トルコリラ円見通し 4日続落。パレスチナ情勢もトルコリラへの暗雲(21/5/14)

トルコリラ円は5月13日安値で12.84円へ下落、4月29日の戻り高値13.38円以降の安値を更新した。

トルコリラ円見通し 4日続落。パレスチナ情勢もトルコリラへの暗雲(21/5/14)

トルコリラ円見通し 4日続落。パレスチナ情勢もトルコリラへの暗雲

〇トルコリラ円、5/13安値12.84へ下落、4/29以降の安値更新、4/26安値12.67へ徐々に迫る
〇対ドル、5/13安値で8.51リラをつけ、昨年11/6の史上最安値8.57リラに迫る勢い
〇対円・対ドルともに4日連続の陰線、一段安への懸念強まる
〇イスラエルとハマスの武力衝突、トルコリラにも影を落とす
〇12.95を下回るうちは一段安警戒とし、12.80割れからは12.70台前半への下落を想定する
〇12.90から12.95にかけてのゾーンは、戻り売りにつかまりやすいとみる

【概況】

トルコリラ円は5月13日安値で12.84円へ下落、4月29日の戻り高値13.38円以降の安値を更新した。日足は5月10日から4日連続の陰線であり、心理的な節目であった13円を割り込んでも下げ止まれず、トルコ中銀総裁更迭問題からの暴落後の4月26日安値12.67円へ徐々に迫っている。

ドル/トルコリラも5月10日から13日へ4日連続の陰線で下落、13日安値で8.51リラをつけて中銀総裁騒動後の安値であった4月26日の8.48リラを割り込み、昨年11月6日に付けた史上最安値8.57リラに迫る勢いとなっている。
米長期債利回り上昇やNYダウの5月12日にかけての大幅下落という金融市場全般のリスク回避的な動きを背景としたドル高に圧迫されているところだが、イスラエルとハマスの武力衝突の激化もトルコリラにとっては暗雲となっている。

【一段安への懸念強まる】

トルコリラは昨年11月に就任したアーバル前総裁が3月19日付けで突然解任されたことによる金融政策への不透明感から暴落商状に陥り、トルコリラ円は2月18日高値15.26円と3月19日高値15.13円をダブル天井として暴落商状に陥った。3月30日安値13.01円から4月2日高値13.84円までいったん戻してから13.50円を挟んだ揉み合いで推移していたところ、4月16日から4月23日にかけて6日連続の日足陰線で下落して3月30日安値を割り込む一段安となった。現状も4月29日で戻り一巡となり13円を下値支持線とした横ばい型の持ち合いとなっていたところから連続陰線で下落しており、4月26日にかけて一段安した時を彷彿とさせる動きとなっている。
ドル/トルコリラも3月30日安値8.45リラと4月26日安値8.48リラでダブル底ラインを形成していたが、5月13日に4月26日安値を割り込んだことでダブル底破れとなっている。4月26日安値は昨年11月6日安値8.57リラと大きなダブル底を形成していたところでもあり、11月6日安値を割り込むようだと下げ足が早まり、リラ暴落継続感が強まりかねない状況だ。

【イスラエルとハマスの武力衝突がトルコリラにも影を落とす】

イスラエルとハマスの武力衝突が激化しており、イスラエルの空爆に対してハマスはロケット弾砲撃で反撃しているが、2014年に50日間に及んだ両者間の戦闘以来の激しさとなっている。5月7日夜にエルサレム旧市街にあるイスラム教聖地「アルアクサ・モスク」におけるイスラエル治安当局とパレスチナ人の衝突がきっかけだが、13日時点では両者が地上戦へ突入する可能性も浮上している。
国連がEUや米ロに対して紛争仲介を求める動きを見せているが、米国のスタンスはまだはっきりしない。ハマスと友好関係にあるエジプトやカタール、トルコも紛争仲介を模索している。
イスラエルは今年1月にカタールと、サウジ、エジプトなどアラブ4カ国との断交を解除し、中東諸国はイスラエルとの関係改善を模索に動いていたところだが、今回の武力衝突がこうした取り組み姿勢をぶち壊す可能性もある。また従来ならイスラエルに対して強硬姿勢を示してきたこれら諸国が今回の紛争解決では積極的な姿勢をとらない可能性もある。

トルコのチャウショール外相はイスラム協力機構や欧州諸国の外相等と相次いで電話会談していると報じられている。外相は5月10日から11日にかけてサウジアラビアを訪問してファイサル外相と会談したばかりでもある。
5月13日にはイスラム教の断食月ラマダンが明け、14日には金曜日の特別礼拝があり、15日にはイスラエルの建国に伴ってパレスチナの人たちが住んでいた土地を追われて難民となった「ナクバ=大惨事」の日となる。このため週末から週末にかけては戦闘の激化も懸念される。
トルコにとってはサウジ等との関係性の複雑さ、パレスチナのイスラム教徒への支援姿勢、イスラエルとの歴史的対立等、難しい地政学的リスクを抱えたことになる。その上でバイデン米政権によるジェノサイド認定とトルコへの強硬姿勢の問題もある。中銀総裁更迭や仮想通貨取引への規制等による金融政策的な市場の不信感に地政学的リスクが重なることでトルコリラには重苦しさも出ている状況だ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、5月11日夜安値でいったんボトムを付けて戻したものの12日夜に一段安したために13日午前時点では12日午後の戻り高値をサイクルトップとした新たな弱気サイクル入りとして14日夜から18日夜にかけての間への下落を想定した。14日早朝へ続落しているため引き続きボトム形成中とし、強気転換には13円台を回復するような反騰が必要と思われる。

60分足の一目均衡表では5月11日夜安値からの反発では遅行スパンが好転できずに悪化状況が継続、先行スパンにも届かずに転落状況が続いてきた。安値更新が止まれば遅行スパンも好転しやすくなるが、先行スパンを超えないうちは一時的に遅行スパンが好転してもその後の悪化から下げ再開とみる。強気転換は先行スパンを上抜き返すところからとする。
60分足の相対力指数は13日夕安値から14日朝安値への一段安に対して指数のボトムがほぼフラットとなる強気逆行の気配があるので目先は戻りを試しやすいとみるが、50ポイントへ届かないうちは強気転換できずに連続的な逆行形成へ20ポイント台を何度か試す可能性があるとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12.80円を下値支持線、12.95円を上値抵抗線とする。
(2)12.95円を下回るか一時的に超えても維持できないうちは一段安警戒とし、12.80円割れからは12.70円台前半への下落を想定する。12.75円以下は反騰注意とするが、12.95円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)12.90円から12.95円にかけてのゾーンは戻り売りにつかまりやすいとみる。

【当面の主な予定】

5月17日
 17:00 4月 財政収支 (3月 238億リラ)
5月20日
 19:30 4月 自動車生産 前年同月比 (3月 19.4%)
 20:30 週次 外貨準備高 5/7時点 (前週 469.2億ドル)
5月21日
 16:00 5月 消費者信頼感指数 (4月 80.2)
 20:30 週次 外貨準備高 5/14時点


注:ポイント要約は編集部

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