米長期債利回り上昇で110円台回復、FOMC待ちに入る
〇ドル円、14日日中に109.60まで下げるも夜に米長期債利回りが上昇したことを背景に110円台回復
〇ユーロやポンドが深夜にかけ反騰、欧州主要国の長期債利回りも先週の大幅低下から反騰しドル安反応に
〇先週末までFOMCの金融政策は現状維持と見られたが今週に入りサプライズ警戒感も出始める
〇FOMCの金融政策姿勢の変化があるのか、また主要国との対比が今後重要になる可能性
〇109.75以上で推移中は上昇余地あり、110.33試しへ向かうとみる
〇109.75割れから下げに入るとみて109.50前後への下落を想定
【概況】
ドル円は6月14日夜の上昇で110円台を回復、15日未明には110.09円まで高値を伸ばし、6月4日以来の110円台到達となった。
6月10日の米消費者物価上昇率の上ブレや新規失業保険申請件数が6週連続の改善となったものの、消費者物価上昇率は前月比で伸びが鈍化したこと、新規失業保険申請件数の改善もパンデミック前水準を回復するにはまだ遠いと市場は受け止めて米長期債利回りは発表当初に上昇したものの早々に大幅低下へと転じたため、ドル円は10日夜高値109.79円から11日朝安値109.29円へ反落した。しかし米長期債利回りが下げ止まりしたことで11日はユーロやポンド等が急落してドル高へと風向きが変わったためにドル円は11日深夜に109.83円まで高値を切り上げる反発となった。週明けも14日も日中は109.60円までやや下げたものの109円台後半を維持して確りし、米長期債利回りが上昇したことを背景に110円台回復へ戻り高値を切り上げた。
【ドル円が上昇する一方、ユーロやポンドが上昇】
6月14日の為替市場は必ずしもドル高一辺倒ではなく、ユーロやポンドが深夜にかけて反騰した。米長期債利回りも上昇したものの欧州主要国の長期債利回りも先週の大幅低下から反騰したことで、ドル円以外ではドル安反応となった。このためクロス円ではドル円での円安とドルストレートでのドル安が重なったことで総じて大幅上昇となり、週末の下落を解消する動きとなった。ユーロ円は10日夜からの下落をほぼ解消するところへ反騰、ポンド円は11日午後高値を超えて10日夕安値以降の戻り高値を切り上げた。
14日は米国の主要経済指標の発表はなく手掛かり難だったが、前週までの米長期債利回り低下傾向が一服して米10年債利回りは上昇、米10年債利回りは前週末比0.05%上昇の1.50%、30年債利回りも0.05%上昇の2.19%へ戻した。米連銀のFOMC(連邦公開市場委員会=金融政策決定会合)が迫る中で先週末にかけては金融政策は現状維持とみて米長期債利回りは低下したが、週末を挟んでFOMCでのサプライズへの警戒感も出始めているためにポジション調整的に債券売り・利回り上昇へ進んだと思われる。株式市場はまちまちでNYダウは前日比85.85ドル安と下落する一方でナスダック総合指数は同104.72ポイント高でS&P500指数と共に史上最高値を更新している。
先週末にかけては米長期債利回りの低下と共に欧州各国等主要国の長期債利回りも大幅低下したために必ずしも米長期債利回り低下=ドル安という単純な反応にならずに欧州長期債利回り低下を見てユーロ等が下落する局面がみられた。14日は欧州主要国の長期債利回りも反騰したためにユーロやポンド等が買い戻されてドルストレートではドル円以外でドル安へ風向きが変わりユーロが11日深夜安値からジリ高基調で推移、ポンドドルも14日夕に10日夕安値をわずかに割り込んだところから反発している。米連銀のFOMCでの金融姿勢に変化が出るのか注目されるが、ECBは金融緩和継続姿勢が強固であり、豪中銀は緩和姿勢をやや縮小する可能性も取り沙汰されている。カナダ中銀やNZ中銀はすでに緩和縮小へ着手し始めている。このため、FOMCの姿勢変化があるのかどうかに加え、主要国の今後の金融政策姿勢との対比も重要になってくる。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
ドル円は6月7日夜安値からは9日夜安値、11日早朝へと安値ラインを若干切り上げている。戻り高値も8日夜から10日午前、10日夜、16日未明へと切り上げており、安値ラインよりも上昇角度が勝っているためにレンジ拡張型の逆三角持ち合いの様相で騰落を繰り返している。
6月7日以降の高値を結ぶラインは現在110.20円前後を目指す角度で進んでいる。安値ラインは109.30円台にある。FOMCからこれまでの上昇角度を超える勢いを示せば本格的な上昇継続感が強まるが、下落反応だと安値ラインをもう一度試しにかかることも懸念される。
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、6月7日夜安値から3日を経過した11日早朝安値で直近のボトムを付けて上昇期に入った。高値形成期は10日夜高値を基準として15日夜から17日夜にかけての間と想定される。多少のブレもあるとみて109.75円以上での推移中は上昇余地ありとみるが、109.75円割れからはいったん下げに入るとみて16日朝から18日朝にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では11日夜の上昇で遅行スパンが好転、先行スパンからも上抜けたが、その後も両スパン揃っての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、遅行スパン悪化からはいったん下げに入る可能性ありとみて安値試し優先とする。その際は先行スパンが下値支持帯になりやすいとみる。
60分足の相対力指数は15日未明への上昇で70ポイントを超えてきたため、50ポイント台を維持するうちは上昇余地ありとするが、高値を更新する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられる場合はいったん下げに入るとみて40ポイント前後への低下へ向かうとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、109.75円を下値支持線、6月4日午前高値110.33円を上値抵抗線とする。
(2)109.75円以上での推移中は上昇余地ありとして6月4日午前高値試しへ向かうとみる。110.30円から110.50円にかけてのゾーンは反落警戒圏とみるが、109.80円以上を維持しての推移なら16日も高値試しへ向かいやすいと見ている。
(3)109.75円割れからはいったん下げに入るとみて109.50円前後への下落を想定する。109.50円以下は反発注意とするが、109.75円以下での推移なら16日も安値試しへ向かいやすいと予想する。
【当面の主な予定】
6/15(火)
米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目
米・EU首脳会議(ブリュッセル)
10:30 (豪) 1-3月期 住宅価格指数 前期比 (10-12月 3.0%、予想 5.5%)
10:30 (豪) 1-3月期 住宅価格指数 前年同期比 (10-12月 3.6%、予想 7.6%)
10:30 (豪) 豪準備銀行、金融政策会合議事要旨公表
13:30 (日) 4月 第三次産業活動指数 前月比 (3月 1.1%、予想 -0.6%)
15:00 (英) 5月 失業保険申請件数 (4月 -1.51万件)
15:00 (英) 5月 失業率 (4月 7.2%)
15:00 (英) 4月 失業率・ILO方式 (3月 4.8%、予想 4.7%)
15:00 (独) 5月 消費者物価指数改定値 前月比 (速報 0.5%)
15:00 (独) 5月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (速報 2.5%)
18:00 (欧) 4月 貿易収支・季調済 (3月 130億ユーロ、予想 150億ユーロ)
18:00 (欧) 4月 貿易収支・季調前 (3月 158億ユーロ)
21:15 (英) ベイリー英中銀(BOE)総裁、発言
21:30 (米) 5月 生産者物価指数 前月比 (4月 0.6%、予想 0.6%)
21:30 (米) 5月 生産者物価指数 前年同月比 (4月 6.2%、予想 6.3%)
21:30 (米) 5月 生産者物価コア指数 前月比 (4月 0.7%、予想 0.5%)
21:30 (米) 5月 生産者物価コア指数 前年同月比 (4月 4.1%、予想 4.8%)
21:30 (米) 5月 小売売上高 前月比 (4月 0.0%、予想 -0.7%)
21:30 (米) 5月 小売売上高・除自動車 前月比 (4月 -0.8%、予想 0.2%)
21:30 (米) 6月 ニューヨーク連銀製造業景況指数 (5月 24.3、予想 22.0)
22:15 (米) 5月 鉱工業生産 前月比 (4月 0.7%、予想 0.6%)
22:15 (米) 5月 設備稼働率 (4月 74.9%、予想 75.1%)
21:15 (英) ベイリー英中銀総裁、講演
22:50 (欧) パネッタECB理事、講演
23:00 (米) 4月 企業在庫 前月比 (3月 0.3%、予想 -0.1%)
23:00 (米) 6月 NAHB住宅市場指数 (5月 83、予想 83)
26:00 (米) 財務省30年債入札
29:00 (米) 4月 対米証券投資 (3月 1464億ドル)
29:00 (米) 4月 対米証券投資・短期債除く (3月 2622億ドル)
6/16(水)
休場、南ア
米露首脳会談(ジュネーブ)
07:45 (NZ) 1-3月期 経常収支 (10-12月 -26.95億NZドル、予想 -23.50億NZドル)
08:50 (日) 5月 通関貿易収支・季調済 (4月 652億円、予想 2418億円)
08:50 (日) 5月 通関貿易収支・季調前 (4月 2553億円、予想 -900億円)
08:50 (日) 4月 機械受注 前月比 (3月 3.7%、予想 2.5%)
08:50 (日) 4月 機械受注 前年同月比 (3月 -2.0%、予想 8.0%)
11:00 (中) 5月 小売売上高 前年同月比 (4月 17.7%、予想 14.0%)
11:00 (中) 5月 鉱工業生産 前年同月比 (4月 9.8%、予想 9.2%)
15:00 (英) 5月 消費者物価指数 前月比 (4月 0.6%、予想 0.3%)
15:00 (英) 5月 消費者物価指数 前年同月比 (4月 1.5%、予想 1.8%)
15:00 (英) 5月 消費者物価コア指数 前年同月比 (4月 1.3%、予想 1.5%)
15:00 (英) 5月 小売物価指数 前月比 (4月 1.4%。予想 0.3%)
15:00 (英) 5月 小売物価指数 前年同月比 (4月 2.9%、予想 3.3%)
21:30 (米) 5月 住宅着工件数・年率換算件数 (4月 156.9万件、予想 164.0万件)
21:30 (米) 5月 住宅着工件数 前月比 (4月 -9.5%、予想 4.5%)
21:30 (米) 5月 建設許可件数・年率換算件数 (4月 176.0万件、予想 173.0万件)
21:30 (米) 5月 建設許可件数 前月比 (4月 0.3%、予想 -0.2%)
21:30 (米) 5月 輸入物価指数 前月比 (4月 0.7%、予想 0.8%)
21:30 (米) 5月 輸出物価指数 前月比 (4月 0.8%、予想 0.8%)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)、政策金利 (現行 0.00-0.25%、予想 0.00-0.25%)
27:30 (米) パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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