トルコリラ円見通し 5月18日午前からの下落基調続く、ドル高再開感が圧迫(21/5/20)

トルコリラ円は20日早朝に13.00円まで戻したが20日午前序盤は13円台を維持できずに上値の重い展開となっている。

トルコリラ円見通し 5月18日午前からの下落基調続く、ドル高再開感が圧迫(21/5/20)

5月18日午前からの下落基調続く、ドル高再開感が圧迫

〇トルコリラ円、19日はドル円が深夜に急落する過程で下げ足を速め、12.88まで安値を切り下げる
〇その後ドル円反騰入りでトルコリラ円も下げ一服、20日早朝には13.00まで戻す
〇18日から2日連続陰線、13円割れからの戻りも長続きせず下げ再開に入ってきた印象
〇対ドルでは19日夜に8.43リラへ下落、20日午前は8.40リラを挟んでの推移
〇12.85割れからは12.80前後への下落を想定、12.80以下は反騰注意
〇13.03超えからは13.10円前後への上昇を想定、13.10以上は反落警戒

【概況】

トルコリラ円は5月14日夕刻安値12.83円から反騰に転じ、18日午前に13.14円まで戻したもののその後は新たな高値更新へ進めずに18日夜は13.10円を割り込んだところから下げ足が早まり19日朝には12.97円まで安値を切り下げた。
5月19日はビットコインやイーサ等の仮想通貨が急落、NYダウが一時前日比580ドル安へ大幅続落、米10年債利回りも一時1.69%へ上昇したことで為替市場ではドルストレートでの買い戻し、クロス円での円買い戻しへ向かい、ドル円が深夜に108.56円まで急落する過程でトルコリラ円も下げ足を速めて12.88円まで安値を切り下げたが、ドル円が5月7日安値108.32円割れを回避して反騰入りしたことでトルコリラ円も下げ一服となり、20日早朝には13.00円まで戻した。しかし20日午前序盤は13円台を維持できずに上値の重い展開となっている。
日足は5月18日、19日と2日連続陰線であり、13円割れからの戻りも長続きせずに戻り売りにつかまって下げ再開に入ってきた印象だ。

【対ドルでのリラ高も三角持ち合いの抵抗線到達で失速】

対ドルでのトルコリラは5月13日安値8.51リラで4月26日安値を割り込み昨年11月6日の史上最安値8.57リラ以来の安値水準となっていたところから戻しに入り18日夕刻には8.28リラまで上昇したが、買い一巡後は再び下落基調となり、19日夜には8.43リラへ下落した。その後は安値更新を回避しているものの米FOMC議事録公開からのドル高により上値の重い展開で、20日午前は8.40リラを挟んでの推移となっている。
日足は5月18日、19日と2日連続の陰線となった。3月30日以降の戻り高値は4月15日高値7.98リラ、4月29日高値8.11リラと切り下がって三角持ち合いの上値抵抗線を形成、5月18日高値もこの切り下がりの上値抵抗線に到達したところで抑えられて下落再開に入りつつある印象だ。5月13日安値を割りこめば3月30日以降の三角持ち合い下放れで11月6日安値試しへ向かい、さらに史上最安値更新へ進む可能性も危惧される動きだ。

【米FOMCのテーパリング議論言及、ドル高再開がリラの最安値更新を助長するか】

米連銀が4月27-28日のFOMC議事録を公開した。複数のメンバーが量的緩和の縮小開始時期に言及したことが示されたために利上げ前段階としての量的緩和縮小=テーパリングが前倒しされるのではないかとの懸念が強まり、議事録公開後はドル全面高の様相となっている。

メジャー通貨の加重平均であるドル指数は1月6日底89.21ポイントから3月31日高値93.44ポイントへ上昇したところから下落に転じ、5月18日には89.69ポイントまで下げて1月6日安値に迫ったが底割れを回避している。年初からのドル高と3月末からのドル安は米長期債利回りが年初から一段と上昇基調を強めたこと、3月30日に米10年債利回りが1.77%でピークアウトしたことと同期している。米10年債利回りは5月7日の米雇用統計がさえなかったことで一時1.50%割れへ急低下したものの当日に1.57%へ戻し、5月12日の米4月消費者物価上昇率の予想以上の上ブレを見た後の5月13日には1.70%まで上昇、その後は1.60%まで低下するなど落ち着いた動きとなり、為替市場ではドル安基調が5月7日以降も続いてきたのだが、今回のFOMC議事録を踏まえて、今後の米経済指標が強く、物価上昇率関連での上ブレが続けば次回のFOMCないしはその次にはテーパリングの基本方針などが示される可能性も出てきた印象であり、ドル安基調にもブレーキがかかる可能性がある。

対ドルでのトルコリラが市場最安値更新にまで進んでいなかったのは、3月末からのドル安基調がリラ安にサイドブレーキをかけていたことも影響していたとすれば、ブレーキが外れればリラ売りの加速により11月6日安値を割り込んで最安値更新へと進みやすい環境となるのではないかと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、5月14日朝安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして17日午後から19日午後にかけての間への上昇を想定していたが、5月18日深夜への下落で弱気転換目安とした13円を割り込んだために19日午前時点では18日午前高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとした。またボトム形成期は19日の日中から21日夜にかけての間と想定されるので既に反騰注意期にあるとしたが、13.10円台を回復できないうちは一段安余地ありとした。
5月19日夜へ続落し、その後も安値圏での推移となっているので引き続きボトム形成中とみるが、反騰注意期にはいっているので13.03円超えからは強気サイクル入りとして21日午前から25日午前にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では18日夜の下落で遅行スパンが悪化、19日夕刻には先行スパンから転落した。その後も両スパン揃っての悪化が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とするが、先行スパンを上抜き返すところからはいったん戻しに入るとみて遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は50ポイント以下での推移が続いているのでまだ一段安余地ありとみるが、19日夜安値を割り込んで一段安入りしてゆく過程で指数のボトムが切り上がるなら強気逆行となって反騰入りしやすくなると注意する。強気転換は50ポイント超えからとする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。

(1)当初、12.85円を下値支持線、13.03円を上値抵抗線とする。
(2)13.03円以下での推移中は一段安余地ありとし、12.85円割れからは12.80円前後への下落を想定する。12.80円以下は反騰注意とするが、13.03円以下での推移なら21日も安値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)13.03円手前は戻り売りも出やすいとみるが、13.03円超えからは13.10円前後への上昇を想定する。13.10円以上は反落警戒とするが、13.03円を超えた水準を維持しての推移なら21日も高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

5月20日
 19:30 4月 自動車生産 前年同月比 (3月 19.4%)
5月21日
 16:00 5月 消費者信頼感指数 (4月 80.2)
20:30 週次 外貨準備高 5/14時点 (5/7時点 488.6億ドル)
5月24日
 17:00 4月 観光客数 前年比 (3月 26.07%)
5月25日
 16:00 5月 製造業景況観指数 (4月 111.0)
 16:00 5月 設備稼働率 (4月 75.9%)
5月27日
 20:30 週次 外貨準備高 5/21時点
5月28日
 16:00 4月 貿易収支 (3月 -46.5億ドル)
 16:00 5月 経済信頼感指数 (4月 93.9)

注:ポイント要約は編集部

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