仮想通貨急落やFOMC議事録公開で乱高下だが、7日安値割れ回避で反騰入り
〇昨日のドル円、暗号資産急落が影響し109.33まで反騰後、NYダウ大幅下落から急落
〇108.56まで下落後、FOMCのテーパリング議論開始言及でドル全面高、109.29まで切り返す
〇NYダウは一時前日比580ドル安まで大幅下落したが終盤は持ち直し前日比164.62ドル安で終了
〇20日未明公表されたFOMC議事要旨、緩和縮小開始の前倒しへの懸念が強まる
〇5月物価上昇率も上ブレならテーパリングの前倒し観測によるドル高感が優勢となる可能性も
〇109.50超えからは5/13高値109.78超え、108.80割れからは19日深夜安値108.56試しを想定
【概況】
ドル円は5月7日夜の米雇用統計発表直後の安値108.32円と11日夜安値108.34円をダブル底として反騰入りし、5月13日午前には109.78円まで上昇して5月3日夕高値109.69円をいったん超えた。しかしダブルトップ・ブレイクからの一段高入りには時期尚早として下落に転じ、5月18日には109円割れへ続落した。
5月19日はビットコイン等の仮想通貨急落が金融市場全般にも影響して乱高下となり、19日夜にはいったん109.33円まで反騰、直後にNYダウ大幅下落から急落に転じて19日深夜には108.56円へ一段安、FOMC議事録公開を控えての突っ込み警戒感から買い戻され、議事録がテーパリング議論開始に言及していたことでドル全面高となる中で109.29円まで切り返した。
乱高下だったが、19日深夜安値108.56円では5月7日安値108.32円割れを回避、年初からの上昇トレンドに対しても1月6日と2月23日、4月23日の安値を結ぶ下値支持線丁度で下げ止まってのV字反発であること、4月23日安値以降は5月7日夜から5月19日深夜へと底上げをしていることで上昇トレンドを維持して持ち直しに入る可能性が出てきたところと思われる。
米10年債利回りは一時1.69%へ上昇、前日比0.03%上昇の1.68%で終了。米20年債の270億ドルの入札が低調だったことや仮想通貨のビットコインやイーサリアムが急落した事も影響しての利回り上昇だったようだ。NYダウは一時前日比580ドル安まで大幅下落したが終盤は持ち直して前日比164.62ドル安で終了、ナスダック総合指数は3.90ポイント安にとどまった。
【米連銀のテーパリング問題を再認識】
米連銀は20日未明に4月27-28日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を公表した。議事要旨では、「多くの参加者が景気が急回復すれば量的緩和の縮小に向けた議論を今後開く会合のある時点で始めることが適切」とされた。FOMC後の会見でパウエル議長が「緩和縮小議論を検討する段階にはまだない」と述べ、その後も主要な米連銀高官が縮小開始議論は時期尚早との主旨を繰り返してきたことで市場は米連銀の量的緩和規模は当面維持されると受け止めてきた。しかしそれでも4月の米消費者物価上昇率が前年比で4.2%、コア指数でも3.0%と上ブレしたことで緩和規模縮小議論が前倒しされるのではないかと警戒していったんはドル買いに向かった。その後の米経済指標がさえない内容が続いたことで米消費者物価上昇率の上ブレへの反応も収まっていたのだが、今回の議事録により再び縮小開始の前倒しへの懸念が強まることとなった。
議事録では、景気判断としては「米連銀が目指す雇用最大化と物価安定の目標には程遠い」とし、インフレ率の上昇については「サプライチェーンの障害といった一時的な要因が背景」とし、「量的緩和策の縮小まではしばらくかかる」と結論付けた。しかし複数の参加者は「来年以降も物価上昇が続く可能性がある」とし、2人の参加者は「政策対応に踏み切る前にインフレ圧力が望まない水準に強まるリスクがある」とした。積極的な前倒し主張はまだ少数とは言え、今後の米経済指標が強めとなり5月の物価上昇率も上ブレが続くようだとテーパリングの前倒し観測によるドル高感が優勢となる可能性も考えられる。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、5月19日深夜への一段安とその後のV字反騰により、5月19日深夜安値を直近のサイクルボトムとして反騰入りしたと思われる。乱高下後のため、高値形成期は20日の日中から26日までの間とやや長めに想定するが、108.80円割れへ反落する場合は下げ再開を警戒して19日深夜安値試しとする。
60分足の一目均衡表では5月19日深夜からの反騰で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜き返した。このため先行スパンを上回るうちは上昇余地ありとして遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンから再び転落する場合は下げ再開を警戒して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は5月18日夜安値から19日深夜安値への一段安に際して指数のボトムが切り上がる強気逆行となってから反騰入りしている。50ポイント以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上昇継続として70ポイント超えを目指す流れとみるが、40ポイントを割り込む反落からは下げ再開を疑う。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、108.80円を下値支持線、109.50円を上値抵抗線とする。
(2)109円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上向きとし、109.50円超えからは5月13日高値109.78円超えを目指すとみる。109.75円以上は反落注意とするが、勢い付く場合は110円にトライするとみる。また109円台を維持しての推移なら21日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)108.80円割れからは下げ再開を警戒して19日深夜安値108.56円試しを想定する。108.65円以下は反発注意とするが、108.80円を割り込んでの推移なら21日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
5/20(木)
未 定 (南) 南ア中銀 政策金利 (現行 3.50%)
10:30 (豪) 4月 新規雇用者数 (3月 7.07万人、予想 1.50万人)
10:30 (豪) 4月 失業率 (3月 5.6%、予想 5.6%)
15:00 (独) 4月 生産者物価指数 前月比 (3月 0.9%、予想 0.8%)
17:00 (欧) 3月 経常収支・季調済 (2月 259億ユーロ)
17:00 (欧) 3月 経常収支・季調前 (2月 133億ユーロ)
18:00 (欧) 3月 建設支出 前月比 (2月 -2.1%)
18:00 (欧) 3月 建設支出 前年同月比 (2月 -5.8%)
20:50 (欧) ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
21:30 (米) 週間 新規失業保険申請件数 (前週 47.3万件、予想 45.0万件)
21:30 (米) 週間 失業保険継続受給者数 (前週 365.5万人、予想 364.0万人)
21:30 (米) 5月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (4月 50.2、予想 43.0)
23:00 (米) 4月 景気先行指数 前月比 (3月 1.3%、予想 1.4%)
26:00 (米) 財務省インフレ指数連動10年債入札
5/21(金)
米韓首脳会談[ワシントン]
07:05 (米) カプラン・ダラス連銀総裁、討論会参加
08:01 (英) 5月 GFK消費者信頼感 (4月 -15、予想 -12)
08:30 (日) 4月 全国消費者物価指数 前年同月比 (3月 -0.2%、予想 -0.5%)
08:30 (日) 4月 全国消費者物価指数・生鮮除く 前年同月比 (3月 -0.1%、予想 -0.2%)
08:30 (日) 4月 全国消費者物価指数・生鮮・エネルギー除く 前年同月比 (3月 0.3%、予想 -0.1%)
10:30 (豪) 4月 小売売上高速報値 前月比 (3月 1.4%、予想 0.5%)
15:00 (英) 4月 小売売上高 前月比 (3月 5.4%、予想 4.5%)
15:00 (英) 4月 小売売上高 前年同月比 (3月 7.2%、予想 36.8%)
15:00 (英) 4月 小売売上高・除自動車 前月比 (3月 4.9%、予想 4.4%)
15:00 (英) 4月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (3月 7.9%、予想 31.7%)
16:30 (独) 5月 製造業PMI速報値 (4月 66.2、予想 66.0)
16:30 (独) 5月 サービス業PMI速報値 (4月 49.9、予想 52.0)
17:00 (欧) 5月 製造業PMI速報値 (4月 62.9、予想 62.5)
17:00 (欧) 5月 サービス業PMI速報値 (4月 50.5、予想 52.5)
17:30 (英) 5月 製造業PMI速報値 (4月 60.9、予想 60.7)
17:30 (英) 5月 サービス業PMI速報値 (4月 61.0、予想 62.2)
22:45 (米) 5月 製造業PMI速報値 (4月 60.5、予想 60.2)
22:45 (米) 5月 サービス業PMI速報値 (4月 64.7、予想 64.5)
23:00 (欧) 5月 消費者信頼感速報値 (4月 -8.1、予想 -6.7)
23:00 (米) 4月 中古住宅販売件数・年率換算件数 (3月 601万件、予想 608万件)
23:00 (米) 4月 中古住宅販売件数 前月比 (3月 -3.7%、予想 1.2%)
25:15 (米) アトランタ連銀主催会合
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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