トルコリラ円レポート月曜版(2021年6月14日)

実際のレンジは、安値が12.57レベル、高値が13.17レベルとなり、これまでの下降トレンドを短期的には上昇トレンドへと転換させる大きな上昇を見せた一週間でした。

トルコリラ円レポート月曜版(2021年6月14日)

トルコリラ円レポート月曜版

〇先週のトルコリラ、安値12.57、高値13.17と上昇トレンドへと転換させる大きな上昇を見せた
〇11日発表のトルコ中銀インフレ見通しが高水準、現在の金利水準が続くという思惑広がり13円台回復
〇本日はバイデン・エルドアン首脳会談、前評判に反して対立深まれば、中銀会合を前に下げる可能性
〇首脳会談が無事に終われば強い地合いを維持したまま中銀会合待ちか
〇16日のFOMCは最近の米金利市場の反応やテーパリング議論は先と考えるとトルコリラへの影響限定的か
〇今週は12.90レベルをサポートに13.30レベルをレジスタンスとする流れ

まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、「引き続きトルコリラ安トレンドが続くと考え12.35レベルをサポートに、12.80レベルをレジスタンスとする流れ」を見ていました。実際のレンジは、安値が12.57レベル、高値が13.17レベルとなり、これまでの下降トレンドを短期的には上昇トレンドへと転換させる大きな上昇を見せた一週間でした。

先週のトルコリラは、本日のバイデン・エルドアン首脳会談を前に両国の関係改善思惑が広がり、10日には両国からも会談に向けて期待の発言が出たことからトルコリラ買いにつながりました。そしてこの木曜の動きはテクニカルに大きく、3月の前中銀総裁解任直後の高値から引いてきたレジスタンスラインを上抜けする動きとなり、今週の中銀会合を控えてポジション調整の買い戻しにつながったと考られます。

さらに11日にはトルコ中銀がインフレ見通しを発表、その数字が高水準であることから現在の金利水準が今後も続くのではないかとの思惑が広がり、13円の大台を回復し高値13.17レベルは5月10日以来と1か月ぶりの高値圏へと戻したことで、エルドアン大統領による中銀総裁への低金利圧力をかけるまえの水準に戻したと言えます。

そして今週は本日のバイデン・エルドアン会談で波乱が無いとは思うものの、もし前評判に反して両国の対立が強まるようなことになれば再び中銀会合を前に下げる可能性もあり、念の為注意しておきましょう。何も無い場合も含め会談が無事に終われば現状の強い地合いを維持したままで中銀会合待ちとなりそうです。

そして17日のトルコ中銀会合の前日16日にはFOMCもあるのですが、こちらは最近の経済指標に対する米金利市場の反応や、これまでのパウエルFRB議長の発言を聞いている限りテーパリングの議論はもう少し先というところだと思いますので、トルコリラへの影響は限定的であると考えられます。

そしてトルコ中銀に関しては現在の政策金利19.0%が維持されるとの見方がコンセンサスです。エルドアン大統領がトルコ中銀総裁と会談した直後から、今回の会合では利下げが行われるという見方が広がっていましたが、その後の中銀総裁のタカ派発言や先週のインフレ見通し等から、今回は現状維持という方向になっています。

しかし、エルドアン大統領の利下げ圧力は今後も続く可能性が高く、思いのほか早期に利下げに転換する可能性も否定できず、今回現状維持であったとしてもそれだけでトルコリラを買い続けることは難しいと思います。さすがに利下げは無いとは思いますが、そんなことが起きた場合には急落は免れないでしょうし、そのようなリスクを今後も抱えていくことから、上がったところでは売りが出やすいというのが個人的な見方です。

テクニカルにはいつもの4時間足チャート(上からトルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円)をご覧ください。

トルコリラ円レポート月曜版

ピンクの太いラインが3月の中銀総裁解任レジスタンスです。これまで同ラインよりも下で推移していたトルコリラ円は先週木曜に上抜けしたことが確認できます。そして現在はまだ確定するには日が浅いものの直近安値圏からのサポートライン(青)を引くことが出来、さらには次のターゲットとなる4月29日高値13.31(ピンクの水平線)を視野に入れていると見ることが出来るでしょう。

トルコ中銀会合で予想通り現状維持となる前提で、金曜の安値圏となった12.90レベルをサポートに上述したターゲットと重なる13.30レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。


注:ポイント要約は編集部

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