トルコリラ円見通し 6日ぶりに反落、米土首脳会談での進展見られず(21/6/15)

6月14日は13.20円から12.95円の取引レンジで、夕刻に13.20円まで上昇したところでは11日高値13.21円に届かず、15日早朝には13円を割り込んで12.95円へ失速した。

トルコリラ円見通し 6日ぶりに反落、米土首脳会談での進展見られず(21/6/15)

6日ぶりに反落、米土首脳会談での進展見られず

〇トルコリラ円、14日夕刻に13.20まで上昇、15日早朝に13円を割り込み12.95へ失速
〇対ドルは14日夕刻に8.28へ戻すも米土首脳会談の進展なくリラ売りとなり15日早朝8.48へ下落
〇米土首脳会談は両国間の問題に対処する作業を継続するとしたが関係改善への具体的な成果は見られず
〇13.10以下で推移中は下向きとし12.90割れから12.80前後への下落を想定
〇13.10手前は戻り売りにつかまりやすいが、13.10超えから反騰入りとし13.20前後試しへ向かうとみる

【概況】

トルコリラ円は6日ぶりに反落した。6月14日は13.20円から12.95円の取引レンジで、夕刻に13.20円まで上昇したところでは11日高値13.21円に届かず、15日早朝には13円を割り込んで12.95円へ失速した。
6月2日早朝にエルドアン大統領による利下げ言及報道から2日朝安値12.44円へ急落したところからは下げ渋り、6月7日から11日までは中銀の利下げ時期先送り見通しに関する報道や米土首脳会談での関係改善への期待感からリラの買い戻しが進み、期待感が一段と強まった11日には13.21円まで急伸したが、13.20円以上では上値が重くなって11日の日足は陽線引けだったものの長い上ヒゲを付けた。14日も同値近くまで上昇したところからの失速により、取引レンジとしては11日とほぼ同じだったものの11日同様に長い上ヒゲを付けたため、両日の上ヒゲ連続により毛抜き天井型となった可能性も考えられる。

ドル/トルコリラの6月14日は8.48リラから8.28リラの取引レンジ。6月2日のエルドアン大統領による利下げ言及報道から8.77リラまで史上最安値を更新したものの売り一巡から買い戻しに入り、6月10日にはトルコ中銀の利下げ時期の先送り見通しに関する報道や米土首脳会談での関係改善期待から8.40リラへ急伸、11日には8.25円まで高値を切り上げていた。6月14日は8.30リラ台後半での推移から夕刻に8.28リラまで戻したものの高値更新には至らず、その後は米土首脳会談での進展なしとみてリラ売りへ風向きが変わり15日早朝には8.48リラへ下落した。
米土首脳会談では双方が建設的な会談だったとしたが具体的な成果は何も示されなかったため、この会談への期待感によるリラ買いの動きは一巡した印象で、ドル/トルコリラの日足は前日の上昇分を解消する陰線で下落となり、前日に続いて長い上ヒゲを付けたことで8.20リラ台での上値抵抗感が示された印象だ。

【米土首脳会談での関係改善へ進展見られず】

6月14日、バイデン米大統領とトルコのエルドアン大統領がバイデン氏就任後は初となる対面での首脳会談を行った。英国でのG7からブリュッセルでのNATO首脳会議と欧州歴訪のバイデン氏に合わせて実現したものだが、両国の関係改善への具体的な発言は見られなかったため、関係改善を期待していた市場にとっては失望となった。
バイデン大統領は会談が「前向きで建設的だった」と述べ、今後は米国とトルコ双方のチームが両国間の問題に対処する作業を継続するとし、「実のある前進が得られると確信している」と述べた。またエルドアン大統領も「非常に有益かつ誠実な会談だった」とし、「トルコと米国の間で解決できない問題はないと思う」と述べた。しかし両大統領がそろって会見に立つことはなく、具体的な成果は見られなかった。会談後にはエルドアン大統領が「トルコのロシア製地対空ミサイルS400導入のスタンスは変わらない」と述べたとの報道もある。

両首脳の会談に先立つ13日には、トルコは中国と36億ドルの通貨スワップ協定に調印し、スワップの上限を60億ドルに引き上げた。トルコは2012年に中国との通貨スワップ協定を結んでおり、トルコ企業は中国からの輸入代金を人民元で支払うことができるようになっている。中国との良好な関係をアピールするものだが、G7及び米国が対中強硬姿勢を示しながらトルコへの圧力も高めている状況に対する対抗的な姿勢を示すものでもある。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、6月4日夕安値と7日夕安値をダブル底とした強気サイクル入りとして7日夜から9日夜にかけての間への上昇を想定していたが、6月10日夕刻へやや下げてから急伸したために11日午前時点では6月10日夕安値を直近のサイクルボトムとした新たな強気サイクル入りとして14日から16日夜にかけての間への上昇を想定した。
11日夕高値へ一段高した後は新たな高値更新へ進めずに13円割れへ失速しているので、11日夕高値と14日夕高値をダブルトップとした弱気サイクル入りとする。ボトム形成期はダブルトップの中間点にある14日朝安値を基準として17日朝から21日朝にかけての間と想定する。強気転換は14日夕高値超えからとする。

60分足の一目均衡表では15日未明への急落で遅行スパンが悪化した。先行スパンからも転落しかけているため遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、強気転換は先行スパンを上抜き返す反騰からとする。
60分足の相対力指数は6月11日夕高値から14日夕高値でダブルトップを形成する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行となり15日未明へ急落した。このため50ポイント以下での推移中は一段安警戒とし、強気転換には50ポイント台回復へ戻す必要があるとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12.90円を下値支持線、13.10円を上値抵抗線とする。
(2)13.10円以下での推移中は下向きとし、12.90円割れからは12.80円前後への下落を想定する。12.80円以下は反騰注意とするが、13円以下での推移が続くうちは16日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)13.10円手前は戻り売りにつかまりやすいとみるが、13.10円超えからは反騰入りとみて14日夕高値13.20円前後試しへ向かうとみる。また13.10円を超えた後も13.05円以上での推移なら16日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。

【当面の主な予定】

6月15日
 17:00 5月 財政収支 (4月 -169億リラ)
6月17日
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合 政策金利 (現行 19.0%)
 20:30 週次外貨準備高 6/11時点 (6/4時点 496.4億ドル)
6月22日
 16:00 6月 消費者信頼感指数 (5月 77.3)

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