『不冴なファンダメンタルズがリラの重石。来週は米ドル主導の展開か』
〇トルコ円ラマダン明けの流動性回復、トルコ国内のロックダウン解除に18日に13.16円まで上昇
〇その後は金融市場の不安定化、特別消費税の引き上げ報道等に12.94円前後まで反落しての越週
〇トルコ円、テクニカル的には地合いの弱さを印象付けるチャート形状
〇ファンダメンタルズ的に見てもトルコリラの下落を想起させる材料が増えつつある
〇トルコリラ円相場の軟調推移をメインシナリオとして予想
〇来週は国内材料少なく、米ドル主体の動きか、来週の予想レンジ(TRYJPY):12.60ー13.20
今週のレビュー(5/17−5/21)
今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初12.92円で寄り付いた後、@大型連休(ラマダン明けの祝日)が明けたことに伴う流動性の回復や、Aトルコ国内のロックダウン解除に伴う景気回復期待(4/29に始まった新型コロナ感染拡大防止を目的としたロックダウンが5/17に解除)が支援材料となり、翌5/18にかけて、週間高値13.16円まで上昇しました。しかし、一目均衡表基準線に続伸を阻まれると、B米早期テーパリング観測の再燃を通じた金融市場の不安定化や、C対米関係の悪化懸念、Dトルコ国内における特別消費税の引き上げ報道(ガソリンや軽油、液化石油ガスなどに課される特別消費税を5/20に引き上げ実施)、Eトルコ5月消費者信頼感指数(結果77.3、前回80.2)の冴えない結果が重石となり、結局12.94円前後まで反落しての越週となっております。
来週の見通し(5/24−5/28)
トルコリラの対円相場は、週前半にかけて一時13.16円まで上値を伸ばすも、週末にかけて心理的節目13.00円を割り込む冴えない動きとなりました。この間、ボリンジャーミッドバンドや一目均衡表転換線を下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転も継続するなど、テクニカル的に見て、地合いの弱さを印象付けるチャート形状となっております。
ファンダメンタルズ的に見ても、@トルコ国内における物価上昇圧力の高まり(実質金利低下→リラ売り)や、Aトルコ中銀による利下げ観測(トルコ中銀は先般の会合で従来盛り込まれていた「金融引き締めスタンスを維持する」との文言を削除→エルドアン大統領の意向に従う形でトルコ中銀が近い将来利下げに踏み切る公算大)、B対米関係の悪化懸念(バイデン米政権との衝突継続)、C米早期テーパリング観測に端を発した金融市場の不安定化(米長期金利上昇・米ドル高は株式市場や商品市況の下押しを通じてトルコなど脆弱な新興国からの資本流出に繋がる傾向あり)など、トルコリラの下落を想起させる材料が増えつつあります。
以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の軟調推移をメインシナリオとして予想いたします(来週は5/28のトルコ4月貿易収支以外、目立った経済イベントが予定されていない為、米ドル主導の動きが想定されます。米FRB当局者がタカ派的な発言を行ったり、米4月PCEデフレータが市場予想を上回る結果となった場合には、米早期テーパリング観測の再燃を通じて、トルコリラに下落圧力が加わる可能性あり。状況次第では、本年4/26に記録した年初来安値12.69円を試すシナリオも想定されるため、ダウンサイドリスクに注意が必要)。
来週の予想レンジ(TRYJPY):12.60ー13.20
注:ポイント要約は編集部
トルコリラ円日足
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