ドル円見通し 一本調子の下落続く、FOMCから流れ変わるか(週報4月第4週)

年初からの上昇に対する半値押しラインは106.76円。昨年6月5日への反騰時と逆の下落規模とすれば107.10円。

ドル円見通し 一本調子の下落続く、FOMCから流れ変わるか(週報4月第4週)

一本調子の下落続く、FOMCから流れ変わるか

〇ドル円3/31以降の米長期金利低下に110.96から先週107.46まで低下、長期金利は一段の低下もあるか
〇NYダウ先週末は米指標好調で反発するも。米長期金利・ドル円への影響軽微
〇FOMC、FRBの現状評価・姿勢の変化に注意。4/29未明の声明から5/7雇用統計までの流れで夏相場占う
〇4/23安値107.46割れ回避のうちは一旦戻しに入る可能性、108.54を超えて続伸の場合109円台へ
〇107.46を割り込む場合でもFOMCまでは大きな動きとなりにくいか
〇FOMC前後に108.50超えの場合上昇再開、107円を割れても106.70程度までで下値限られる

【概況】

ドル円は3月31日高値110.96円からの下落基調が続き、先週末の4月23日には安値を107.46円まで切り下げた。3月31日高値からの下げ幅は3.50円に拡大した。107.50円割れからいったん108円台回復へ戻したために4月23日の日足は下ヒゲの目立つ姿であり、下げ一服となっても良いところではあるが押し上げ材料に欠いている。
3月31日からのドル円の下落は米長期債利回り低下によるものであり、米10年債利回りが3月30日の1.77%台へ上昇したところをピークとして低下に転じてきたことでドル円は年初からの上昇一巡となり修正局面に入ってきた。米10年債利回りは4月15日に1.52%台へ低下した後は下げ渋りにあるが、4月20日に1.63%台へ小反発したところから再び低下傾向、4月23日も1.53%から1.58%までのレンジにとどまって低水準にあり、4月15日の水準を割り込んでさらに低下しかねない状況となっている。

4月23日はNYダウが前日比227.59ドル高と反発したが、米経済指標が良好だったことで株買い・債券売りで長期債利回りが目立って上昇してもよいところだったが前日比0.02%上昇にとどまっており、ドル円も安値更新から小反発した程度に終わっている。また米長期債利回りの動きがやや落ち着いているために米国株高ならリスクオン心理優勢となってユーロや豪ドル等が買われてドル安感も強まるため、株高ドル安ならクロス円が上昇してもドル円は下落となりやすい状況という印象もあるところだ。

【週足は3週連続陰線、80週サイクルによる上昇期を継続できるのかどうか試される】

ドル円の週足は3月31日高値直後の4月第2週から第4週まで3週連続陰線=週足三羽烏となった。
1月6日からの反騰は、週足レベルにおいては概ね80週前後の底打ちサイクルによる反騰入りであり、このサイクルにおける前回の底打ち反騰が2019年8月26日底から26週の上昇であり、2018年3月26日底からの上昇が28週、2016年6月24日底からの上昇が26週等、半年規模の上昇を繰り返してきたため、今回もそれらと同様に1月6日底を起点として半年規模の上昇へと発展する可能性が考えられた。しかし、1月6日安値102.57円から3月31日高値110.96円までの上昇幅は8.39円となり、2019年8月26日底から2020年2月20日までの上昇幅7.76円を超えており、また2016年12月天井以降の戻り天井を結んだ右肩下がりの下降チャンネルに到達したところからの反落であることから、3週連続の週足陰線により半年規模の反騰へ発展できずに抵抗線到達から下落期入りしている可能性も警戒すべき状況となってきている。

昨年3月24日の戻り天井から今年1月6日安値までの下落期における最大の反騰は昨年5月6日安値105.98円から6月5日高値109.84円までの3.86円であり、それでも下落基調は続いているので、今回も3月31日高値からの下げ幅が4円近くとなってもその後の反騰で下げ幅の半値戻し以上へ切り返せば深い調整安を消化して押し目形成とし、次の上昇で3月31日高値を超えてゆく可能性はまだ十分に残っていると思われる。ただし、3月31日高値から4円を超える下落規模となり、その後の反発でも半値戻しへ進めずに戻り一巡からの次の下落で安値を更新するような展開になると、3月31日高値からの下落基調がしばらく続くことにもなりかねない。

【4月27-28日の米FOMCから5月7日の米4月雇用統計へ、夏相場の方向を決める重要局面】

米長期債利回りは昨年8月から上昇基調が顕著となったが、特に年明けから一段と上昇が加速した。米10年債利回りは1月5日時点の0.95%から3月30日の1.77%台へと上昇してから現状の1.5%台序盤へ低下したが、それでも昨年と比較すればまだかなり高い水準といえる。
米長期債利回りの低下は例えば世界的な感染再拡大による株安に対する安全資産買いで債券高となって低下するケース、巨額のコロナ対策やインフラ投資計画等による米国債大量発行でも機関投資家の米国債買い意欲が旺盛さを維持して利回り益確保のための債券買いが需給を引き締めることにより低下傾向が続くケース、コロナ不況からの急激な回復による需給ギャップからのインフレ進行が落ち着いてインフレ率を追いかける必要がなくなって低下するケース等が考えられる。

米長期債利回りの再上昇は、米国の景気回復が力強さを増して株高債券売りとなることで利回り上昇となるケース、米国債の大量入札における応札不調が続いて大量国債発行による債券需給の弛みが再認識されることで上昇するケース、景気回復によるインフレ進行が続いてインフレ率を追いかけて上昇するケース等が考えられる。
今後の米10年債利回りが上昇再開か、低下継続か、いずれの可能性も否定できないところだが、大量の国債発行による債券需給の弛みを米連銀が買い支さえてバランスをとっている現状から、景気回復とインフレ進行を意識して量的緩和による買い支えを従来の市場予想よりも早く縮小してゆく見通しとなれば、米国債のだぶつきによる債券売り・長期債利回り上昇の再開感が強まってくる可能性がある。

4月21日にカナダ中銀は政策金利を0.25%で現状維持としたが量的緩和による債券買いを縮小するとした。4月27-28日に米連銀のFOMCがあるが、現状の不確実性を踏まえれば金融政策は現状維持のままと思われるが、米連銀の現状評価、姿勢に変化の兆しがあるのかどうか、市場も注目し反応してゆくことになる。米長期債利回りが低下傾向をさらに顕著にするのか、再び上昇基調を見せて高止まりないしは米10年債利回りで1.80%超えへ向かう流れとなるのか、4月29日未明のFOMC声明と議長会見から5月7日の米4月雇用統計へ向けた流れで夏相場の方向性も決まってくるのだろうと思われる。

【当面のポイント】

【当面のポイント】

年初からの上昇に対する半値押しラインは106.76円。昨年6月5日への反騰時と逆の下落規模とすれば107.10円。仮に4月23日夜安値を割り込む場合、107円割れを回避するか、一時的に割り込んでも切り返せるのかどうか試されると思われる。
日足チャートでは52日移動平均を割り込んだところまで下げているため、上昇再開には26日移動平均(現在109.21円)を上抜き返す必要がある。

(1)当初、4月23日夜安値107.46円を下値支持線、4月20日夕高値108.54円を上値抵抗線とみておく。
(2)4月23日夜安値割れ回避のうちはいったん戻しに入る可能性があるとみる。108.50円手前は戻り売りも出やすいとみるが、4月20日夕高値を超えて続伸の場合は109円台回復を目指した流れへ向かいやすくなると予想。またその際は3月31日からの下落基調から脱却してゆく可能性もあるとみる。
(3)4月23日夜安値を割り込む場合、FOMC声明の出る4月29日未明にかけては安値試しを続けるか下げ渋り程度にとどまりやすいとみる。FOMCを前後して107円割れ回避から108.50円超えへ反騰なら上昇再開の可能性ありとみて109.00円、109.50円と段階的に高値を試して行く流れを想定する。また107円を割り込む場合は下値目途を106.70円台へ引き下げるが、107円割れを売られ過ぎ警戒として買い戻し主導で反騰入りしやすいとみる。(了)<25日17:15執筆>

【当面の主な予定】

4/26(月)
休場、ニュージーランド
未 定 (日) 日銀・金融政策決定会合 1日目
08:50 (日) 3月 企業向けサービス価格指数 前年同月比 (2月 -0.1%、予想 0.0%)
14:00 (日) 2月 景気先行指数(CI)改定値 (速報 99.7)
14:00 (日) 2月 景気一致指数(CI)改定値 (速報 89.0)
17:00 (独) 4月 IFO企業景況感指数 (3月 96.6、予想 98.0)
21:30 (米) 3月 耐久財受注 前月比 (2月 -1.1、予想 2.4%)
21:30 (米) 3月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (2月 -0.9%、予想 1.6%)
26:00 (米) 財務省2年、5年債入札

4/27(火)
休場、南ア
未 定 (日) 日銀金融政策決定会合、政策金利 (現行 -0.10%、予想 -0.10%)
未 定 (日) 日銀展望レポート
未 定 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目
22:00 (米) 2月 連邦住宅金融局(FHFA)住宅価格指数 前月比 (1月 1.0%、予想 1.0%)
22:00 (米) 2月 ケース・シラー米住宅価格指数 前年同月比 (1月 11.1%、予想 11.8%)
23:00 (米) 4月 コンファレンス・ボード消費者信頼感指数 (3月 109.7、予想 112.0)
23:00 (米) 4月 リッチモンド連銀製造業指数 (3月 17、予想 22)
26:00 米財務省7年債、2年物変動利付債入札

4/28(水)
バイデン米大統領、上下両院合同会議で演説
OPECプラス共同閣僚監視委員会(JMMC)、閣僚級会合
08:50 (日) 3月 小売業販売額 前年同月比 (2月 -1.5%、予想 4.6%)
10:30 (豪) 1-3月期 消費者物価 前期比 (10-12月 0.9%、予想 0.9%)
10:30 (豪) 1-3月期 消費者物価 前年同期比 (10-12月 0.9%、予想 1.4%)
15:00 (独) 5月 GFK消費者信頼感 (4月 -6.2、予想 -4.2)
23:00 (欧) ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC) 政策金利 (現行 0.00-0.25%、予想 0.00-0.25%)
27:30 (米) パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見

4/29(木)
休場、日本
07:45 (NZ) 3月 貿易収支 (2月 1.81億NZドル、予想 0.33億NZドル)
10:30 (豪) 1-3月期 輸入物価指数 前期比 (10-12月 -1.0%、予想 -1.6%)
15:00 (独) 3月 輸入物価指数 前月比 (2月 1.7%、予想 1.0%)
15:00 (独) 3月 輸入物価指数 前年同月比 (2月 1.4%、予想 6.0%)
16:55 (独) 4月 失業者数 前月比 (3月 -0.80万人、予想 -1.00万人)
16:55 (独) 4月 失業率 (3月 6.0%、予想 6.0%)
18:00 (欧) 4月 消費者信頼感・確定値 (速報 -8.1)
18:00 (欧) 4月 経済信頼感 (3月 101.0、予想 102.1)

21:00 (独) 4月 消費者物価指数速報値 前月比 (3月 0.5%、予想 0.5%)
21:00 (独) 4月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (3月 1.7%、予想 1.9%)
21:30 (米) 週間 新規失業保険申請件数 (前週 54.7万件、予想 55.8万件)
21:30 (米) 週間 失業保険継続受給者数 (前週 367.4万人、予想 359.0万人)
21:30 (米) 1-3月期 GDP速報値 前期比年率 (10-12月 4.3%、予想 6.6%)
21:30 (米) 1-3月期 GDP個人消費速報値 前期比年率 (10-12月 2.3%、予想 10.3%)
21:30 (米) 1-3月期 コアPCE速報値 前期比年率 (10-12月 1.3%、予想 2.4%)
23:00 (米) 3月 住宅販売保留指数 前月比 (2月 -10.6%)
23:00 (米) 3月 住宅販売保留指数 前年同月比 (2月 -2.7%)
24:00 クォ―ルズFRB副議長、講演

4/30(金)
08:30 (日) 4月 東京区部消費者物価・生鮮食料品除く 前年同月比 (3月 -0.1%、予想 0.0%)
08:30 (日) 3月 失業率 (2月 2.9%、予想 2.9%)
08:30 (日) 3月 有効求人倍率 (2月 1.09、予想 1.09)
08:50 (日) 3月 鉱工業生産速報値 前月比 (2月 -1.3%、予想 -2.0%)
08:50 (日) 3月 鉱工業生産速報値 前年同月比 (2月 -2.0%、予想 -0.3%)
10:00 (中) 4月 国家統計局・製造業PMI (3月 51.9、予想 51.7)
10:30 (豪) 1-3月期 生産者物価 前期比 (10-12月 0.5%)
10:30 (豪) 1-3月期 生産者物価 前年同期比 (10-12月 -0.1%)
14:00 (日) 3月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (2月 -3.7%、予想 -7.4%)
14:00 (日) 4月 消費者態度指数・一般世帯 (3月 36.1、予想 34.0)
14:30 (仏) 1-3月期 GDP速報値 前期比 (10-12月 -1.4%、予想 -0.1%)

17:00 (独) 1-3月期 GDP速報値 前期比 (10-12月 0.3%、予想 -1.5%)
17:00 (独) 1-3月期 GDP速報値・季調済 前年同期比 (10-12月 -3.7%、予想 -3.2%)
17:00 (独) 1-3月期 GDP速報値・季調前 前年同期比 (10-12月 -2.7%、予想 -3.6%)
18:00 (欧) 3月 失業率 (2月 8.3%、予想 8.3%)
18:00 (欧) 4月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (3月 1.3%、予想 1.6%)
18:00 (欧) 4月 消費者物価コア指数速報値 前年同月比 (3月 0.9%、予想 0.8%)
18:00 (欧) 1-3月期 GDP速報値 前期比 (10-12月 -0.7%、予想 -0.8%)
18:00 (欧) 1-3月期 GDP速報値 前年同期比 (10-12月 -4.9%、予想 -2.0%)

21:30 (米) 1-3月期 雇用コスト指数 前期比 (10-12月 0.7%、予想 0.7%)
21:30 (米) 3月 個人所得 前月比 (2月 -7.1%、予想 20.0%)
21:30 (米) 3月 個人消費支出(PCE) 前月比 (2月 -1.0%、予想 4.1%)
21:30 (米) 3月 PCEデフレーター 前年同月比 (2月 1.6%、予想 2.3%)
21:30 (米) 3月 PCEコア・デフレーター 前月比 (2月 0.1%、予想 0.3%)
21:30 (米) 3月 PCEコア・デフレーター 前年同月比 (2月 1.4%、予想 1.8%)
22:45 (米) 4月 シカゴ購買部協会景況指数 (3月 66.3、予想 64.3)
23:00 (米) 4月 ミシガン大学消費者信頼感指数速報値 (3月 86.5、予想 87.5)

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