トルコリラ円見通し 対ドルでのトルコリラはボックス圏で膠着、対円ではややジリ安基調(21/4/13)

4月7日以降の中心値は13.40円近辺にとどまっており終値ベースではほぼ横ばいの状況にある。

トルコリラ円見通し 対ドルでのトルコリラはボックス圏で膠着、対円ではややジリ安基調(21/4/13)

対ドルでのトルコリラはボックス圏で膠着、対円ではややジリ安基調

〇トルコリラ円、4/12は失業率・経常収支の発表後13.26まで値を下げたが深夜13.49まで戻す
〇4/7以降の中心値は13.40近辺にとどまり、終値ベースではほぼ横ばい
〇対ドル、8.22リラへ下落したものの買い戻され深夜8.09リラまで戻す
〇現状はおよそ0.10リラ幅にとどまった動き、膠着状態から抜け出せば大きなトレンドへ向かうか
〇昨日発表の失業率、感染拡大第三波の影響もあり悪化、経常収支は赤字幅拡大
〇15日のトルコ中銀金融政策発表、中銀総裁更迭後の最初の会合となり注目集まる
〇13.34以上での推移中は一段高余地あり、13.50超えからは13.55前後への上昇を想定する
〇13.34割れからは下向きとして、13.30前後試しとみる

【概況】

トルコリラ円は小動きが続いている。4月12日は13.49円から13.26円のレンジで、16時のトルコ失業率及び経常収支の発表後にいったん下落してこの日の安値となる13.26円まで下振れしたが売り一巡後は早々に買い戻され、反動で12日深夜には13.49円まで戻したものの9日夜高値と同値にとどまった。若干の上下のブレがあるものの、4月7日以降の中心値は13.40円近辺にとどまっており終値ベースではほぼ横ばいの状況にある。

対ドルでのトルコリラも膠着状態が続いており、12日は失業率などの発表直後に8.22リラへ下落したものの早々に買い戻されて深夜には8.09リラまで戻したが、13日早朝には4月3日以降の中心値である8.15リラ近辺へ戻っている。
3月22日からの暴落で3月30日に8.45リラまで下落したところから4月2日に7.96リラへ揺れ返しの上昇となった後は、8.10リラ前後を上値抵抗線、8.20リラ前後を下値支持線としてほぼ0.10リラ幅にとどまった動きとなっている。リラ暴落阻止のために為替の変動を抑えようと通貨当局が介入して相場が膠着状態に陥ったことが何度かあるが、現状においても当局による介入や規制の動きなのか、投資家の慎重姿勢によるものなのかは定かではないものの、わずかな値動きに抑えられた状況にある。しかし相場を抑え込むことには限界があり、いずれ膠着状態から抜け出せば大きなトレンドへと向かうものだ。

イスタンブール100株価指数の4月12日は前日比1.24%安と下落した。4月6日から5日間の続落であり、3月22日のリラ暴落により急落したところからいったん戻したものの、4月5日に戻り高値を付けてからは下落に転じており、終値ベースでは3月23日の1377.43ポイントに対して4月12日は1375.91ポイントで割り込んでいる。
トルコの10年債利回りの4月12日は17.48%で終了。3月22日暴落前の13.63%から3月30日には18.31%へ急伸した後は17.50%を中心としてほぼ横ばいの推移だが、対ドルでのトルコリラが凡そ0.10リラ幅での膠着状態にあるのと同様に動きが限定的となっている。
トルコのトリプル安=リラ安・株安・債券安は一服しているものの、この落ち着きもいつまでも続かないだろうと思われる。

【失業率悪化、経常赤字は拡大】

トルコ統計局が4月12日に発表した2月の失業率は13.4%となり1月の12.7%から悪化した。昨年6月に14.4%まで悪化した後はやや改善傾向にあったが、12月と1月が12.7%だったところからは感染拡大第三波の影響もあってやや悪化した状況だ。非農業部門の失業率は15.3%で1月の14.6%から悪化。若年層(16歳から24歳)の失業率は26.9%で1月の26.5%から悪化した。若年層の高失業率が改善傾向を見せずに悪化基調を続けており、2005年の現統計からは最悪の水準となっている。

対ドルでのトルコリラはボックス圏で膠着、対円ではややジリ安基調

トルコ中銀が発表した2月の経常収支は26.1億ドルの赤字となり1月の18.2億ドルの赤字から赤字幅が拡大し、市場予想の25.8億ドルの赤字幅を超えた。
これらの発表後にトルコリラはいったん対ドル及び対円で売られたが売り一巡からは早々に戻している。
4月13日夕刻には2月の鉱工業生産と小売売上高の発表、15日にはトルコ中銀の政策金利発表があり、中銀総裁更迭後の最初の会合のため、今後の金融政策スタンスに関する表現、先行きの利下げ可能性などについて市場の注目が集まる。大きく動くのは中銀の金融政策発表を見てからということになろうか。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月5日午前安値から5日夜高値へ小反発した後はジリ安の推移が続いたため、4月9日午前時点では5日夜高値を起点とした弱気サイクル入りとしたが、12日夕刻へ一段安してから戻しているため、12日夕安値を割り込む場合は新たな弱気サイクル入りとするのを妥当とみて12日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとする。トップ形成期は13日から15日朝にかけての間と想定されるのでまだ上昇余地ありとするが、12日夕安値13.26円割れからは弱気サイクル入りとして15日の日中から19日夕にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表ではややジリ安基調ながら13.40円を挟んだ膠着状態での推移のため遅行スパン及び先行スパンは実線との交錯を繰り返しており方向感に欠けるが、先行スパンを上回るうちは遅行スパン好転中の高値試し優先とし、先行スパンから転落した状況にあるところでは遅行スパン悪化の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は12日夕刻の下落時に20ポイント台まで低下した後は50ポイント台を回復している。50ポイント以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとするが、65ポイント以上は反落注意とし、45ポイント割れからは下げ再開とみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、13.30円を下値支持線、13.50円を上値抵抗線とする。
(2)13.34円以上での推移中は一段高余地ありとし、13.50円超えからは13.55円前後への上昇を想定する。13.55円以上は反落注意とするが、13.40円以上での推移なら14日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)13.34円割れからは下向きとして13.30円前後試しとみる。13.30円前後は買い戻されやすいとみるが、さらに続落の場合は13.26円前後試しへ下値目途を引き下げる。また13.34円以下での推移なら14日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

4月12日
 16:00 2月 失業率 (1月 12.2%、予想 12.5%)
 16:00 2月 経常収支 (1月 -18.7億ドル、予想 -27.0億ドル)
4月13日
 16:00 2月 鉱工業生産 前年比 (1月 11.4%、予想 8.9%)
 16:00 2月 鉱工業生産 前月比 (1月 1%)
 16:00 2月 小売売上高 前年比 (1月 2.0%、予想 3.6%)
 16:00 2月 小売売上高 前月比 (1月 0.3%、予想 1.8%)
 19:30 3月 自動車生産 前年比 (2月 -9.3%、予想 10.5%)

4月15日
 17:00 3月 財政収支 (2月 231.7億リラ、予想 -530億リラ) 
 20:00 トルコ中銀 週間レポレート (現行 19.0%、予想 19.0%)
 20:00 トルコ中銀 翌日物貸出金利 (現行 20.50%)
 20:00 トルコ中銀 翌日物借入金利 (現行 17.50%)
 20:00 トルコ中銀 後期流動性貸出金利 (現行 23.50%)
 20:30 週次 外貨準備高 グロス (4/2時点 480.9億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 ネット (4/2時点 106.8億ドル)

4月22日
 16:00 4月 消費者信頼感指数 (3月 86.7、予想 80.0)
 17:00 3月 観光客数 前年比 (3月 -68.96%)
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合・議事要旨


注:ポイント要約は編集部

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