トルコリラ円見通し トルコ中銀金融政策決定会合待ち、新総裁を市場が審判(21/4/15)

トルコリラ円は、14日夕刻に13.45円を超えて13.56円まで一時的に急伸した。

トルコリラ円見通し トルコ中銀金融政策決定会合待ち、新総裁を市場が審判(21/4/15)

トルコ中銀金融政策決定会合待ち、新総裁を市場が審判

〇トルコリラ円、対ドルでトルコリラ上昇きっかけに14日夕刻に13.56まで一時的に急伸
〇買い一巡後は13.38まで反落、深夜から15日早朝にかけては13.45を挟んだ小動き
〇対ドルでは14日夕刻に8.01までドル安リラ高へ進み、その後も確り
〇トルコ10年債利回りは17.23%まで低下、イスタンブール100株価指数は前日比2.24%高
〇15日20時に中銀の金融政策発表、主要政策金利の週間レポレートは現行の19%で据え置き予想
〇中銀金融政策発表から下げ足が早まる場合は12日夕安値13.26試し
〇13.50超えからは13.56試し、政策発表から急伸の場合は13.70台への上昇を想定

【概況】

トルコリラ円は13.40円を中心に13.45円前後を戻り抵抗とした小動きを4月7日から続けていたが、14日夕刻に13.45円を超えて13.56円まで一時的に急伸した。対ドルでトルコリラが上昇したことがきっかけだが、特段のリラ買い材料は見られず、15日にトルコ中銀の金融政策決定会合を控えた状況の中でのポジション調整的な動きか、薄商いの中でのテクニカルな買い連鎖反応で一時的に上昇したものと思われ、買い一巡後は13.38円まで反落、深夜から15日早朝にかけては13.45円を挟んだ小動きに収まっている。

対ドルでのトルコリラは8.10リラ前後から8.20リラ前後のレンジ内での推移が続いていたが、14日夕刻に8.01リラまでドル安リラ高へ進み、その後も8.10リラ前後では買い戻されて確りしている。中銀総裁更迭による3月22日からの暴落で3月30日に8.45リラへ急落したところから4月2日に7.96リラまでいったん戻した後は小康状態での推移だったが、14日夕刻の高値は4月2日高値超えには至らなかったものの4月5日以降では最高値となった。
4月14日はトルコ10年債利回りも17.23%まで低下してリラ暴落時の3月30日に付けた18.31%以降では最低水準となった。4月2日から13日までは17.50%を挟んで小動きだったが、14日のドル安リラ高局面ではトルコ債が買われて利回りが低下する現象も見られた。
イスタンブール100株価指数の4月14日は前日比2.24%高と上昇した。4月6日から12日まで5日間の続落となったところから13日に続いて買い戻されている。

4月15日のトルコ中銀金融政策発表を前にして、大きく売られてきたトルコ株、債券が買い戻されて対ドルでもリラがやや戻したという状況と思われる。その背景にはトルコ金融当局によるリラ防衛的な動きが隠れている可能性もあるところだが、あくまでも15日の金融政策決定会合が新総裁にとっての市場による審判日であり、今後の利下げ可能性も含めて声明文や総裁発言等を見極めてから方向性を探ることになるのだろうと思われる。

【市場予想は政策金利19%への据え置き】

米シティバンクは4月13日に2021年のトルコの成長率予想を従来の4.0%から3.4%に下方修正した。金融市場のタイト化により第2四半期の企業活動が低下するためとした。またトルコリラの最近の下落により年末のインフレ率見通しを従来の11.7%から15.0%へ引き上げ、インフレと投資流入に大幅な改善がない限り年内に利下げされる可能性は小さいとした。

4月15日20時に発表されるトルコ中銀の金融政策においては、主要政策金利の週間レポレートが現行の19%で据え置かれると予想されている。
3月19日付けで解任されたアーバル総裁は昨年11月にかけてのトルコリラ暴落と金融政策への市場の不信任に対処するために11月会合、12月会合、3月会合で三度の利上げを行ってきたが、3月18日に17%から19%へ三度目の利上げを決定した翌日に解任された。後任のカブジュオール総裁はエルドアン大統領と同様に低金利がインフレを抑制するとの異説を述べていた経緯もあり、エルドアン政権による利下げへの移行準備を示すものと市場は受け止めてリラ安、株安、債券安のトリプル安が発生した。新総裁はその後に拙速な利下げは行わないとの姿勢を繰り返し表明して市場を落ち着かせようとしてきたため、4月15日の会合では政策金利が現状維持とされるであろうと市場は見ているが、インフレのピークが見えるか落ち着く状況に入れば利下げに踏み切るであろうと予想されている。

今回、利下げならパニック的なリラ暴落となりかねないが、それはないとしても、今後の利下げへの判断目安等で中銀の政策スタンスが妥当性を欠くと市場が受け止めれば利下げ拒否的なリラ売りへ動きやすく、明確な利下げ基準を示したうえで引き締め継続姿勢を強調すれば市場もいったんは3月30日への暴落的なリラ安はやや過剰だったとして修正的なリラ高へ向かう可能性もあるだろう。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月12日夕へいったん下げてから戻したために13日午前時点では12日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして13日から15日朝にかけての間への上昇を想定した。
4月14日夕刻へ上昇してから反落しているため、14日夕高値で直近のサイクルトップを付けたと思われる。14日夕高値を上抜けないうちは弱気サイクル入りとして15日の日中から19日夕にかけての間への下落を想定し、14日夕高値超えからは新たな強気サイクル入りとして19日から21日夕にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では14日夕への上昇とその後の反落でも先行スパンを上回った状況を維持しているので先行スパンを上回るうちは上昇再開余地ありとするが、先行スパン転落からは下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は14日夕高値への上昇時に70ポイントに到達し、その後の反落でも50ポイント前後で確りしているので、60ポイント超えからは上昇再開の可能性があるとみるが、45ポイント割れからは30ポイント割れを目指す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、13.40円を下値支持線、13.50円を上値抵抗線とする。
(2)13.50円以下での推移中は下向きとし、13.40円割れからは13.30円前後への下落を想定する。中銀金融政策発表から下げ足が早まる場合は12日夕安値13.26円試しとし、さらに急落商状の場合は13.20円試しへ下値目途を引き下げる。
(3)13.50円手前は戻り売りにつかまりやすいとみるが、13.50円超えからは13.56円試しとし、中銀金融政策発表から急伸の場合は13.70円台への上昇を想定する。ただし一時的な急伸の場合は直前高値から0.10円以上の反落が発生するところからは下げ再開となる可能性があると注意する。

【当面の主な予定】

4月15日
 17:00 3月 財政収支 (2月 231.7億リラ、予想 -530億リラ) 
 20:00 トルコ中銀 週間レポレート (現行 19.0%、予想 19.0%)
 20:00 トルコ中銀 翌日物貸出金利 (現行 20.50%)
 20:00 トルコ中銀 翌日物借入金利 (現行 17.50%)
 20:00 トルコ中銀 後期流動性貸出金利 (現行 23.50%)
 20:30 週次 外貨準備高 グロス (4/2時点 480.9億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 ネット (4/2時点 106.8億ドル) 

4月22日
 16:00 4月 消費者信頼感指数 (3月 86.7、予想 80.0)
 17:00 3月 観光客数 前年比 (2月 -68.96%)
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合・議事要旨

注:ポイント要約は編集部

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