トルコリラ円見通し ドル安基調続けば下支えられるが上値の重い展開続く(21/5/21)

トルコリラ円の5月20日は13.06円から12.93円の取引レンジでの推移。

トルコリラ円見通し ドル安基調続けば下支えられるが上値の重い展開続く(21/5/21)

トルコリラ円見通し ドル安基調続けば下支えられるが上値の重い展開続く

〇トルコリラ円、5/20は13.06から12.93の取引レンジ
〇ドル安基調を背景に13.06まで上昇したが、深夜以降13円を割り込んでの推移
〇対ドルでは5月20日は8.41から8.31の取引レンジ、全般的なドル安に支えられるも勢いに欠ける
〇ドル安基調継続なら、次回物価統計と金融政策決定会合のスタンスにより今後の方向性が試されるか
〇13円以下での推移中は一段安余地ありとし、12.88割れからは12.80前後への下落を想定する
〇13.06手前は戻り売りも出やすいとみるが、13.06超えからは13.10前後への上昇を想定する

【概況】

トルコリラ円の5月20日は13.06円から12.93円の取引レンジでの推移。
5月14日夕刻安値12.83円から18日午前高値13.14円まで戻したもののその後は失速、19日夜にはドル円の急落時に12.88円まで安値を切り下げた。19日深夜からドル円がV字反騰したことで20日午前へ持ち直しに入り、20日夜にかけてはドル円が再び失速したものの20日早朝からの全般ドル安基調を背景に対ドルでトルコリラが戻したことで13.06円へ持ち直したが、対ドルでのトルコリラの上昇も勢いには欠けてドル円の軟調な推移が21日早朝まで続いたために20日深夜以降は13円を割り込んでの推移となっている。

【対ドルでは全般的なドル安に支えられるも勢いに欠ける】

ドル/トルコリラの5月20日は8.41リラから8.31リラの取引レンジ。
5月13日安値8.51リラで4月26日安値を割り込み昨年11月6日の史上最安値8.57リラ以来の安値水準となったところから戻しに入り、18日夕刻に8.28リラまで上昇したもののその後は伸びず、19日夜は仮想通貨市場の急落やNYダウの大幅続落開始等によるリスク回避的なドル買いに圧されて19日夜に8.43リラへ下落した。20日未明の米FOMC議事録公開でテーパリング議論への言及があったとして公開後にドル高が進んだものの20日早朝にはドル買いも一巡、材料消化としてユーロやポンド、豪ドル等が戻しに入り、ドル/トルコリラも下落一服で20日夜には8.31リラへ反発したが、勢いは鈍く21日朝にかけては8.37リラ近辺で揉み合いとなっている。

【ドル安基調継続なら次回の物価統計と金融政策決定会合までは下支えられるか】

米連銀FOMC議事録では景気回復とインフレ進行を踏まえて量的緩和縮小開始議論への言及があった。公開直後はドル高反応となったが、その後は材料消化でドル安感が回復している。4月後半から5月序盤にかけては米経済指標も軒並み強く、物価上昇率の上ブレが米連銀の予想を超える勢いではないかとの見方も強まりテーパリングの前倒し論も見られるようになったが、5月7日の米4月雇用統計がさえなかったこと、5月12日の米4月消費者物価上昇率はさらに上ブレしたものの、その後の米経済指標は強弱まちまちとなり景気回復の過熱感はやや後退しており、テーパリングの議論が始まってもしばらくは量的緩和規模も維持されるのではないかとの見方が強まってきている。

こうした市場心理を反映してユーロドルは3月31日安値1.1702ドルを底とした反騰を継続して1.2250ドルへ迫り、1月6日高値1.2349ドルへ徐々に迫る勢いとなっている。ユーロドルと逆相関であるドル指数も1月6日底から3月31日高値へ上昇したところから下落に転じ、5月18日には1月6日安値89.21ポイント以来の90ポイント割れとなり底割れへの余裕が乏しくなっている。新興国通貨も同様であり、南アランドは3月8日を底に上昇を再開して昨年4月底以降の最高値を5月11日に更新した後も最高値近辺での推移を続けている。

ユーロドルやドル指数の動きは米10年債利回り動向を反映しており、年初から米10年債利回りが一段と上昇を加速させたことでドル高に入り、3月30日に1.77%まで上昇したところでピークアウトしたことで低下に転じ、その後のドル安基調をもたらしてきた。米10年債利回りは5月7日の米雇用統計発表直後に1.50%をいったん割り込んでから持ち直しに入り、5月13日には1.70%まで上昇したものの、その後は再び低下している。最近の米経済指標も一進一退の様相となっているために景気過熱感がやや後退しているためだが、米10年債利回りが3月30日のピークを超えないうちは1.50%台から1.70%程度までの範囲内に落ち着き、株式市場の中勢としての好調さが維持されればリスク選好的なドル安は継続しやすくなる。そうなれば新興国通貨高も継続し、トルコリラにとっても昨年11月6日の史上最安値を更新するのは時期尚早として中勢レベルの下げ渋りで暫くは推移する可能性がある。

トルコ中銀の次回金融政策決定会合は6月17日。物価上昇率の発表は6月3日の予定であり、3月19日の前総裁解任騒動からのリラ暴落も新総裁による「インフレ率を下回る利下げはしない」姿勢によりひとまず落ち着いている。全般的なドル安基調が下支えとなれば、次の物価上昇率をみての次回金融政策決定会合における中銀の政策スタンスにより史上最安値更新へ向かうか、いったん持ち直しへ向かうのか、試されることになってゆくのではないか。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、5月18日午前高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとしてボトム形成期を19日の日中から21日夜にかけての間と想定したが、5月19日夜へ続落してからも安値圏にとどまっていたため20日午前時点ではまだ一段安余地ありとし、13.03円超えからは強気サイクル入りとした。
5月20日夜に強気転換目安とした13.03円を超えたため、19日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとする。20日夜高値から反落しているので既に戻り一巡から下落期に入っている可能性もあるが、19日夜安値割れを回避するうちは21日の日中から25日午前にかけての間への上昇余地ありとし、19日夜安値割れからは新たな弱気サイクル入りとして24日夜から26日深夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では19日夜からやや戻したものの再び13円割れとなっているために先行スパンを突破しきれずにその下限近辺での推移となっている。このため先行スパンを上抜き返すところからはもう一段高へ戻すとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンを上抜き返せないうちは一段安警戒として遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は50ポイントを挟んでの揉み合いで推移しているので60ポイント超えからは上昇再開とするが、40ポイント割れからは20ポイント台を目指す下落期入りと考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12.88円を下値支持線、13.06円を上値抵抗線とする。
(2)13円以下での推移中は一段安余地ありとし、12.88円割れからは12.80円前後への下落を想定する。12.80円以下は反騰注意とするが、13円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)13.06円手前は戻り売りも出やすいとみるが、13.06円超えからは13.10円前後への上昇を想定する。13.10円以上は反落警戒とするが、13.06円を超えた後も13円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

5月21日
 16:00 5月 消費者信頼感指数 (4月 80.2)
 20:30 週次 外貨準備高 5/14時点 (5/7時点 488.6億ドル)
5月24日
 17:00 4月 観光客数 前年比 (3月 26.07%)
5月25日
 16:00 5月 製造業景況観指数 (4月 111.0)
 16:00 5月 設備稼働率 (4月 75.9%)
5月27日
 20:30 週次 外貨準備高 5/21時点
5月28日
 16:00 4月 貿易収支 (3月 -46.5億ドル)
 16:00 5月 経済信頼感指数 (4月 93.9)



注:ポイント要約は編集部

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