『追加利上げの文言削除でハト派姿勢を明確化。リラ売り再開に要警戒』
〇トルコリラ円週開け13.28まで下落後、中銀利下げ見送りで13.59まで反発
〇トルコ中銀利下げ回避するも、声明から追加引き下げ文言削除
〇テクニカルには引き続き下落意識させるチャート形状
〇ファンダメンタルズも弱い
〇引き続き下落を予想、13円割れを目指す展開か
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):13.00ー13.70
今週のレビュー(4/12−4/16)
今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初13.42円で寄り付いた後、@トルコ2月失業率(結果13.4%、前回12.2%)の大幅悪化や、Aトルコ2月経常収支(結果▲26.1億ドル、前回▲18.7億ドル)の赤字幅拡大が重石となり、週明け早々に週間安値13.28円まで下落しました。しかし、B世界的な株価上昇を背景にリスク選好ムードが強まると、Cトルコ2月鉱工業生産(結果+8.8%、予想+8.0%)の良好な結果や、Dアーバル総裁更迭後初めてとなるトルコ中銀会合で政策金利が19.00%に据え置かれたこと(一部で利さげを見込む向きもあったことから、発表後は安堵のリラ買いが広がる展開)等が支援材料となり、週後半にかけて一時13.59円まで反発しました。もっとも、E上記Dの声明文で「必要に応じて追加金融引き締めを行う」との文言が削除されたことが明らかとなると、市場ではトルコ中銀によるハト派スタンス変更シグナルと受け止められ、結局13.48円前後まで値を崩しての越週となっております。
来週の見通し(4/19−4/23)
トルコリラの対円相場は、3/19に記録した高値15.14円をトップに反落に転じると、3/30には、一時13.03円まで下落しました(現在も13.48円で推移するなど上値は重たい)。この間、一目均衡表基準線や転換線、200日移動平均線を下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転も点灯するなど、テクニカル的に見て、下落リスクを意識させるチャート形状となっております。
ファンダメンタルズ的に見ても、@トルコ中銀による利下げ観測(※エルドアン大統領は自身の方針に背いて利上げを続けたアーバル総裁を3/20に解任→後任のカブジュオール新総裁は今週の初会合で政策金利を据え置きつつも声明文でハト派的なスタンスを示唆)や、A同国からの資本流出圧力(政府と中銀の独立性への疑念)、Bインフレ率の高止まり(実質金利の低下)、C新型コロナウイルスの感染拡大(エルドアン大統領は新たな制限措置を発表し、4/14から開始済)、Dトルコ経済の先行き不透明感(米シティグループは2021年のトルコの経済見通しを下方修正)、Eウクライナ問題に端を発した地政学的リスクなど、トルコリラ売りを連想させる材料が増えつつあります。
以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の下落(心理的節目13.00円割れを試す展開)をメインシナリオとして予想いたします(来週は4/22に予定されているトルコ4月消費者信頼感指数、トルコ中銀議事要旨に注目)。
来週の予想レンジ(TRYJPY):13.00ー13.70
注:ポイント要約は編集部
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