『米株高・米金利低下・米ドル売りの流れが続く見込み』
〇ドル円週初109.68まで上昇後、週末にかけて108.61まで下落
〇米中関係悪化懸念、米長期金利低下、米株価堅調による安全資産のドル売り等が背景
〇一方で好調な米経済指標にはドル買いで反応せず
〇ユーロドル米長期金利低下とECBの緩和終了への憶測に一時1.1995まで上昇
〇ドル円テクニカルには中長期ドル高トレンド終了が意識されるチャート形状
〇ファンダメンタルズもドル円下落の材料増える
〇来週の予想レンジ(USDJPY):107.50ー110.00、(EURUSD):1.1850−1.2100
今週のレビュー(4/12−4/16)
<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初109.68で寄り付いた後、早々に週間高値109.78まで上昇しました。しかし、前週末金曜日に記録した高値109.96や、心理的節目110.00をバックに伸び悩むと(戻り売りが強まると)、@ブリンケン米国務長官による台湾問題に対する中国への警告(米中対立激化懸念)や、A新型コロナウイルスの感染再拡大懸念(米国が血栓発生を理由にジョンソン・エンド・ジョンソン製の新型コロナワクチンの接種停止を呼びかけるとの一部報道)、Bセントルイス連銀ブラード総裁による「金融政策変更についての議論は時期尚早」との発言、C好調な米30年債入札結果、DパウエルFRB議長による「殆どのFRBメンバーは2024年まで利上げを予想していない」とのハト派的な発言、
E米早期テーパリング観測の後退に伴うドル売り圧力(米早期テーパリング観測後退→米10年債利回り急低下→ドル売り)、F米主要株価指数の堅調推移(米長期金利低下→米株続伸→リスク選好のドル売り圧力)が支援材料となり、週末にかけて、3/24以来、約3週間ぶり安値となる108.61まで下落しました。引けにかけて小反発するも上値は重く、結局108.80前後での越週となっております。尚、今週発表された米経済指標(米3月消費者物価指数、米3月小売売上高、米4月ニューヨーク連銀製造業景気指数、米4月フィラデルフィア連銀製造業景気指数、米新規失業保険申請件数)は軒並み力強い結果となりましたが、ドル高での反応は限定的となりました(良好な米経済指標→ドル高の波及経路は見られず)。
<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.1891で寄り付いた後、@欧州圏における新型コロナウイルスの感染拡大(ドイツはロックダウンを3週間延長)や、A欧州経済の先行き不透明感、B欧州株の軟調推移が重石となり、週明け早々に週間安値1.1870まで下落しました。しかし、前週末金曜日に記録した安値1.1867をバックに下げ渋ると、Cユーロ圏2月小売売上高(結果3.0%、予想1.7%、前回▲5.2%)の良好な結果や、D米長期金利の急低下(ドル売り)、E株式市場の堅調推移(リスクオンのドル売り)、Fフランス中銀ビルロワドガロー総裁によるPEPP(パンデミック緊急購入プログラム)終了時期に関する発言(金融緩和終了の思惑→ユーロ高)が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値1.1995まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、結局1.1980前後での越週となっております。
来週の見通し(4/19−4/23)
<ドル円相場>
ドル円は3/31に記録した高値110.97をトップに反落に転じると、今週末にかけて一時108.61まで急落しました(▲2.1%)。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドや21日移動平均線を下抜けした他、強い上昇トレンド入りを示唆するバンドウォークや一目均衡表三役好転も終了するなど、本年1/6に記録した安値102.58を起点に始まった中長期ドル高円安トレンドの終了が意識されるチャート形状となっております(3/23に記録した安値108.40を割れれば、ダウ理論でも上昇トレンドが否定されることから、来週は同水準を死守できるか否かに注目が集まる)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@米早期テーパリング観測の後退を背景とした米長期金利の急低下(米10年債利回りは3/30に記録した1.776%から今週後半にかけて1.528%へ急低下)や、A株式市場の堅調推移(米長期金利低下→株高→リスク選好のドル売り)、B投資家ポジションのアンワインド(年初より続いたドル独歩高の是正)、C新型コロナウイルスの感染再拡大リスク、D地政学的リスクの再燃懸念(バイデン政権下での米中対立激化懸念)、E過去最大規模へ膨らむ米国の双子の赤字(ドル売り)、F米経済指標とドル円相場の相関急変(3月末までは、「米経済指標の力強い結果→米早期テーパリング観測再燃→米長期金利上昇→ドル高」で反応しておりましたが、4月以降は、「米経済指標の力強い結果→リスク選好ムード→米株高・米長期金利低下→ドル売り」の波及経路に変化)など、ドル円相場の下落を意識させる材料が増えつつあります。
以上の通り、ドル円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、続落リスクが警戒されます。米長期金利や米主要株価指数の動向、米経済指標の結果(米3月中古住宅販売件数、米3月新築住宅販売件数)、米債入札(20年債)の結果を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(来週も米債市場および為替市場におけるポジションのアンワインドが続く見込み。米長期金利低下→ドル売りの波及経路に要注意)。
来週の予想レンジ(USDJPY):107.50ー110.00
<ユーロドル相場>
ユーロドルは3/31に記録した安値1.1703をボトムに反発に転じると、今週後半にかけて、一時1.1995まで急伸しました(心理的節目1.2000に迫る展開)。この間、一目均衡表転換線や基準線、200日移動平均線を上抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転も終了するなど、テクニカル的に見て、更なる上昇を意識させるチャート形状が続いております。また、ファンダメンタルズ的に見ても、@米早期テーパリング観測の後退を背景とした米長期金利の急低下や、A欧米株の堅調推移を背景としたリスク選好のドル売り圧力など、ユーロドルの上昇を意識させる材料が確認されます(米ドル主導のユーロドル上昇)。
以上の通り、ユーロドル相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、続伸リスクが警戒されます。米長期金利や欧米株の動向、新型コロナウイルスに関するヘッドライン(欧州各国の感染状況やロックダウン方針)、ユーロ圏経済指標の結果(ユーロ圏4月消費者信頼感指数、ユーロ圏4月製造業PMI速報値、ユーロ圏4月サービス業PMI速報値)、ECB理事会およびラガルド総裁記者会見(ECBは金融政策の現状維持を決定する見込みであり、無風がメインシナリオ。但し、4/14にフランス中銀ビルロワドガロー総裁が述べた通り、PEPP終了についての見解が出てきた場合、ユーロ高で反応する可能性あり)を睨みながらも、当方では引き続き、ユーロドル相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします(心理的節目1.2000の大台突破を想定)。
来週の予想レンジ(EURUSD):1.1850−1.2100
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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