トルコリラ円見通し トルコ中銀の金融政策発表待ちで小動き続く(21/4/14)

4月8日以降は小幅なレンジにとどまっての小動きが続いている。4月13日も高安レンジは13.46円から13.34円にとどまり4月12日の高安レンジ内だった。

トルコリラ円見通し トルコ中銀の金融政策発表待ちで小動き続く(21/4/14)

トルコ中銀の金融政策発表待ちで小動き続く

〇トルコリラ円、13日の高安レンジは13.46-13.34にとどまり12日の高安レンジ内に
〇15日発表のトルコ中銀金融政策からトルコのトリプル安が加速するのか持ち直しに入るのか注目
〇トルコ2月小売売上高は前月日3.4%増、前年同月比4.6%増で昨年のコロナショック時より落ち着く
〇トルコ経済はインフレの加速と通貨暴落が問題、リラ安が加速すれば通貨インフレが進み消費の低迷も
〇トルコ中銀、15日の金融政策決定会合は19%に据え置くと予想だが17%への利下げを見込む予想も
〇13.45-50にかけて戻り売りにつかまりやすい、13.40以上を維持するなら14日夜〜15日に高値試しへ
〇13.34割れから13.30前後試し、13.30前後は買い戻されやすいとみるが続落の場合13.26前後試しへ

【概況】

トルコリラ円は中銀総裁更迭による3月22日から3月30日への暴落がひとまず落ち着き、4月2日にかけていったん戻したところから再び下げたものの4月8日以降は小幅なレンジにとどまっての小動きが続いている。4月13日も高安レンジは13.46円から13.34円にとどまり4月12日の高安レンジ内だった。
トルコの3月鉱工業生産と小売売上高の発表もあったが市場の反応は限定的で、米長期債利回りが大幅に低下したことでドル円は下落したが、全般的なドル安により対ドルでのトルコリラがやや強含んだことで円高による売り圧力が相殺された。4月15日夜のトルコ中銀金融政策発表を見定めたいということも値動きを抑えている。

対ドルでのトルコリラも膠着状態が続いているが、13日は米長期債利回りが大幅低下したことでユーロドルが一段高、ドル円が反落するなど全般的にドル安反応となったためにややドル安リラ高気配での推移となり、高値では8.09リラを付けて12日安値8.22リラからは上昇した。しかし4月5日高値8.07リラを超えるには至らずにいる。14日午前序盤は8.08リラへやや上昇継続気配となっている。
3月22日からの暴落で3月30日に8.45リラまで下落したところから4月2日に7.96リラへ揺れ返しの上昇となった後は、8.10リラ前後を上値抵抗線、8.20リラ前後を下値支持線としてレンジ相場が続いている。

イスタンブール100株価指数の4月13日は前日比0.18%高と小幅上昇。4月6日から12日まで5日間の続落となり、13日も安値を更新したが終盤の買い戻しでプラス圏で終えている。15日のトルコ中銀金融政策発表を控えて買い戻された状況のようだ。
トルコの10年債利回りの4月13日は前日とほぼ変わらずの17.46%で終了。3月31日に18.31%へ急伸した後は17.50%を中心としてほぼ横ばいの推移。
4月15日の中銀金融政策発表からトルコのトリプル安=リラ安・株安・債券安がさらに加速するのか、いったん持ち直しに入るのか注目されるが、前日の14日は総じて小動きにとどまる展開と思われる。

【トルコの鉱工業生産と小売は確り】

【トルコの鉱工業生産と小売は確り】

トルコ統計局が4月13日に発表した2月の鉱工業生産は前月比0.1%増で1月の0.9%増から鈍化した。前年同月比は8.8%増で1月の11.3%増から鈍化したが市場予想の8.9%増を上回った。鉱工業生産の前月比は昨年4月に30.6%減と悪化した後は回復、前年同月比も昨年4月の31.4%減の後は6月からプラスを維持しており、製造業関係の回復感は維持されている。
2月の小売売上高は前月比3.4%増となり1月の0.6%増から伸びが加速した。前年同月比も4.6%増となり1月の2.6%増から伸びが加速した。3月から4月にかけては感染拡大の第三波の影響も出てくることが懸念されるものの、昨年のコロナショック時からは回復した状況で落ち着いている。トルコ経済にとっては、インフレの加速と通貨暴落への不安が最大の問題ともいえる。リラ安が加速すれば通貨インフレが一段と進み消費の低迷を招くことも懸念される。

【トルコ中銀、政策金利は据え置き予想】

トルコ中銀は4月15日の金融政策決定会合で政策金利の週間レポレートを現行の19%に据え置くと市場は予想している。予想レンジとしては17%への利下げを見込むものもいるようだが、物価上昇率や中銀総裁更迭騒動によるリラ暴落の直後であり、新総裁も就任以来拙速な利下げはないと否定的な発言を繰り返しているので現状維持が無難と思われる。仮に利下げなら相当なサプライズとなってリラ暴落の再開が懸念されるが、エルドアン大統領による利下げ圧力もあり、今後の利下げへの含みを示すような声明や総裁発言になるようだと市場も利下げ拒否的なリラ売りへ向かう可能性もあると思われる。どこまで市場の信任を回復できるか新総裁が試されるところだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、13.40円を挟んだ持ち合い相場が続いているが、その中でも4月12日夕刻へ一段安してから戻したために13日午前時点では12日夕安値を割り込む場合は新たな弱気サイクル入りとするのを妥当とみて12日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとした。またトップ形成期は13日から15日朝にかけての間と想定し、12日夕安値13.26円割れからは弱気サイクル入りとして15日の日中から19日夕にかけての間への下落を想定するとした。
13日夜へ小反落したものの12日夕安値割れには至らずにその後は持ち直しているので15日夜から16日にかけての間への上昇継続余地ありとみるが、引き続き12日夕安値割れからは弱気サイクル入りとする。中銀金融政策発表に対する反応からの流れで次の方向性も決まると思われるので、14日の値動きについては一時的に上下へぶれても揺れ返しで元の水準に戻りやすいと思われる。

60分足の一目均衡表では13.40円を挟んだ膠着状態での推移のため遅行スパン及び先行スパンは実線との交錯を繰り返しており方向感に欠けるが、先行スパンを上回るうちは遅行スパン好転中の高値試し優先とし、先行スパンから転落した状況にあるところでは遅行スパン悪化の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は50ポイント割れを切り返しつつ60ポイント超えは売られる展開が続いている。15日夜の中銀金融政策発表を控えているので、それまでは50ポイント中心として前後10ポイント程度のレンジ内推移とみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、13.30円を下値支持線、13.50円を上値抵抗線とする。
(2)13.45円から13.50円にかけては戻り売りにつかまりやすいとみるが、13.40円以上を維持しての推移なら14日夜から15日の日中にかけては高値を試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)13.34円割れからは13.30円前後試しとみる。13.30円前後は買い戻されやすいとみるが、さらに続落の場合は13.26円前後試しへ下値目途を引き下げるが、13.28円以下は反騰警戒とみる。

【当面の主な予定】

4月15日
 17:00 3月 財政収支 (2月 231.7億リラ、予想 -530億リラ) 
 20:00 トルコ中銀 週間レポレート (現行 19.0%、予想 19.0%)
 20:00 トルコ中銀 翌日物貸出金利 (現行 20.50%)
 20:00 トルコ中銀 翌日物借入金利 (現行 17.50%)
 20:00 トルコ中銀 後期流動性貸出金利 (現行 23.50%)
 20:30 週次 外貨準備高 グロス (4/2時点 480.9億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 ネット (4/2時点 106.8億ドル) 
4月22日
 16:00 4月 消費者信頼感指数 (3月 86.7、予想 80.0)
 17:00 3月 観光客数 前年比 (3月 -68.96%)
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合・議事要旨


注:ポイント要約は編集部

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