来週の為替相場見通し:『米インフレ指標と米当局者発言を睨みながらの展開か』(5/22朝)

ドル円は5/13に記録した直近高値109.79をトップに反落に転じると、今週半ばにかけて、一時108.57まで反落しました。

来週の為替相場見通し:『米インフレ指標と米当局者発言を睨みながらの展開か』(5/22朝)

来週の為替相場見通し:『米インフレ指標と米当局者発言を睨みながらの展開か』

〇今週のドル円、早々に高値109.50をつけた後、FRB関係者のハト派発言等で週央108.57まで反落
〇その後はFOMC議事要旨のタカ派な内容等で108.90レベルに戻して越週
〇ユーロドル週明け1.2126まで軟化の後、欧州コロナ終息期待等で1.2246まで反発
〇その後はタカ派のFOMC議事要旨を受けた米長期金利上昇等でドル買い強まり、1.2185近辺で越週
〇ドル円テクニカルには転換線を死守、地合い強く、108.33を下抜けない限り上昇トレンド継続
〇ファンダメンタルズも米インフレ懸念による早期テーパリング観測がドルを支えるか
〇来週はPCEデフレータや、米当局者発言要注視
〇来週の予想レンジ(USDJPY):108.00ー110.00、(EURUSD):1.2050−1.2300

今週のレビュー(5/17−5/21)

<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初109.28で寄り付いた後、早々に週間高値109.50まで上昇しました。しかし、5/13に記録した直近高値109.79をバックに伸び悩むと、@世界的な株価下落を背景としたリスク回避の円買い圧力や、A対欧州通貨でのドル売り圧力、BクラリダFRB副議長によるハト派的な発言(先般の低調な米雇用統計はテーパリング議論が時期尚早であることを示唆)、C本邦第1四半期GDP速報値(結果▲1.3%、予想▲1.2%、※前期比)の冴えない結果、D米4月住宅着工件数(結果156.9万件、予想171.0万件)の予想比下振れ、E中国の規制強化に端を発した暗号資産市場の大暴落(投資家心理悪化)、F米長期金利の低下圧力が重石となり、週央にかけて、週間安値108.57まで反落しました。

もっとも、一目均衡表基準線に下支えされると、G米FOMC議事要旨のタカ派的な内容(一部の参加者が資産買い入れペースの調整を巡る議論開始が適切になる可能性があると指摘→米早期テーパリング観測の再燃)や、H米当局者のタカ派的な発言(ダラス連銀カプラン総裁やフィラデルフィア連銀ハーカー総裁による「テーパリング議論開始は遅いよりも早い方が良い」)、I米5月総合PMI速報値(結果68.1、前回63.5)の力強い結果が支援材料となり、結局108.90近辺まで持ち直しての越週となっております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.2140で寄り付いた後、早々に週間安値1.2126まで軟化しました。しかし、一目均衡表転換線に下支えされると、@ユーロ圏における新型コロナウイルスの終息期待(仏ディズニーランドが6/17から営業再開、仏オルセー美術館も6/19から営業再開)や、A上記@に伴う欧州経済の回復期待、BECBによる早期テーパリング観測の高まり(ECBが債券買い入れペースを鈍化させるとの思惑→欧州債利回り上昇→ユーロ買い)、C米長期金利の伸び悩み(米ドル売り)が支援材料となり、週央にかけて、週間高値1.2246(1/8以来、約4ヵ月半ぶり高値圏)まで反発しました。もっとも、1.2250近辺のレジスタンスに続伸を阻まれると、Dタカ派な米FOMC議事要旨を受けた米長期金利の再上昇や、E米当局者のタカ派的な発言(ダラス連銀カプラン総裁やフィラデルフィア連銀ハーカー総裁)、F米5月総合PMI速報値の力強い結果、GECBによるユーロ高牽制の思惑が重石となり、結局1.2185近辺まで反落しての越週となっております。

来週の見通し(5/24−5/28)

<ドル円相場>
ドル円は5/13に記録した直近高値109.79をトップに反落に転じると、今週半ばにかけて、一時108.57まで反落しました。しかし、一目均衡表基準線を死守できていること、強気のパーフェクトオーダーが継続していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは強いと判断できます(ダウ理論で見ても5/7に記録した安値108.33を下抜けない限り上昇トレンド継続)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@米インフレ懸念の台頭(先週発表された米4月消費者物価指数、米4月生産者物価指数は共に市場予想を上回る結果)や、A上記@を背景とした米早期テーパリング観測の高まり(今週発表されたFOMC議事要旨でも一部の参加者が資産買い入れペースの調整を巡る議論開始が適切になる可能性があると指摘→6月FOMCや、8月ジャクソンホールでのテーパリング観測が根強い)、B上記@Aを背景とした米長期金利の上昇圧力、C金融市場の不安定化リスク(過剰流動性相場の逆流リスク→資産現金化需要のドル買い圧力)など、ドル円相場の上昇を意識させる材料が残っています。

こうした中、来週は米4月PCEデフレータや、当局者発言(ブレイナードFRB理事、クリーブランド連銀メスター総裁、アトランタ連銀ボスティック総裁、カンザスシティ連銀ジョージ総裁、クオールズFRB副議長)に注目が集まります。PCEデフレータが市場予想を上回る伸びを示したり、FRB当局者よりタカ派的な発言が見られた場合には、米早期テーパリング観測再燃→米長期金利上昇の波及経路で、ドル円が再び心理的節目110.00に向かって上昇する可能性も想定されるため、来週はドル円相場の上昇に注意が必要でしょう(但し、米早期テーパリング観測に端を発した米長期金利の上昇は、株式市場や商品市場の下押しを通じて、リスク回避の円買いを連想させる材料でもあることから、やや時間差的に、米ドル高→クロス円下落→ドル円連れ安に波及する恐れがある点には留意が必要)。

来週の予想レンジ(USDJPY):108.00ー110.00

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は本年3/31に記録した安値1.1703をボトムに反発に転じると、今週半ばにかけて、約4ヵ月半ぶり高値となる1.2246まで上昇しました(この2ヵ月間で4.6%の上昇率)。この間、主要チャートポイント(一目均衡表基準線や転換線、90日移動平均線や200日移動平均線)を上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する三役好転や強気のパーフェクトオーダーも継続するなど、テクニカル的に見て、地合いの強さを印象付けるチャート形状となっております(但し、1.2250近辺のレジスタンスには留意が必要。※本年2/25→1.2243まで上昇した後に急反落。今週5/19→1.2246まで上昇した後に急反落)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@欧州圏における新型コロナウイルスの感染者数の伸び率鈍化や、A上記@を背景とした欧州経済の回復期待(欧州連合はワクチン完了の旅行者の入国を正式承認)、BECBによる早期テーパリング観測の高まり(欧州債利回りの上昇圧力→ユーロ買い)など、ユーロドルの上昇を意識させる材料が増えつつあります(但し、米早期テーパリング観測の再燃を背景としたリスク回避のドル買いには留意が必要)。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.2050−1.2300

注:ポイント要約は編集部

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ドル円日足

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