11日まで5連騰の上昇となり、11日夕刻には13.21円まで切り上げ、いったん小反落を入れたところから14日夕刻には13.20円まで再び上昇したものの、首脳会談で見るべき進展はなかったとして15日早朝には13円を割り込んで12.95円へ下落、15日の日中は12.98円を挟んで横這い推移となっていたが、夕刻からのドル全面高を背景に対ドルでのトルコリラ安をきっかけに一段安へ進み、15日夜安値で12.77円まで続落した。その後は下げ一服12.85円を挟んだ揉み合いとなっている。

【米土首脳会談の成果見られず、FOMC控えてのドル買い戻しに圧される】

ドル/トルコリラの6月15日は8.58リラから8.42リラの取引レンジ。6月2日早朝にエルドアン大統領による利下げ言及報道から8.77リラまで史上最安値を更新したところでやや狼狽的な売りが一巡して買い戻しの動きに入り、大手格付け会社フィッチや金融大手ゴールドマン等によるトルコ中銀の利下げ時期の先送り予想報道や米土首脳会談が組まれたことへの期待で反騰となり11日には8.25円まで戻り高値を切り上げていたが、その後は首脳会談結果待ちとなり、首脳会談後は新たな関係改善への期待が薄れたことで失望売りとなって8.48リラへ下落、15日はさらに続落で8.58リラへ安値を切り下げた。

6月14の米土首脳会談では両首脳共に前向きで建設的だったとしたが、両首脳揃っての会見はなく、会見後にエルドアン大統領はトルコによるロシア製ミサイル導入姿勢は変わらないとも述べたことで、今回の会談をきっかけとして両国関係が早々に好転してゆくような期待は薄れた。バイデン米政権はG7においても対中包囲網を先導する姿勢を示しているが、外交的な強硬さも見られており、トランプ政権からの交代で米国が対外的な融和姿勢へと転換してトルコとの関係も改善するような期待感は持てない状況だ。

6月17日未明には米連銀のFOMCがあり、米連銀によるテーパリング(量的緩和縮小の着手)議論が早まる可能性もあるために15日はドルの買い戻しがみられた。FOMC後は米長期債利回り上昇でドル全面高となるのか、逆に米長期債利回り低下でドル全面安となるのか、今後の趨勢も左右される可能性があり、特にドル全面高となる場合にはトルコリラへの売り圧力も再び強まる可能性があるところと注意したい。またその際は、6月17日のトルコ中銀金融政策決定会合において利下げへの姿勢を強調するようなことになるとリラ売り攻勢がさらに強まる可能性も警戒される。

【毛抜き天井型】

トルコリラ円は6月2日の暴落ショックから出直り、6月7日から11日まで5連騰で戻してきたが、6月11日は13.21円へ上昇したところから終値13.06円へ失速して日足は長い上ヒゲの小陽線となった。14日も13.20円まで再び戻したものの終値で12.98円へ失速して上ヒゲの目立つ陰線となった。両日の上ヒゲが毛抜き型のダブルトップ気配となっていたが、15日に続落の陰線引けとなったことで毛抜き天井形成により戻り一巡から下落に転じ始めた印象も強まりつつあるところだ。

2月16日高値と3月19日高値が日足における大きなダブルトップであり、3月19日以降の下落基調の中においては3月30日安値13.01円から4月2日高値13.84円まで0.73円の上昇で戻りが一巡して一段安となっており、4月26日安値12.67円から4月29日高値13.38円まで0.71円の上昇で戻りが一巡して一段安へ向かった経緯がある。今回も6月2日安値12.44円から6月11日高値13.21円までは0.77円の戻りであり、前2例の戻り幅と同レベルにとどまっているところから失速しているため、17日未明のFOMC反応と17日夜のトルコ中銀金融政策に対する市場反応次第では一段安へ向かいかねない姿と思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、6月11日夕高値と14日夕高値がダブルトップとなって下落期に入った。6月10日夕安値を基準とすれば安値形成期は15日夕から17日夕にかけての間と想定されるが、ダブルトップの中間にある14日朝安値を基準とすれば安値形成期は17日朝から21日午前にかけての間と想定されるので、現状では両方の可能性もあるとみて13.95円を超える反騰へ進めないうちは一段安警戒とし、12.95円超えからは強気サイクル入りとみて16日夜から18日夜への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では15日未明への急落で遅行スパンが悪化し、15日夕の一段安で先行スパンからも転落した。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とするが、安値更新を回避してジリ高で推移すれば遅行スパンは好転しやすくなると注意し、遅行スパン好転からはいったん戻しに入る可能性があるとみて高値試し優先とする。ただし先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とする。
60分足の相対力指数は15日夕刻の一段安で20ポイント台へ低下してからも50ポイント以下にとどまっているので50ポイント以下での推移中はもう一段安余地ありとし、強気転換には50ポイント台回復へ戻す必要があるとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12.70円を下値支持線、12.95円を上値抵抗線とする。
(2)12.90円以下での推移中は下向きとし、12.75円割れからは12.70円前後への下落を想定する。12.70円以下は反騰注意とするが、下げ足が速まる場合は12.60円台後半へ下値目途を引き下げる。また12.90円以下での推移なら17日も安値試しを続けやすいとみる。
(3)12.90円から12.95円手前は戻り売りにつかまりやすいとみるが、12.95円超えからは反騰入りとみて13円を試すとみる。13円以上は反落警戒とするが、12.95円を超えた後も12.90円以上での推移なら17日は高値試しへ向かう可能性があるとみる。

【当面の主な予定】

6月17日
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合 政策金利 (現行 19.0%)
 20:30 週次外貨準備高 6/11時点 (6/4時点 496.4億ドル)
6月22日
 16:00 6月 消費者信頼感指数 (5月 77.3)
6月24日
 16:00 6月 製造業景況感 (5月 110.3)
 16:00 6月 設備稼働率 (5月 75.3%)
 20:00 トルコ中銀MPC議事録要旨
 20:30 週次外貨準備高 (6/18時点)
6月25日
 17:00 5月 観光客数 前年比 (4月 3162%)  


注:ポイント要約は編集部

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