ドル円 戻り売りが出やすい地合いが続く(週報4月第4週)

先週のドル円は週初から着実に水準を下げる展開が続き、5日連続で高値安値ともに切り下げる典型的な下げ相場となりました。

ドル円 戻り売りが出やすい地合いが続く(週報4月第4週)

戻り売りが出やすい地合いが続く

〇先週のドル円は5日連続で高値安値ともに切り下げる典型的な下げ相場
〇今週は日銀会合、FOMCと日米の金融政策決定会合が続く
〇FOMC無風予想だが、次回6/16FOMCでのテーパリング検討といった内容が伝えられる可能性も
〇ドルの上値が重い流れは続きそうだが107円台半ばを下回ると買いも出てきやすくなる
〇今週は、107.00レベルをサポートに、109.40レベルをレジスタンスとする流れ

今週の週間見通し

先週のドル円は週初から着実に水準を下げる展開が続き、5日連続で高値安値ともに切り下げる典型的な下げ相場となりました。ドル売りの材料としては上値が重くなってきた米金利、円買いの材料としては緊急事態宣言発令を前に弱い日本株市場を横目で見てのリスクオフの円買いの動きが出ていました。

またポジション的には依然として円売りポジションが多い流れが続いていますが、週初高値の108円台後半から週末安値の107円台半ばまで、戻しが弱い地合いとなっていたことから断続的に利食いの売りが上値を抑えていました。買い手も同様に出てはいましたが、利食いの売りに押された格好になったと言えそうです。

今週は日銀会合、FOMCと日米の金融政策決定会合が続きますが、日銀は3月に点検作業を行い金融政策に修正を加えた直後ということもあって、今回は経過観察程度になるでしょう。ただ、大阪を中心に新規感染者数が増加している動きと今後の経済情勢についてどのような言及があるのかは気になるところです。

FOMCも特に材料視されるものは無いのですが、米国ではワクチン接種が進み景気回復軌道に乗っていること、同じ北米経済圏ではカナダが一足先にテーパリング(国債購入減額)を決定したことから、4月に入ってからのパウエルFRB議長の発言「テーパリング開始は利上げを検討する時期よりもかなり前になる可能性」が改めて注目されています。

今回のFOMCで今後のテーパリングの開始時期が示される可能性があり、早ければ次回6月16日FOMCでのテーパリング、あるいは検討といったことが伝えられる可能性がありますが、その場合には為替市場はドル買いで反応しそうですが、株式市場は市中の資金が減る方向から下げる動きとなるか、あるいは経済正常化を好感するのか悩ましいところです。個人的には株安とドル高で反応するのではと考えていますが、そもそも何も出て来ない可能性も高く、蓋を開けて見なければわかりません。

先週までの動きを考えると引き続きドルの上値が重たい流れは続きそうですが、107円台半ばを下回るとそろそろ買いも出てきやすくなるでしょう。このあたりはテクニカルな観点から考えてみます。日足チャートをご覧ください。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

先週書いた通りですが3月5日安値からのサポートライン(赤)を下抜けたことで短期的には下げの流れへと転換し、下降チャンネル(ピンク)の中での動きを先週も続けることとなりました。年初来安値と高値との38.2%押し107.76(赤のターゲット)も達成したものの相変わらず上値は重く、半値押し106.77(赤のターゲット)も視野に入れる動きとなってきました。

上値の目途は3月上旬以降何度かサポートとなった水準108.30(青の水平線)あたりでは既に売りが出やすくなってきたと見てよいでしょう。今週は上記両水準を参考に、107.00レベルをサポートに、109.40レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2021年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

4月26日(月)
**:** NZ市場休場
**:** 日銀会合(〜27日)
17:00 ドイツ4月ifo企業景況感
21:30 米国3月耐久財受注

4月27日(火)
**:** 南ア市場休場
**:** 日銀会合結果発表
15:30 黒田日銀総裁会見
22:00 米国2月住宅価格
22:00 米国2月ケースシラー住宅価格
23:00 米国4月消費者信頼感
23:00 米国4月リッチモンド連銀製造業景況指数
**:** FOMC(〜28日)

4月28日(水)
10:30 豪州1〜3月期CPI
15:00 ドイツ5月消費者信頼感
15:45 フランス4月消費者信頼感
21:45 シュナーベルECB理事講演
23:30 週間原油在庫統計
27:00 FOMC結果公表
27:30 パウエルFRB議長会見

4月29日(木)
**:** 東京市場休場
07:45 NZ3月貿易収支
16:55 ドイツ4月失業率
18:00 ユーロ圏4月消費者信頼感
18:30 南ア3月PPI
21:00 ドイツ4月CPI速報値
21:30 米国1〜3月期GDP速報値
21:30 米国新規失業保険申請件数
23:00 米国3月住宅販売保留件数

4月30日(金)
08:30 本邦4月東京区部CPI
08:30 本邦3月失業率・有効求人倍率
10:00 中国4月製造業PMI
10:30 豪州1〜3月期PPI
14:30 フランス1〜3月期GDP速報値
15:45 フランス4月CPI速報値
15:45 フランス3月PPI
16:00 トルコ3月貿易収支
17:00 ドイツ1〜3月期GDP速報値

18:00 ユーロ圏1〜3月期GDP速報値
18:00 ユーロ圏4月CPI速報値
18:00 ユーロ圏3月失業率
21:00 南ア3月貿易収支
21:30 米国3月個人所得・消費支出
21:30 米国1〜3月期雇用コスト
22:45 米国4月シカゴ購買部協会景況指数
23:00 米国4月ミシガン大消費者信頼感速報値

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

4月19日(月)
週明けのドル円は上値の重たい地合いを継続してのスタートとなりましたが、東京前場に先週安値を下回ると売り手がオーダーの水準を下げてきたこともあって、一段と上値が重くなりじり安のまま欧州市場入り。欧州市場ではユーロが買われる動きとともに一段安となり欧州市場前場には108.01レベルの安値をつけました。108円以下でようやくドル買いオーダーも見られ、その後は108円台前半の狭い値幅でNY市場の取引を終えました。

4月20日(火)
ドル円は東京前場に107.97レベルと前日安値を下回りましたが、その後はドル円とユーロ円に実需の買いと見られる動きが入ったことから反発、欧州市場序盤にはユーロ円が130.97レベルと2018年10月以来の高値をつける動きに引っ張られて108.55レベルの高値をつけました。NY市場まではもみあいが続いていたものの欧州時間以降、NYダウが大幅安となったことに反応し、東京前場安値圏に押して引けました。

4月21日(水)
ドル円は東京市場で株安となった動きを受け円高が先行しました。3度目の緊急事態宣言がGWを前に発令されることを受け、飲食店だけでなくデパート等の商業施設も休業対象となる流れを嫌気しての動きでした。前日安値を下抜け107.87レベルの安値をつけたものの、その後は株価とともに値を戻し、108円台前半の狭いレンジでの取引に終始しました。

4月22日(木)
東京市場のドル円は前日の上値の重たい流れを受け、米金利が低下する動きとともにじり安、欧州市場序盤には前日安値を若干下回り107.81レベルの安値をつけました。しかし下げたところでは買いオーダーがあったことやユーロ円の買いが出たことも重なってNY昼過ぎには108.23レベルの戻り高値をつけ、引けにかけては108円をやや下回りと方向感がはっきりしない1日となりました。

4月23日(金)
ドル円はユーロドルとともにドルの上値が重たい地合いが続いていたもののNY市場までは静かな展開が続きました。NY市場に入り米金利低下をきっかけに東京前場安値を下抜けると107.48レベルの安値をつけたものの、金利がすぐに反発したことから108.15レベルへと日中高値を更新。引けにかけては108円台での戻り売りに押され東京市場の水準で引けました。

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