トルコリラ円見通し 米CPIが予想以上の上ブレ、ドル全面高でトルコリラも売られる(21/5/13)

トルコリラ円は5月12日夜の米消費者物価上昇率発表後の安値で12.91円へ下落、4月29日の戻り高値13.38円以降の安値を更新した。

トルコリラ円見通し 米CPIが予想以上の上ブレ、ドル全面高でトルコリラも売られる(21/5/13)

米CPIが予想以上の上ブレ、ドル全面高でトルコリラも売られる

〇トルコリラ円、昨夜の米消費者物価上昇率発表後12.91へ下落、4/29以降の安値更新
〇12日はドル全面高でドル高リラ安、トルコリラ円は円安よりもドル高圧力が勝る形で下落
〇対ドルでも急落、12日深夜に8.44の安値をつけ4/26安値8.48に迫る
〇米長期債利回り上昇によるドル高感が再び強まり南アランド、メキシコペソ、豪ドル等も総じて下落
〇当面はトルコの独自材料に欠けるが、全般的なドル高が続けば最安値更新の可能性も警戒
〇13円を下回るか一時的に超えても維持できないうちは一段安警戒

【概況】

トルコリラ円は5月12日夜の米消費者物価上昇率発表後の安値で12.91円へ下落、4月29日の戻り高値13.38円以降の安値を更新した。日足は3日連続の陰線で13日早朝にかけてはやや戻して13円台を回復したが13円台を維持しきれずに13日午前は割り込んだ状況にある。
4月29日高値から反落した後は13.10円を割り込むところは買い戻されて13.20円前後で戻り売りにつかまる持ち合いだったが、11日夜の株安円高局面で13.0円(13.00円から12.99円)に到達、いったんは持ち直しかけたが、12日はドル全面高でドル高リラ安となる一方でドル円が109円台後半へ急伸したものの、トルコリラ円においては円安よりもドル高圧力が勝る形で下落となった。

【対ドルでは4月26日安値に迫る】

ドル/トルコリラの5月12日は8.44リラから8.25リラの取引レンジ。5月7日の米雇用統計後に付けた高値8.19リラから下落基調に入っていたが、5月12日は米消費者物価上昇率が予想以上に上ブレしたことでドル全面高となり、トルコリラも急落となり12日深夜には8.44リラの安値を付けて4月26日安値8.48リラに迫った。
4月の米消費者物価上昇率は前年同月比4.2%となり3月の2.6%から大幅に加速、2008年9月以来12年7か月ぶりの伸びとなった。市場は3.6%への上ブレを予想していたが、予想を大幅に超えた。食品とエネルギーを除くコア指数の前年同月比も3.0%上昇となり1996年1月以来の高い伸び率で3月の1.6%から加速、市場予想の2.3%を大幅に超えた。物価上昇の予想以上の上ブレにより米長期債利回りは前日比0.08%高の1.70%へ急上昇したが、5月7日の米雇用統計がさえなかったことで一時1.50%を割り込んだところから大幅に回復してきており、利回り上昇によるドル高感が再び強まる状況となり、消費者物価発表後は南アランド、メキシコペソ、豪ドル等も総じて下落した。

NYダウは前日比681.50ドル安と大幅下落でこの2日間で千ドルを超える下落規模となった。世界連鎖株安の様相となりつつあり、リスク回避的なドル高株安が進みやすくなっており、中銀総裁更迭による暴落が一服していたトルコリラにとっても全般的なドル高の波による売り圧力が加わる状況となっている。

対ドルでのトルコリラは3月30日安値8.45リラ、4月26日安値8.48リラで安値ラインを形成しているが、戻り高値は4月15日から切り下がりとなり下値支持線がほぼフラットで抵抗線が切り下がる三角持ち合いの様相となっており、5月12日の下落で支持線割れへの余裕が乏しくなった状況にある。また昨年11月6日底8.57リラと4月26日安値がダブル底ラインを形成しているため、三角持ち合い下放れからは11月6日安値を割り込んで一段安へ進みやすくなるところだ。当面はトルコの独自材料に欠けるが、全般的なドル高が続けば支持線割れからの最安値更新の可能性も警戒される。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、5月5日夜安値を起点として戻していたが、10日夕高値からはジリ安の推移が続いたために11日午前時点では10日夕高値を直近のサイクルトップとして弱気サイクル入りとした。また安値形成期は10日夜から12日夜にかけての間と想定されるので既に反騰注意期にあるとしたが、5月11日夜へ一段安したところから凡そ0.1円規模の反発となったため、12日午前時点では11日夜安値を直近のサイクルボトムとし、底割れからは新たな弱気サイクル入りとした。
12日夜に一段安となったため、12日午後の戻り高値をサイクルトップとした新たな弱気サイクル入りとして14日夜から18日夜にかけての間への下落を想定する。強気転換は12日午後高値を上抜き返すところからとする。

60分足の一目均衡表では5月11日夜安値からの反発では遅行スパンが好転できず、先行スパンにも届かずに一段安となっている。このため遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、先行スパンを上抜き返せないうちは一時的に遅行スパンが好転してもその後の悪化から下げ再開とみる。強気転換は先行スパンを上抜き返すところからとする。
60分足の相対力指数は12日午後への上昇時に50ポイントを超えたがその後の一段安で30ポイント割れまで低下しているのでまだ一段安余地ありとみる。強気転換には50ポイントを超えて続伸するような反騰が必要と思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。

(1)当初、12.90円を下値支持線、13.05円を上値抵抗線とする。
(2)13円を下回るか一時的に超えても維持できないうちは一段安警戒とし、12.90円割れからは12.85円前後への下落を想定する。12.85円以下は反騰注意とするが、13円以下での推移なら14日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)13.00円から13.05円手前は戻り売りにつかまりやすいとみる。

【当面の主な予定】

5月17日
 17:00 4月 財政収支 (3月 238億リラ)
5月20日
 19:30 4月 自動車生産 前年同月比 (3月 19.4%)
 20:30 週次 外貨準備高 5/7時点 (前週 469.2億ドル)
5月21日
 16:00 5月 消費者信頼感指数 (4月 80.2)
 20:30 週次 外貨準備高 5/14時点

注:ポイント要約は編集部

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