トルコリラ円見通し 中銀総裁更迭後の暴落落ち着き、15日の中銀会合後も模様眺め続く(21/4/19)

トルコリラ円の4月16日は13.39円から13.56円のレンジで推移。

トルコリラ円見通し 中銀総裁更迭後の暴落落ち着き、15日の中銀会合後も模様眺め続く(21/4/19)

中銀総裁更迭後の暴落落ち着き、15日の中銀会合後も模様眺め続く

〇トルコリラ円、16日は13.39から13.56のレンジで推移
〇4/7以降13.30台は買い戻し、13.50台では戻り売りとなり中心値は13.45近辺にとどまる
〇4/15の金融政策会合は19%に据え置き、追加利上げの文言削除され大統領意向の利下げを計るか
〇トルコ中銀、決済手段としての仮想通貨の使用を4/30から法的に禁止
〇13.30割れからは13.01前後を目指す下落想定、13.56超えから13.84を目指す上昇を想定

【概況】

トルコリラ円の4月16日は13.39円から13.56円のレンジで推移。
4月15日20時のトルコ中銀政策金利発表直後に乱高下となり、いったん13.56円へ上昇後に13.30円へ下落した後は持ち直しに入り、16日昼には13.56円まで戻すもその後は伸びず、15日夜の高安レンジ内に収まっての推移が続き、13.45円近辺で週を終えた。
3月19日の官報でアーバル前トルコ中銀総裁が突然解任されたことで3月22日に大暴落となり、3月19日高値15.13円から3月30日安値13.01円まで大幅続落したが、4月2日に13.84円までいったん戻した後は13.45円を中心としてほぼ横ばいの推移となっている。4月7日以降は13.30円台は買い戻され、13.50円台では戻り売りにつかまっているが、中心値は13.45円近辺にとどまっている。

対ドルでのトルコリラは15日夜の中銀政策発表直後に7.98リラへ上昇、直後に8.15リラへ反落したが、その後はこの高安レンジ内にとどまっての推移が続き、8.05リラ近辺で週を終えた。中銀総裁更迭直後の暴落で3月30日安値8.45リラまで下げてから4月2日高値7.96リラまでいったん戻し、8.10リラ台中心の推移を経て12日以降はややドル安リラ高となったが、4月2日高値を超えるところまでは進んでいない。米10年債利回りが3月30日をピークに低下に転じたことで全般的にドル安となったこともややドル安リラ高での推移となった背景だが、対ドルにおいても3月30日へのリラ暴落を解消するような状況にはまだ至っていない。

トルコの10年債利回りはリラ暴落時の3月30日に18.31%まで急上昇した後は17.50%を挟んでの小動きに入り、14日に17.23%へ、15日に17.15%へ低下したが、16日は17.35%へ上昇した。暴落一服での小動きの範囲だが、19日も上昇が続くようだと上昇再開感が出てくるかもしれない。
イスタンブール100株価指数は週間ベースで前週比10.7%高の上昇。3月21日の週に9.6%安と暴落的な下げとなった後は3.48%高、2.58%安とやや乱調だが暴落商状は落ち着いている。

【中銀は政策金利を現状維持だが、追加利上げへの言及を削除】

トルコ中央銀行は4月15日の金融政策会合で市場予想通りに主要政策金利を19%に据え置いたが、今回の中銀声明では「金利の維持により金融引き締め政策を維持する」としたもののアーバル前総裁による前回会合声明にあった「必要に応じて追加利上げの用意がある」との文言は消された。このためいずれは利下げしたいというエルドアン大統領の意向をくんで利下げのタイミングを計るのが新総裁のスタンスであると市場は再認識しているところだ。

次回の物価上昇率発表は5月3日。4月5日に発表された3月の消費者物価は前年比16.19%上昇で2月の15.61%から加速、生産者物価は同31.2%上昇で2月の27.09%から一段と加速した。生産者物価が消費者物価を追いかける展開を考えれば4月の消費者物価もさらに上昇してくると思われる。米中が景気回復を進める中で感染拡大により混乱した供給サイドと回復する需要大度の需給ギャップがインフレを進行させていることや原油相場の上昇という国際的な環境に加え、リラ安による通貨インフレ的な物価上昇圧力も再燃してきている状況にある。

トルコ中銀は4月9日に発表した金融見通しにおいて、今年末時点の消費者物価指数上昇率を3月時点の11.54%から13.12%に引き上げた。夏場に物価上昇のピークをつけてからは低下に転じるとの希望的観測と思われるが、ピーク時に政策金利の週間レポレートが消費者物価を下回る水準に保てなければ利上げ催促的なリラ売り攻勢が始まる可能性もある。

【トルコ中銀が仮想通貨取引を規制】

トルコ中銀は、モノやサービスの購入決済における暗号資産=仮想通貨の使用を法的に禁止した。4月30日から実施する。中銀は仮想通貨その他ブロックチェーン技術に基づくデジタル資産の直接間接の決済手段としての使用を禁止するとしている。
禁止対象は仮想通貨が直接・間接利用される商品およびサービスに関する決済の他、決済サービスプロバイダーが仮想通貨の決済や電子的発行に関連する事業に携わることも含まれるが、ビットコイン等の仮想通貨入手のための入金などは今回の政策に含まれていないため、取引所やウォレット間の送金や取引は禁止対象にならないようだ。
トルコでは歴史的なリラ暴落や金融政策の不透明さにより仮想通貨取引が活発だが、リラ暴落を回避するために仮想通貨や米ドルやユーロ等への逃避を抑制しようという政策意図と思われる。

【暴落一服での横ばい推移、当面のポイント】

【暴落一服での横ばい推移、当面のポイント】

3月22日の大暴落は3月30日安値で一服したが、その後は日足レベルで見ればほぼ横ばい程度の動きにとどまっている。トルコリラは歴史的な暴落を何度も発生させてきたが、暴落開始当初に当局が取引規制や介入によって値動きを抑えようとしてきたものの、効果は長続きせずに根本的なリラ安要因が解消されなければ下落基調が再開するというパターンが繰り返されてきた。今回も早急に新総裁が市場の信認を回復できなければ、エルドアン大統領の強権的な姿勢を踏まえれば同様のケースとなり、金融政策への不信任表明としてのリラ売りが再開する可能性がある。

(1)3月30日安値13.01円を下値支持線、4月2日の戻り高値13.84円を上値抵抗線とし、中勢としてはこの高安レンジを上下いずれへ抜けるのかにより次の方向性を探ることになってゆくのだろうと思われる。
(2)短期的には4月15日のトルコ中銀金融政策発表を前後した13.30円から13.56円までのレンジを上下いずれへ抜けるのかにより3月30日安値をめざすか、4月2日高値を目指すのか、明暗も分かれると思われる。このため、13.30円割れからは13.01円前後を目指す下落を想定し、13.56円超えからは13.84円を目指す上昇を想定してゆく。

【当面の主な予定】

4月20日
 23:30 3月 中央政府債務 (2月 186億リラ)
4月22日
 16:00 4月 消費者信頼感指数 (3月 86.7、予想 80.0)
 17:00 3月 観光客数 前年比 (2月 -68.96%)
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合・議事要旨
 20:30 週次 外貨準備高 4/16時点 グロス (4/9時点 493.8億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 4/16時点 ネット (4/9時点 99.3億ドル)
4月26日
 16:00 4月 製造業景況感 (3月 110.8)
 16:00 4月 設備稼働率 (3月 74.7%)
4月29日
 16:00 4月 経済信頼感指数 (3月 98.9)
 20:30 週次 外貨準備高 4/23時点 
4月30日
 16:00 3月 貿易収支 (2月 -33億ドル)
 16:00 1-3月期 観光収入 (10-12月 39.1億ドル)

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