調整局面だが下値堅そう、ドル安は限定的か(週報4月第3週)

先週のドル/円相場はドルが続落。週足は今年初めての2週連続陰線引けとなり、ようやく調整局面入りしたことが確認された格好だ。

調整局面だが下値堅そう、ドル安は限定的か(週報4月第3週)

調整局面だが下値堅そう、ドル安は限定的か

〇先週のドル円続落するも、週間安値108.61からは底堅い印象
〇ビットコインは14日に64700ドル台まで値を上げ史上最高値を再び更新
〇イラン中部ナタンツの核施設で「テロ」とみられるアクシデントが発生
〇年初来安値102.60を起点としたドル高・円安がようやく終焉を迎えた可能性
〇今週は4月カンザスシティ連銀製造業活動指数、製造業PMI速報値などの米経済指標が発表予定
〇今週のドル/円予想レンジは、107.90-110.20

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場はドルが続落。週足は今年初めての2週連続陰線引けとなり、ようやく調整局面入りしたことが確認された格好だ。

前週末、暗号資産(仮想通貨)ビットコインは再び6万ドル台を示現。史上最高値を視界内に捉えた動きをたどったほか、北朝鮮やイランで不穏な行動が観測されたとの報道もあり、物議を醸していたようだ。

そうした状況下、ドル/円は109.65円で寄り付いたのち、しばらくは底堅く推移。前週に割り込めなかった109円レベルをボトムとした推移をたどるも、底割れすると、そのまま週間安値108.61円へと続落している。ただ、レンジ下限を割り込んだにしてはいまひとつ値は走らず、逆に底堅さも。相次ぐ米経済指標の発表や金融機関を中心とした決算発表、日米首脳会談などのイベントをこなしつつ、週末NYは108.80円前後で取引を終え、越週としている。
なお、前述したビットコインは週の半ば14日に64700ドル台まで値を上げ、史上最高値を再び更新。依然として騰勢は止まらない状況にあるようだ。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「イラン情勢」と「中国情勢」について。
前者は、先々週断続的に実施されていた米国とイランなどによる「核合意協議」が先週15日に再開されたが、ポジティブ要因はそれぐらい。イラン中部ナタンツの核施設で「テロ」とみられるアクシデントが発生。それをめぐり、「犯人」と指摘されたイスラエルとイランのあいだに不穏な空気が広がりつつあるようだ。たとえば、「UAE沖でイスラエル船が何者かの攻撃を受けた」といった報道も観測されている。なお、それとは別にイランが「ウラン濃縮60%に引き上げる」ことを発表、さらに実際にその行動へと踏み出したことが明らかに。今週も動静には要注意だ。

対して後者は、週末16日に開催された日米首脳会談を前に、中国サイドから警戒感を漲らせた動きが相次ぎ観測されていた。中国外務省は議題のひとつになるとみられる「台湾情勢」について、「米国は台湾問題について慎重に発言し、行動するよう求める」とした先制パンチを繰り出したうえ、終了後には発表された共同声明に実際「台湾への懸念」が盛り込まれたことで、改めて「内政干渉だ」などと強く批判するコメントを発している。いずれにしても、米国による中国との対峙スタンスが鮮明になったと言えそうで、こちらの情勢も気掛かりだろう。

<< 今週の見通し >>

ドル/円は、形成していたレンジを先週14日に下放れしてきた。それからすると、リスクという意味では下方向にバイアスがかかりそうだ。年明け早々の年初来安値102.60円を起点に3ヵ月、8円を超える一本調子のドル高・円安がようやく終焉を迎えた可能性がある。しかしながら、思いのほか下値も堅く、実際先週のドル安値は108.61円。遅々として、ドル安が進んでいない状況だ。時間的な調整局面であり、ドルの下落は限られたものにとどまるのかもしれない。

前述したような状況下、材料的には大きく2つの要因に注目。ひとつは広義の米ファンダメンタルズで、今週も発表される米経済指標や米企業決算などをまずは注視したい。また、いまひとつは幾つかの国際情勢。具体的には、「イラン」や「中国」、「ロシア」、「北朝鮮」などとなり、とくに前者の2つは要注意だろう。さらに、オンラインながら米中の首脳が顔を合わせる22-23日の「気候サミット」を警戒する声も少なくなく、場合によっては気候とは別の部分で波乱要因なることもありそうだ。

テクニカルに見た場合、年初来安値102.60円を起点とした上げ幅のフィボナッチ23.6%押しに当たる109円でドルは下げ止まっていたが、そのレベルをついに下回ってきた。それを受け、フィボナッチの観点では次のサポートは同38.2%押しの107.75-80円となる。
つまり、大きな下げ余地が生まれたともいえるわけだが、そんな見通しとは裏腹にドルは底堅く先週のドル安値は108.61円まで。先週安値や今年3月に底堅く推移した108.30-40円で下げ止まってしまうと、そののち流れが反転しても不思議はなさそうだ。

材料的に見た場合、中長期的には領有権をめぐる周辺国との対立や人権問題など話題に事欠かない「中国情勢」や「北朝鮮情勢」、「イラン情勢」、「露・ウクライナ情勢」、「新型コロナウイルス再拡大と変異種の発生、ワクチン開発・接種」、「バイデン米大統領による政権運営」−−などが注視されている。
そうしたなか今週は、4月のカンザスシティ連銀製造業活動指数や同製造業PMI速報値といった米経済指標が発表される見込みのほか、注目米企業による決算発表も相次ぐ。また、米国以外では22日に予定されているECBの政策金利発表などを警戒する向きが多いようだ。

そんな今週のドル/円予想レンジは、107.90-110.20円。ドル高・円安については、時間足ベースで見た109.00-10円レベルが最初の抵抗。超えれば109.75円や109.96円など、さらには110円台前半が意識されそうだ。
対するドル安・円高方向は、先週安値である108.61円そして108.30-40円の攻防にまずは注目。割り込めば108円割れ、フィボナッチサポートの107.75-80円も視界内に。

調整局面だが下値堅そう、ドル安は限定的か

ドル円日足

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