『リスクオフ再燃で再び下落。根強い利下げ観測もリラの重石』
〇トルコ円米土関係改善期待から週明け13.22まで上昇
〇バイデンーエルドアン会見は成果なく、週末にかけ失望売りに12.60まで急落
〇トルコ円、テクニカルファンダメンタルズとも弱く下落が意識される
〇年初来安値12.45円を試すシナリオも想定
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):12.30ー12.90
今週のレビュー(6/14−6/18)
今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初13.07円で寄り付いた後、@バイデン米大統領とエルドアン・トルコ大統領との会談を控えた期待感(米土関係の改善期待)や、Aトルコ4月経常収支の赤字額縮小を背景に、週明け早々に週間高値13.22円まで上昇しました。しかし、先週末金曜日に記録した直近高値13.24円や、一目均衡表雲下限をバックに伸び悩むと、Bエルドアン大統領による「ロシア製地対空ミサイルS400の導入スタンスは変わらない」との発言(上記@の会談を受けても尚、ロシア製地対空ミサイルを巡る問題は解決されず→失望感)、
Cトルコ中銀による根強い利下げ観測(今週6/17に実施されたトルコ中銀金融政策決定会合では主要政策金利である1週間物レポ金利が3会合連続で据え置かれると共に、声明文でも引き締め的な金融政策を断固として維持する方針が示されましたが、市場では引き続きエルドアン大統領の利下げ圧力に屈する形でトルコ中銀が7月ー9月頃に利下げに踏み切るとの見方が根強い状態)が重石となり、週末にかけて、6/7以来となる安値12.60円まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、結局12.61円前後での越週となっております。
来週の見通し(6/21−6/25)
トルコリラの対円相場は、6/11に記録した約1ヵ月ぶり高値13.24円をトップに反落に転じると、今週末にかけて、安値12.60円まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドを下抜けした他、200日線と90日線のデッドクロス、弱気のパーフェクトオーダー(下から順番に短・中・長期線が並ぶ状態)点灯も実現するなど、テクニカル的に見て、地合いは弱いと判断できます。
ファンダメンタルズ的に見ても、@トルコ経済の先行き不透明感や、Aトルコ中銀による利下げ観測(市場参加者は7/14や8/12、9/23の会合で政策金利が引き下げられるとの見方が根強い)、B国内から国外への資本流出圧力(中銀の独立性に対する不信感。※但し、外貨準備不足への対応策としてトルコ中銀は6/13、中国人民銀行と通貨スワップ枠の増額で合意)、C米早期テーパリング観測の再燃(タカ派な米FOMCを受けて過剰流動性相場の逆流リスクが台頭。リスク回避的な動きに繋がり易く、トルコなどの新興国通貨は売られ易い地合い)など、トルコリラ円相場の下落を意識させる材料が増えつつあります。
以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は、6/22のトルコ6月消費者信頼感指数、6/24のトルコ6月製造業景況感指数、6月設備稼働率、トルコ中銀議事要旨などに注目が集まります。冴えない結果となれば、6/2に記録した年初来安値12.45円を試すシナリオも想定される為、ダウンサイドリスクに注意が必要でしょう。
来週の予想レンジ(TRYJPY):12.30ー12.90
注:ポイント要約は編集部
トルコ円日足
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