トルコリラ円見通し 13円到達まで下げてからやや戻すも4月29日以降は軟調な推移(21/5/12)

5月11日は13.16円から13.00円の取引レンジ。

トルコリラ円見通し 13円到達まで下げてからやや戻すも4月29日以降は軟調な推移(21/5/12)

13円到達まで下げてからやや戻すも4月29日以降は軟調な推移

〇トルコリラ円、11日は13.16から13.00の取引レンジ、ドル円が下落した場面で安値をつけたが持ち直す
〇トルコ3月鉱工業生産は前月比0.7%増、前年同月比16.6%増となり10ヵ月連続のプラスに
〇3月小売売上高は前月比5.1%増、前年同月比は19.2%増となるもこれら指標に対する反応は限定的に
〇13.05以上で推移中は上向きとし13.15超えから13.20試しへ
〇13.05割れから下げ再開を警戒し13円試し、13円割れから12.90前後への下落を想定

【概況】

トルコリラ円の5月11日は13.16円から13.00円の取引レンジ。NYダウが大幅下落で開始したところでドル円が7日夜安値108.32円に迫る108.34円まで下落した場面でこの日の安値(ベンダーによっては13.02円から12.99円)を付けたが、その後はドル円が持ち直し、対ドルでのトルコリラもやや戻したことで持ち直した。
4月26日に12.67円を付けて3月22日の中銀総裁更迭による暴落後の安値を更新したところから4月29日高値13.38円まで戻したものの、その後は軟調な推移が続いており、戻り高値を切り下げつつ安値も切り下げてきている。
中銀総裁更迭騒動からの暴落は一服したものの中銀及びトルコ政府の金融政策姿勢への市場の不信任感はぬぐえず、先の中銀金融政策決定会合でも2会合連続で政策金利は据え置かれたものの先行きは利下げしたいとの姿勢を踏まえてリラ売り圧力も続いている印象だ。

ドル/トルコリラの5月11日は8.32リラから8.25リラの取引レンジ。4月26日に8.48リラへ下落して3月30日安値を割り込んで昨年11月6日安値8.57リラに迫ったところで下げ一服に入ったが、4月29日に8.11リラへ戻したところからは4月26日から4月29日の高安レンジ内での動きにとどまっている。
安値を出し切って反騰入りを伺う姿というよりも下げ一服で3月30日と4月26日の両安値によるダブル底ラインを割り込む懸念を抱えた状況と思われる。

【トルコの経済統計は良好】

【トルコの経済統計は良好】

5月11日にトルコ統計局が発表した3月の鉱工業生産は前月比0.7%増となり2月の0.2%増から伸びが加速、前年同月比は16.6%増となり2月の8.8%増を大幅に超え市場予想の12.5%増を上回ったが、これは2011年8月以来の高水準であり10か月連続のプラスとなった。昨年は3月のコロナショック発生により4月には前年同月比31.4%減、5月に19.9%減となったが、その後は持ち直しが続いている。
3月の小売売上高は前月比5.1%増となり2月の3.6%増から伸びが加速、前年同月比は19.2%増で2月の4.7%増から大幅に改善した。前年同月比の伸びは現在の統計と比較できる2011年以降では最大の伸びとなった。これらの良好な指標に対する市場の反応は限定的だった。

トルコ中銀が発表した3月の経常収支は33億2900万ドルの赤字だった。赤字幅は1月の18憶6700万ドル、2月の26億1000万ドルから2か月連続で拡大した。トルコは経常赤字国であり、観光収入等で埋め合わせする収支構造になっているが、2018年と2019年に一時的に黒字化した他は赤字続きとなっている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、5月5日夜安値を起点として戻していたが、10日夕高値からはジリ安の推移が続いたために11日午前時点では10日夕高値を直近のサイクルトップとして弱気サイクル入りとした。また安値形成期は10日夜から12日夜にかけての間と想定されるので既に反騰注意期にあるとした。
5月11日夜へ一段安したところから凡そ0.1円規模の反発となっているので、11日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとする。トップ形成期は13日から17日夕にかけての間と想定されるが、戻りは短命の可能性もあると見て13.05円割れを弱気転換注意とし、11日夜安値割れからは新たな弱気サイクル入りとして14日夜から18日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では5月11日夜安値からの反発で遅行スパンは好転しやすい位置に来ている。先行スパンを上抜き返せないうちは一段安懸念が残るが、先行スパンを上抜くところからは遅行スパン好転中の高値試し優先とする。ただし先行スパンを上抜き返せない場合及びいったん上抜いた後に再び転落する場合は下げ再開を警戒する。
60分足の相対力指数は11日夜の下落時に30ポイント割れまで下げたがその後の反発で50ポイント台を回復している。40ポイント台を維持するうちは上昇余地ありとして60ポイント台後半へ向かう可能性を考えるが、40ポイント割れからは下げ再開とみて再び30ポイント割れへ向かう流れと考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。

(1)当初、13.05円を下値支持線、13.15円を上値抵抗線とする。
(2)13.05円以上での推移中は上向きとし、13.15円超えからは13.20円試しとみる。13.15円以上での推移なら13日も高値試しへ向かいやすいとみるが、13.20円手前では戻り売りにつかまりやすいと注意する。
(3)13.05円割れからは下げ再開を警戒して13円試しとし、13円割れからは12.90円前後への下落を想定する。12.95円以下は反発注意とするが、13円を割り込んだ後も13.05円以下での推移が続くなら13日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

5月17日
 17:00 4月 財政収支 (3月 238億リラ)
5月20日
 19:30 4月 自動車生産 前年同月比 (3月 19.4%)
 20:30 週次 外貨準備高 5/7時点 (前週 469.2億ドル)
5月21日
 16:00 5月 消費者信頼感指数 (4月 80.2)
 20:30 週次 外貨準備高 5/14時点


注:ポイント要約は編集部

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