週足は3週連続陰線、さらなるドル下押しも(週報4月第4週)

先週のドル/円相場もドルが続落。週足は3週連続で陰線引けとなったほか、ザラ場ベースでは一時107円半ばまで下落する局面も観測されていた。

週足は3週連続陰線、さらなるドル下押しも(週報4月第4週)

週足は3週連続陰線、さらなるドル下押しも

〇先週のドル円、ドル買い優勢で週間高値108.83へ値を上げた後は連日直近安値を更新する展開へ
〇週末には107.48まで値を崩し週末NYは107.90前後で取引を終え越週した
〇イランのウラン製造を巡りバイデン氏は核合意違反と非難、EUとイランの間で中間合意の可能性を示唆
〇核合意協議について好悪材料が交錯しどちらにも動きにくい状況に
〇日米首脳会談終了後の共同声明で台湾やウイグルの言及がされた事に中国の強い反発をよぶ
〇今週発表される米4月消費者信頼感指数や1-3月期GDP速報値などに注視
〇今週のドル/円予想レンジ106.70-109.00

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場もドルが続落。週足は3週連続で陰線引けとなったほか、ザラ場ベースでは一時107円半ばまで下落する局面も観測されていた。

前週末には対面式の日米首脳会談が実施され、終了後に発表された共同声明をめぐり、中国とまたもや一悶着。一方、暗号資産(仮想通貨)ビットコインは週末に一時15%、価格にして1万ドルを超える下落を記録し、休暇中の市場筋の度肝を抜いていた。
そうした状況下、ドル/円は108.75円で寄り付いたのち、当初はドル買い優勢。週間高値である108.83円へと小幅に値を上げた。しかし、ドル買いは続かず、その後は緩やかな右肩下がり。連日ドルは直近安値を更新する展開をたどり、週末には107.48円まで一時値を崩している。そののち、やや持ち直すも上値は重く、週末NYは107.90円前後で取引を終え、越週となった。
なお、それ以外で週間を通して目立ったのはトルコリラの弱さ。対円では13円半ばから12.80円台へと下落し、3月安値12.70円前後を視界内に捉えた動きをたどっている。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「イラン情勢」と「米中対立」について。
前者は、以前にイランの原子力庁長官から聞かれていた「60%の高濃縮ウランの製造」について、IAEAが「製造開始を実際に確認した」と発表。物議を醸すなか、バイデン米大統領は「核合意違反」と非難するコメントを発していたようだ。ただ、そうしたなかEU外相から「米イランの間接協議は進展が見られる」との発言が聞かれた反面、イランサイドは、同国政府高官が「中間合意」の可能性を示唆。「核合意協議」そのものについてはやや明るい兆しもうかがえるなど、好悪材料が交錯している。二面性のある展開で、どちらにも動きにくいような状況だった。

対して後者は、先週末16日に開催された日米首脳会談終了後に発表された共同声明で、台湾やウイグルについての言及がなされたことが中国の強い反発をよんだ。在米中国大使館や中国外務省が「内政干渉」などといった非難を繰り返していた。また、それとは別に、米国では上院外交委において「中国対抗法案」ともいわれる「2021年の戦略的競争法」が賛成多数で可決。さらに米政府系機関の国際宗教自由委がバイデン政権に「2022年北京五輪への政府関係者不参加を提言した」と報じられている。対立改善の兆しはうかがえず、先行きについても厳しいものがありそうだ。

<< 今週の見通し >>

ドル/円の週足は、前述したように3週連続の陰線引け、かつ「寄り付き高・大引け安」に近い格好。つまり、本格的な調整局面入りが再確認されたといってよい。テクニカル的にも、日足では先週末時点で107円後半に位置していた一目均衡表の雲の上限をNYクローズベースでもしっかり割り込んできたほか、レポートしている年初来安値102.60円を起点としたフィボナッチサポート107.75-80円も下回ってきた。さらなる下押しを期待する声が市場では有力だ。

前述したような状況下、材料的には大きく2つの要因に注目。ひとつは広義の米ファンダメンタルズで、今週も発表される米経済指標や米企業決算などにまずは注視したい。また、28日に実施されるFOMCの政策金利発表、ならびにパウエル議長の記者会見にも一応要注意。さらに、同じ28日に予定されているバイデン米大統領の施政方針演説を波乱要因として警戒する向きも少なくないようだ。先週は、「バイデン氏、富裕層へのキャピタルゲイン課税を最大40%超へと引き上げへ」−−といった報道も観測され、物議を醸したこともあり真偽を含めて続報などが注目されている。

テクニカルに見た場合、先で指摘したようにドル/円は一目均衡表やフィボナッチで見た目先のサポート107円後半を下回っており、さらなる下落を予感させる。ちなみに、前者に関して言えば、先行帯の雲の下限はこのあと急上昇し、来週末にかけ107円台まで上昇する見込み。一連の過程の中で、上限に続き下限も割り込むことができるのかに注目だ。
また後者は、38.2%押しを下回ったことで、次のサポートは半値押しに当たる106.75-80円となる。やはり、攻防には要注意。

材料的に見た場合、中長期的には領有権をめぐる周辺国との対立や人権問題など話題に事欠かない「中国情勢」や「北朝鮮情勢」、「イラン情勢」、「露・ウクライナ情勢」、「新型コロナウイルス再拡大と変異種の発生、ワクチン開発・接種」、「バイデン米大統領による政権運営」−−などが注視されている。
そうしたなか今週は、4月の消費者信頼感指数や1-3月期GDP速報値といった米経済指標が発表される見込みのほか、注目米企業による決算発表も相次ぐ。先週はネットフリックスの決算をめぐり市場が一時荒れたが今週も同様の展開には気を付けたい。

そんな今週のドル/円予想レンジは、106.70-109.00円。ドル高・円安については、先週ドルの上値は連日切り下がっており、それからするとまずは先週末高値108.14円をめぐる攻防に注目。ただ、超えても108円台に抵抗は多く、また109円前後もなかなか強いレジスタンスだ。
対するドル安・円高方向は、先週安値である107.47円が最初のサポート。割り込めば106円台突入、フィボナッチサポートの106.75-80円などが視界内に。

週足は3週連続陰線、さらなるドル下押しも

ドル円日足

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