トルコリラ円見通し FOMC後のドル全面高に圧される、終値ベースでは2月14日以降の最安値更新(21/6/21)

取引時間中の6月2日安値割れには至らないものの、終値ベースでは6月4日終値12.61円を割り込んで2月17日終値以降の最安値更新となった。

トルコリラ円見通し FOMC後のドル全面高に圧される、終値ベースでは2月14日以降の最安値更新(21/6/21)

FOMC後のドル全面高に圧される、終値ベースでは2月14日以降の最安値更新

〇先週のトルコリラ円、6/17,6/18は2日連続陰線で下落、終値ベースでは2/17終値以降の最安値更新
〇対ドルでは6/14から6/18まで5日連続陰線での下落、6/2の8.777リラ割れへ余裕が乏しい
〇米土首脳会談はみるべき成果なく失望売り、米FOMCからはドル全面高の様相となりドル高リラ安進む
〇トルコリラ円、ドル全面高からのリラ安とクロス円全般の円高の両面から圧される展開への懸念
〇12.85以下での推移中は下向きとし、12.50割れから12.44、12.00を試す流れへ進みやすくなるとみる
〇12.85超えからは13.00前後試しとするが、13円手前は戻り売りにつかまりやすいとみる

【概況】

トルコリラ円の6月18日は12.72円から12.56円の取引レンジ。
6月2日のエルドアン大統領による利下げ言及報道から12.44リラへ急落して2月16日高値15.26円以降の安値を更新したが昨年11月6日の史上最安値12.03円割れには至らずに持ち直し、6月14日の米土首脳会談へ向けた両国関係改善期待も背景に6月7日から6月11日まで5連騰で戻し、11日には13.21円へ戻り高値を切り上げた。しかし6月14日の米土首脳会談ではみるべき成果なく失望売りに転じた。6月17日未明の米FOMCからはドル全面高の様相となってドル高リラ安も進み、17日夜のトルコ中銀による金融政策現状維持も反応薄く、トルコリラ円は17日と18日は2日連続陰線で下落、取引時間中の6月2日安値割れには至らないものの、終値ベースでは6月4日終値12.61円を割り込んで2月17日終値以降の最安値更新となった。

ドル/トルコリラの6月18日は8.75リラから8.62リラの取引レンジ。6月2日のエルドアン大統領による利下げ言及報道で8.77リラへ急落して史上最安値を更新してから6月11日に8.25リラまで戻したが、米土首脳会談は成果が見られずに失望売りとなり、17日の米FOMCが予想以上にタカ派だったことでドル全面高となり、17日夜のトルコ中銀による政策金利等現状維持も反応薄く下落が続いた。
日足は6月14日から18日まで5日連続陰線での下落となった。週末時点では史上最安値に迫ったところだったが、週明け早々に8.774リラ台へ下落して6月2日の8.777リラ割れへ余裕が乏しくなっている。

【0.80円前後の戻り一巡での下落パターン】

トルコリラ円は6月2日安値から6月11日高値まで0.77円の戻り幅だったが、6月11日と6月14日の両日を長い上ヒゲとして毛抜き天井型を形成してから下落している。
3月22日にアーバル前総裁が突然解任されたことで3月19日の戻り天井15.13円から暴落に入り、3月30日に副総裁一人も更迭されたことで13.01円まで安値を切り下げたところから4月2日高値13.84円まで0.83円の反発が入ったが、4月2日は長い上ヒゲ陰線となって下落に転じた。また4月26日安値12.67円へ一段安したところから4月29日高値まで0.71円の反発が入ったが、4月28日と4月29日の両日が長い上ヒゲによる毛抜き天井型となって下落に転じている。
今回もそれらと同様の規模の反騰であり、戻り一巡を印象付ける上ヒゲを付けての下落期入りであり、既に終値ベースでは2月17日以降の最安値を更新していることを踏まえれば、取引時間中のこの間の最安値である6月2日安値12.44円を割り込んで昨年11月6日の史上最安値12.03円を試す流れへ向かいやすいところと思われる。

【米連銀のタカ派傾斜とトルコ中銀の利下げを伺う姿勢の対比】

トルコ中央銀行は6月17日の金融政策決定会合で政策金利の1週間レポレートを19.00%に据え置いた。カブジュオール現総裁就任から3会合連続での据え置きとなった。
前任のアーバル総裁は昨年11月に就任してから3会合連続で利上げを行い、インフレ率を下回っていた政策金利をインフレ率以上へ引き上げて市場の信認を回復していたが、「低金利がインフレを抑制する」との異説を唱えるエルドアン大統領により解任された。カブジュオール現総裁は「インフレが顕著に低下するまで引き締め的な金融政策姿勢を断固として維持する」としているが、インフレの上ブレが落ち着けば7月か8月には利下げしたいという大統領の意向を踏まえている。

トルコの物価上昇率は5月時点で消費者物価の前年比が16.59%、生産者物価では38.33%であり、まだ当分は中銀が利下げへ踏み切ることも難しい状況ではあるが、追加利上げをちらつかせるような姿勢はなく、せいぜいが今年後半へ利下げ時期がずれ込むだろうという程度にとどまっている。
次回の物価上昇率発表は7月5日、中銀金融政策決定会合は7月14日に予定されており、それまでは米FOMCをきっかけに発生しているドル全面高の様相が継続するならドル高リラ安の進行となり、株式市場も下落が続くようだと金融市場全般へのリスク回避感が強まるためにクロス円全般の円高も進み、トルコリラ円にとってはリラ安と円高の両面から圧される展開に陥りやすいのではないかと懸念される。

【日足の一目均衡表・サイクル分析】

【日足の一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円は概ね4か月前後の底打ちサイクルで推移している。短い場合は3か月前後での底打ち、長ければ5か月かかることもあるが、2月16日と3月19日の両高値をダブルトップとして下落期に入ってきたものの、ダブルトップの谷間にある3月8日安値から6月2日安値までは3か月を経過しているので、やや短めにこのサイクルのボトムを付けて6月11日へ戻したと思われる。しかし6月2日安値を割り込んでいないものの終値ベースでは日足の安値更新に入っているため、6月11日で戻りを一巡して新たな下落期に入っている可能性が考えられる。このため、6月11日高値を超えないうちは次の安値形成期となる9月前半から10月序盤にかけての間へ下落継続しやすい状況に入っているのではないかと考える。ただし、6月11日高値を超える場合は底割れ回避による上昇期の継続として6月末から7月中後半への上昇余地が発生すると考える。

日足の一目均衡表では6月11日への上昇では遅行スパンが好転できず、先行スパンの下限が壁となって失速しているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。ただし6月11日高値を超える反騰が発生する場合は先行スパンへ潜り込み遅行スパンも好転してくるので高値試し優先とする。

日足の相対力指数は6月11日への上昇時に50ポイントを超えたがその後は30ポイント台へ失速しているので、戻り一巡から下落期に入っている印象だ。強気転換は60ポイントを超える反騰発生からとし、50ポイントを下回っての推移か一時的に超えても維持できないうちは一段安警戒とする。

以上を踏まえて中勢のポイントを示す。
(1)中勢としては、6月2日安値12.44円を下値支持線、6月11日高値13.21円を上値抵抗線とする。
(2)12.85円以下での推移中は下向きとし、12.50円割れからは6月2日安値試しとし、底割れからは12.00円を試す流れへ進みやすくなるとみる。12.25円以下は反騰注意圏とするが、12.50円を下回ての推移が続くうちは中勢での下落感が続きやすいとみる。
(3)12.85円超えからは13.00円前後試しとするが、13円手前は戻り売りにつきあまりやすいとみる。ただし、新たな材料を伴って13円を超えてくる場合は6月11日高値超えを試す可能性も出てくると注意する。

【当面の主な予定】

6月22日
 16:00 6月 消費者信頼感指数 (5月 77.3)
6月24日
 16:00 6月 製造業景況感 (5月 110.3)
 16:00 6月 設備稼働率 (5月 75.3%)
 20:00 トルコ中銀MPC議事録要旨
 20:30 週次外貨準備高 (6/18時点)
6月25日
 17:00 5月 観光客数 前年比 (4月 3162%)  
6月29日
 16:00 6月 経済信頼感指数 (5月 92.6)
6月30日
 16:00 5月 貿易収支 (4月 -30.6億ドル)
7月1日
 16:00 6月 イスタンブール製造業PMI (5月 49.3)
 20:30 週次外貨準備高 (6/25時点)



※ポイント要約は編集部

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