ドル円見通し 乱高下続く、19日深夜急落時安値に対するダメ押し形成で踏み止まるか試す(21/5/21)

20日の日中はドル安への回帰に圧されて109円割れから失速して21日早朝には108.70円台へ下落している。

ドル円見通し 乱高下続く、19日深夜急落時安値に対するダメ押し形成で踏み止まるか試す(21/5/21)

乱高下続く、19日深夜急落時安値に対するダメ押し形成で踏み止まるか試す

〇昨日のドル円、5/20午前109.30まで上昇するも、その後失速し5/21早朝108.70台へ下落
〇5/19安値割れ回避か、割り込んでさらに続落するのかにより、今後の方向性が決まる可能性も
〇仮想通貨暴落からの金融市場動揺・FOMC議事録公開の乱調を通過し、金融市場はやや落ち着き
〇NYダウは4日ぶりの反騰、ナスダックも上昇、米10年債利回りは前日比0.04%低下で落ち着く
〇109円以下での推移中は下向きとし、5/19深夜安値108.56割れからは108円前後試しへ向かうとみる
〇109円超えからは109.30試しとし、高値更新からは109.50前後、109.78を目指す上昇期入りと考える

【概況】

ドル円は5月19日の金融市場全般が動揺的な展開となる中で109.33円へ反騰したところから108.56円へ急落、FOMC議事録公開後の20日未明に109.29円までV字反騰し、20日午前には109.30円までわずかに戻り高値を切り上げるも19日夜高値には届かず、20日の日中はドル安への回帰に圧されて109円割れから失速して21日早朝には108.70円台へ下落している。

1円近い値幅での乱高下が続いている状況だが、V字反騰に対して3分の2以上を削る失速となったため、19日夜と20日午前の両高値を60分足レベルの毛抜き型ダブルトップとして下落再開に入っている可能性が危惧される。しかし4月23日安値107.46円から5月7日夜安値108.32円へと安値を切り上げてきた下値支持線を5月19日深夜安値では守っており、5月19日安値割れを回避して持ち直すならダメ押し目を形成し、4月29日以降の108.50円前後を下値支持線として109円台後半を上値抵抗線とするボックス型の持ち合いの維持から持ち合い上限を試しに向かう可能性もあるところだ。5月19日安値割れを回避するか、割り込んでさらに続落へ向かうのかにより、5月後半から6月前半にかけての方向性も決まってくるのではないかと注目したい。

【仮想通貨暴落からの金融市場動揺、FOMC議事録公開の乱調を通過】

5月19日は仮想通貨ビッドコインやイーサリアム等が急落したことが金融市場全体に波及、NYダウが序盤には前日比580ドル安を超える急落となり、為替市場もリスク回避的に動いてドルストレートではドル買い戻しによりにユーロやポンド等が急落、クロス円も円の買い戻しで急落する展開となった。20日未明に公表されたFOMC議事録においては量的緩和縮小議論の開始についての言及があったことで20日未明にかけてはドル高が進行、ドル円は19日夜にいったん戻してから急落、その後のV字反騰と乱高下に見舞われた。

5月20日は前日に急落したビットコイン等が戻し、金融市場もやや落ち着きを取り戻した。米FOMC議事録における量的緩和縮小議論への言及についても材料消化として為替市場では20日早朝からユーロやポンド、豪ドル等が上昇再開に入り、NYダウも4日ぶりの反騰となり前日比188.11ドル高、ナスダック総合指数も同236.00ポイント高と上昇した。米10年債利回りもFOMC議事録公開後に1.69%へ上昇したところから低下に転じ、20日は前日比0.04%低下の1.65%で落ち着いた。30年債利回りも0.04%低下の2.33%となった。

5月20日に発表された米経済指標は失業保険申請件数が改善、景気先行指数が良好だったがフィラデルフィア連銀景況指数が悪化してまちまちだったが、揃って予想を超える好調ぶりとなれば米連銀の量的緩和縮小開始時期の前倒し論が再燃して圧迫感が強まるが、強弱見ながら景気回復傾向を維持する程度なら市場も楽観的なスタンスを維持しやすい。

米労働省が20日に発表した新規失業保険申請は前週比3万4000件減少の44万4000件で市場予想の45万件を下回った。3週連続でコロナショック以降の最低水準を更新した。
米フィラデルフィア連銀の5月製造業景況指数は31.5で4月の50.2から低下、市場予想の43.0を下回った。6か月先の見通しは52.7で前月の66.6から低下した。米コンファレンス・ボードの4月景気先行指数は前月比1.6%上昇で市場予想の1.4%上昇を上回った。米経済指標は5月序盤までの極めて好調な数字からややトーンダウンしているが、基調の回復感は継続しており、今後は個人消費支出価格指数(PCI)等の物価動向が上ブレ感を強めるのか等によりテーパリング=量的緩和縮小議論の先送りか前倒しか、市場も反応してゆくことになると思われる。

【仮想通貨の乱高下】

仮想通貨のビットコインは20日に一時10%を超える急騰となりその後は上げ渋って約4%高近辺での推移となった。19日に前日比28%安の暴落となったイーサリアムは約14%高と反騰した。投資家の突っ込み買い意欲は旺盛のようだが、投資家層が広がったことにより株式市場、為替市場へ影響が波及する存在となってきたことを市場に再認識させた。
米財務省は20日にバイデン政権の税制改革案には1万ドル以上の暗号資産を送金する場合の内国歳入庁(IRS)への報告義務が盛り込まれていると発表。米連銀のパウエル議長は20日に「暗号資産については利用者や金融システム全般に潜在的なリスクをもたらす可能性がある」と警告的な発言をしたが、これらがビットコインの反騰を抑えた印象だ。米電気自動車大手テスラのイーロン・マスクCEOの発言にも振り回されているが、同氏が19日にビットコインの保有分を売却しないとツイートしたことも暴落に歯止めをかけたようだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、5月19日夜からは乱高下が続いているため当面は19日夜高値109.33円を上抜くか、19日深夜安値108.56円を割り込むのかにより次の方向性、サイクルも決まってくると思われる。19日深夜安値を割り込む場合は20日午前高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして24日夜から26日夜にかけての間への下落を想定する。19日深夜安値割れを回避するうちは20日午前高値超えから強気サイクル入りとして19日夜高値を基準に24日夜から26日夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では20日夜の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落しているが、乱高下のため方向感に欠ける。先行スパンから転落した状況のうちは一段安警戒として遅行スパン悪化中の安値試し優先とするが、先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開の可能性ありとして遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は乱高下により方向感に欠けるが、50ポイント以下での推移中は下向きとし、50ポイント以上での推移に入れば上向きと考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5月19日深夜安値108.56円を下値支持線、109.00円を上値抵抗線とする。
(2)109円以下での推移か一時的に超えても維持できないうちは下向きとし、19日深夜安値割れからは108円前後試しへ向かうとみる。108円前後は買い戻しも入りやすいとみるが、下げ足が速まる場合は107円台後半へ下値目途を引き下げる。また108.75円以下での推移なら21日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)109円超えから続伸に入る場合は20日午前高値109.30円試しとし、高値更新からは109.50円前後、さらに5月13日高値109.78円を目指す上昇期入りと考える。109.30円台はもう一度売られやすいとみるが109円以上を維持しての推移なら21日は高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

5/21(金)
10:30 (豪) 4月 小売売上高速報値 前月比 (3月 1.4%、予想 0.5%)
15:00 (英) 4月 小売売上高 前月比 (3月 5.4%、予想 4.5%)
15:00 (英) 4月 小売売上高 前年同月比 (3月 7.2%、予想 36.8%)
15:00 (英) 4月 小売売上高・除自動車 前月比 (3月 4.9%、予想 4.4%)
15:00 (英) 4月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (3月 7.9%、予想 31.7%)
16:15 (仏) 5月 製造業PMI速報値 (4月 58.9、予想 58.5)
16:15 (仏) 5月 サービス業PMI速報値 (4月 50.3、予想 53.0)
16:30 (独) 5月 製造業PMI速報値 (4月 66.2、予想 65.9)
16:30 (独) 5月 サービス業PMI速報値 (4月 49.9、予想 52.0)

17:00 (欧) 5月 製造業PMI速報値 (4月 62.9、予想 62.5)
17:00 (欧) 5月 サービス業PMI速報値 (4月 50.5、予想 52.3)
17:30 (英) 5月 製造業PMI速報値 (4月 60.9、予想 60.5)
17:30 (英) 5月 サービス業PMI速報値 (4月 61.0、予想 62.20)
22:45 (米) 5月 製造業PMI速報値 (4月 60.5、予想 60.2)
22:45 (米) 5月 サービス業PMI速報値 (4月 64.7、予想 64.5)
23:00 (欧) 5月 消費者信頼感速報値 (4月 -8.1、予想 -6.8)
23:00 (米) 4月 中古住宅販売件数・年率換算件数 (3月 601万件、予想 609万件)
23:00 (米) 4月 中古住宅販売件数 前月比 (3月 -3.7%、予想 1.2%)
25:15 (米) アトランタ連銀主催会合


注:ポイント要約は編集部

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