ドル円見通し 週末の反騰続かず109.50円を割り込む
〇ドル円、4/12夜にかけてのドル安局面で109.23まで下落、その後も109.50を下回っての推移
〇4/8安値109.00割れを回避して持ち直しに入るのか、底割れからもう一段安へ進むのか試されるところ
〇米長期債利回りは下げ止まりからやや上昇、10年債・3年債入札は堅調、本日30年債入札予定
〇3月財政収支は悪化、前年同期比としては過去最大の赤字拡大
〇本日発表の米消費者物価指数に注目、市場予想では上昇の見込み
〇109.65以下での推移中は一段安警戒とし、109円割れからは108.50から108.00を目指すとみる
〇109.65超えからは上昇再開の可能性ありとみて、4/9夜高値109.95試しとみる
【概況】
ドル円は3月23日夜安値108.39円から3月31日昼高値110.96円まで上昇したところから上値が重くなり、4月5日深夜に一時110円割れへ失速、6日夜に再び110円を割り込んで109円台後半での持ち合いとなり、8日夜にかけての一段安で109.00円(ベンダーによっては108.99円)まで安値を切り下げた。9日夜にはいったん109.95円まで戻したものの110円には届かずに失速し、週明けの12日は夜にかけてのドル安局面で109.23円まで下落し、その後も109.50円を下回っての推移となっている。
3月31日高値から4月8日夜安値まで凡そ2円の下げ幅に対し、9日夜へ凡そ1円近くを戻したものの勢い付かずにいる。4月8日夜安値割れを回避して押し目形成から持ち直しに入れるのか、底割れからもう一段安へ進んで年初からの上昇に対する調整安を継続するのか試されるところだが、今晩の米消費者物価指数に対する市場反応が重要になってくると思われる。
【米長期債利回りは下げ止まりからやや上昇、10年債入札は堅調、財政収支は悪化】
4月12日は主要な米経済指標の発表がなく手掛かりに欠ける展開だったが、先週末に史上最高値を更新したNYダウは利益確定売り優勢の展開で前日比55.2ドル安と小幅下落、ハイテク中心のナスダック総合指数も同50.18ポイント安と小幅下落した。
米10年債利回りは3月30日の1.77%台から4月8日に1.61%まで低下した後は下げ渋りからやや戻し気味の推移だが、12日は1.64%から1.68%までのレンジ推移で前日比0.01%上昇の1.67%で終了。30年債利回りも0.01%上昇の2.34%だった。
米財務省が12日に実施した380億ドルの10年債入札は最高落札利回りが1.68%で応札倍率2.36倍、580億ドルの3年債入札は最高落札利回りが0.376%、応札倍率が2.32倍と堅調だった。このため米長期債利回りの週末からの上昇もやや抑えられた。米財務省は13日に30年債の240億ドル入札を予定、今週は総額で1200億ドルの入札が行われる。新型コロナ対策としての大規模経済政策や現金給付により年明けからは米国債の大量入札が繰り返されており、大量入札予定前には米長期債利回りの上昇が顕著になり、堅調な入札結果を見てやや落ち着くというパターンが繰り返されている。債券需給としては大量の供給により需給バランスが崩れて利回りの高騰を招くリスクを抱えつつじわじわと長期債利回り上昇が続くという流れだが、入札不調となれば長期債利回りの上昇が加速しかねない状況はまだ続く。
米財務省が12日に発表した3月の財政収支は6595億2900万ドル(約72兆円)の赤字となり前年同月の5.5倍に膨張した。新型コロナウイルス対策での現金給付等による歳出急増を反映しているが、2021会計年度(2020年10月から2021年9月期)の上半期累計では1兆7062億4500万ドルの赤字となり前年同期比としては過去最大の赤字拡大となっている。
【米消費者物価指数の発表に注目】
米ニューヨーク連銀が4月12日に発表した3月の消費者調査における1年先の期待インフレ率中央値は3.24%で2月の3.09%から上昇した。上昇は5か月連続で2014年4月の3.30%以来7年ぶりの高水準となった。
4月13日夜には米消費者物価指数の発表があるが、先週の米生産者物価上昇率が予想を上回ったこともあり、物価上昇=米長期債利回り再上昇への連想も強まる状況にある。3月の米消費者物価に対する市場の事前予想では前年同月比で2.5%となっており2月の1.7%から加速する見込み。コア指数では1.5%で2月の1.3%を上回る見通しだ。
先週発表された米3月生産者物価の前年同月比は全体で4.2%となり2月の2.8%から大幅上昇、コア指数でも3.1%となり2月の2.5%から大幅上昇した。生産者物価の上昇が徐々に消費者物価へ反映してくる流れと思われるが、コロナ不況で委縮した需要が急回復する中で供給体制とのタイムラグが需給ギャップにおけるボトルネックとなっていることが足元のインフレを加速させている。そのことは米連銀首脳も認識しておりあくまでも一時的なものとしてゼロ金利と量的金融緩和を継続するとしているのだが、インフレ率の上昇を長期債利回りも追いかけることになれば米10年債利回りもいずれ2%を超える水準へ上昇しても不思議ないところだ。
ドル円としては米長期債利回り上昇と同調した1月6日底からの上昇が一服して調整期に入っているところであり、米長期債利回りの再上昇から次の上昇期入りを伺うところにあると思われる。もう一段安へ調整が深まってからの出直りになるのか、現状で足場を固めて上昇再開へ入るのか、米消費者物価上昇率などへの反応で試されるところだ。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月8日夜安値から9日夜への反騰とその後の反落を踏まえ、4月8日夜安値を直近のボトムとし、9日夜高値で既にピークを付けて下落期に入っていると思われるが、8日夜安値とのダブル底形成にとどまって9日夜高値超えから反騰入りする可能性も併せ持っているところだ。
109.50円以下での推移中は下向きとし、8日夜安値割れからは13日夜から15日深夜にかけての間への下落を想定するが、8日夜安値割れ回避か、ないしは若干割り込んだ後の反騰により9日夜高値を上抜き返す場合は新たな上昇期入りとして14日夜から16日深夜にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では12日夜の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンから転落しているので、遅行スパン悪化中は一段安警戒とするが、先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開と仮定して遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は9日夜の上昇で70ポイントを超えたところから反落して50ポイント以下での推移が続いている。50ポイントを下回るか一時的に超えても維持できないうちは一段安警戒とするが、55ポイントを超えてその後も50ポイント以上での推移に入る場合は上昇再開の可能性ありとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4月8日夜安値109.00円を下値支持線、109.65円を上値抵抗線とする。
(2)109.65円以下での推移中は一段安警戒とし、109円割れからは108円台前半(108.50円から108.00円)を目指すとみる。108.25円以下は反騰注意とするが、109.50円を下回っての推移なら14日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)109.65円超えからは上昇再開の可能性ありとみて9日夜高値109.95円試しとし、高値更新からは110円中盤(110.30円から110.70円)を目指す流れへ向かうとみる。その場合は3月31日からの調整を消化しての上昇再開とみて先行きは3月31日高値110.96円超えを目指す流れと考える。
【当面の主な予定】
4/13(火)
タイ ソンクラーン(旧正月 4月15日まで)
未 定 (中) 3月 貿易収支・米ドル建て (2月 378.8億ドル、予想 520.0億ドル)
未 定 (中) 3月 貿易収支・人民元建て (2月 2472.8億元、予想 3278.0億元)
10:30 (豪) 3月 NAB企業景況感指数 (2月 15)
10:30 (豪) 3月 NAB企業信頼感指数 (2月 16)
15:00 (英) 2月 月次GDP 前月比 (1月 -2.9%、予想 0.5%)
15:00 (英) 2月 鉱工業生産指数 前月比 (1月 -1.5%、予想 0.5%)
15:00 (英) 2月 鉱工業生産指数 前年同月比 (1月 -4.9%、予想 -4.5%)
15:00 (英) 2月 製造業生産指数 前月比 (1月 -2.3%、予想 0.5%)
15:00 (英) 2月 貿易収支・物品 (1月 -98.26億ポンド、予想 -105.00億ポンド)
15:00 (英) 2月 貿易収支・全体 (1月 -16.30億ポンド、予想 -24.00億ポンド)
18:00 (独) 4月 ZEW景況感 (3月 76.6、予想 79.5)
18:00 (欧) 4月 ZEW景況感 (3月 74.0)
21:30 (米) 3月 消費者物価指数 前月比 (2月 0.4%、予想 0.5%)
21:30 (米) 3月 消費者物価指数 前年同月比 (2月 1.7%、予想 2.5%)
21:30 (米) 3月 消費者物価コア指数 前月比 (2月 0.1%、予想 0.2%)
21:30 (米) 3月 消費者物価コア指数 前年同月比 (2月 1.3%、予想 1.5%)
25:00 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、講演
25:00 (米) デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、FRBイベント参加
26:00 (米) 米財務省30年債入札
4/14(水)
08:50 (日) 2月 機械受注 前月比 (1月 -4.5%、予想 2.8%)
08:50 (日) 2月 機械受注 前年同月比 (1月 1.5%、予想 2.4%)
09:30 (豪) 4月 ウエストパック消費者信頼感指数 (3月 111.8、予想 113.0)
11:00 (NZ) NZ中銀(NZ準備銀行、RBNZ) 政策金利 (現行 0.25%、予想 0.25%)
18:00 (欧) 2月 鉱工業生産 前月比 (1月 0.8%、予想 -1.2%)
18:00 (欧) 2月 鉱工業生産 前年同月比 (1月 0.1%、予想 -1.4%)
20:45 (欧) パネッタECB理事、欧州議会出席
21:30 (米) 3月 輸入物価指数 前月比 (2月 1.3%、予想 0.9%)
21:30 (米) 3月 輸出物価指数 前月比 (2月 1.6%、予想 1.0%)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
23:30 (英) ハスケル英中銀委員、講演
25:00 (米) パウエルFRB議長、講演
26:00 (欧) シュナーベルECB理事、講演
27:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
27:30 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、討論会参加
28:00 (米) クラリダFRB副議長、イベント参加
29:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、イベント参加
31:05 (米) カプラン・ダラス連銀総裁、経済問題討論会参加
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
来週の為替相場見通し『トランプトレードと円キャリーの組み合わせがドル円を下支え』(11/23朝)
ドル円は、今週前半にかけて、一時153.28まで急落する場面が見られましたが、週末にかけては一転154円台後半へと持ち直す動きとなりました。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.11.22
東京市場のドルは154円台後半で推移、日銀による追加利上げ観測が円安のブレーキ役に(24/11/22)
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、日本株のしっかりとした推移を材料にじり高の展開となり154円台後半で推移した。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2024.11.22
ドル円 値動きそのものは激しいが、結果レンジ内か(11/22夕)
東京市場はドルが小高い。やや激しめの乱高下をたどるなか、最終的にドルは高値引け。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2021.04.13
ドル円、上値の重い展開が継続。本日は米消費者物価指数がメインイベント(4/13朝)
週明け12日(月)の外国為替市場でドル円は下落。
-
みんなのFX トレイダーズ証券
みんなのFXはスワップもスプレッドも高水準!口座開設とお取引で最大1,010,000円キャッシュバックキャンペーン中!
取引は1,000通貨からOK、手数料も無料!eKYCで最短1時間後に取引可能
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。