3月31日高値以降の安値を更新、調整期続く
〇ドル円、13日午後に109.75を付けるもその後の株安で米長期債利回りが低下し14日朝に109円割れに
〇13日の米10年債利回りは前日比0.05%低下の1.62%、昨年3月から上昇基調を続いたが低下に転じる
〇しかし高止まりの水準にある為再上昇の可能性あり、だが当面は頭打ちからの低下=ドル安円高反応か
〇109.50以下で推移中は一段安警戒、108.50前後試しを想定
〇109.50を超える場合反騰入りの可能性あり、109.95試しへ
【概況】
ドル円は4月8日夜に109円割れを試したところから9日夜に109.95円まで1円近い戻しを入れたが110円には届かず、3月31日からの約2円幅の下落に対して半値を戻したところから再び下落基調に陥っている。4月12日夜に109.20円台へ下落し後の戻りは13日午後高値109.75円にとどまり9日夜高値から戻り高値は切り下がりに終わり、13日夜の米消費者物価上昇率が予想に近くサプライズ無しだったことや米J&J社ワクチンの一時使用停止報道等による株安で米長期債利回りが低下すると12日夜安値を割り込み、14日朝には109円割れまで続落して8日夜安値も割り込んできている。
4月9日夜の戻り高値を起点として60分足レベルでは二段下げの様相であり、3月31日高値を起点とした日足レベルの下落も4月8日夜安値までを一段目とすれば4月9日夜高値を起点として二段目の下落期に入ってきた印象だ。
【米消費者物価上昇続くがサプライズ無しで長期債利回り低下・ドル高反応】
4月13日の米10年債利回りは前日比0.05%低下の1.62%で終了。昨年3月の0.31%及び8月の0.50%をダブル底として上昇基調を継続してきたが、3月30日に1.77%台へ上昇したところで当面のピークを付けて低下に転じている。この低下を見てドル円も4月8日夜へ下落した。米10年債利回りは4月8日に1.61%へ低下したところから再上昇気配となって4月13日午後には1.70%まで上昇したため、ドル円も4月12日夜の下落時は8日夜安値から底上げとなって13日午後に9日夜高値を試す上昇となったのだが、米10年債利回りは午後から下落基調に転じ始めたためにドル円は夕刻に失速した。
21時半に発表された米消費者物価は予想を若干上回る上昇の加速を示したものの市場にとってのサプライズ感はなく、織り込み済の反応として米10年債利回りは1.65%近辺へ低下、その後もNYダウの下落を見ながら14日早朝には1.61%台まで下げた。為替市場は米10年債利回り動向を見ながらの展開となり、ユーロドルは1.190ドルを挟んだ高値圏持ち合いでの推移中だったところ、米消費者物価発表直後からの反騰で4月8日深夜高値を超える一段高となり4月1日安値以降の高値を更新、ユーロ高ドル安基調の継続を示した。ドル円も米消費者物価発表を前後して若干乱高下したところから一段安へ向かい、109円割れへ進んだ。
この日は米30年債の240億ドルの入札があったものの堅調な応札となり米30年債利回りは前日比0.04%低下の2.30%で終了している。米政権による大規模経済対策と今後のインフラ投資計画等による大量国債発行が債券需給を弛めるとして債券売り・長期債利回り上昇を助長してきたが、過度の需給緩和懸念による利回り上昇に対して一服感が出ている印象だ。
米保健当局が米ジョンソン・エンド・ジョンソン製の新型コロナウイルスワクチンの接種後に深刻な血栓症を発症した事例があるとして使用を一時中止する勧告を表明したことはワクチン普及による景気回復期待に水を差すものとしてNYダウは前日比68.13ドル安と下落したが発表当初の売りを消化した後は確りして下げ幅も小幅にとどまった印象だ。ナスダック総合指数はJ&Jのワクチン問題よりも米長期債利回り低下を歓迎して前日比で1%超の上昇となっている。
米労働省が発表した3月の消費者物価指数は前月比0.6%上昇で2月の0.4%上昇から加速して市場予想の0.5%を上回った。前年同月比も2.6%上昇となり2月の1.7%から加速、市場予想の2.5%を上回り2018年8月の2.7%以来の伸び率となった。変動の大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数では前月比が0.3%上昇で2月の0.1%及び市場予想の0.2%を上回り、前年同月比は1.6%上昇で2月の1.3%及び市場予想の1.5%を上回った。
景気回復初期における需給ギャップによる物価上昇であり、先週発表の3月生産者物価上昇率では全体の前年同月比が4.2%上昇、コア指数でも3.1%上昇とそれぞれ2月の2.8%及び2.5%を大幅に上回ったことがサプライズ感を抱かせたが、今回の消費者物価上昇率については予想を若干超える程度だったことでサプライズ感はないとみて米長期債利回りにとっては一段と低下するきっかけとなった。
しかしまだ米10年債利回りは高止まりの水準にある。3月24日に一時1.60%を割り込んだところから再上昇して3月30日の1.77%台へ上昇した経緯もある。1.50%台前半へ低下してもそこから再上昇すれば先行きで3月30日のピークを超えてくることも想定される。ただ、当面は米長期債利回りの頭打ちからの低下=ドル安円高反応として、ドル円は1月6日からの3か月間の上昇一服で調整安の落ち着きどころを探る展開ということだろう。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月8日夜安値から9日夜への反騰とその後の反落を踏まえ、13日朝時点では4月8日夜安値を直近のボトムとし、9日夜高値で既にピークを付けて下落期に入っているとし、8日夜安値割れからは13日夜から15日深夜にかけての間への下落を想定するとした。
4月14日朝には8日夜安値を割り込んでいるので安値試しの継続中とし、14日の日中から15日にかけてはまだ一段安余地ありとみる。強気転換は109.50円を超える反騰からとする。
60分足の一目均衡表では13日夜の下落で遅行スパンが再び悪化、先行スパンからも転落しているので、遅行スパン悪化中は一段安警戒とし、強気転換は先行スパンを上抜き返すところからとする。
60分足の相対力指数は30ポイント割れまで低下しているが、相場が安値を切り下げる中で指数のボトムが切り上がる強気逆行はまだ見られないので一段安余地ありとみる。仮に小反発後に安値を更新したところで指数のボトムが切り上がるなら強気逆行の可能性ありとして反騰入り注意とする。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、108.50円を下値支持線、109.50円を上値抵抗線とする。
(2)109.50円以下での推移中は一段安警戒として108.50円前後試しを想定する。108.50円以下は反騰注意とするが、下げ足が早まる場合は108円台序盤(108.30円から108.00円)を目指すとみる。また109.25円以下での推移なら15日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)109.30円から109.50円手前は戻り売りにつかまりやすいと見る。109.50円を超える場合は反騰入りの可能性ありとみて9日夜高値109.95円試しへ向かうとみるが、そのためには米長期債利回りの再上昇とドル高再開が必要と思われる。
※ 中勢としては、1月6日からの上昇幅に対する3分の1押し108.16円前後が当面の下値目途と思われるが、3分の1押しラインを割り込む場合は107.50円前後、次いで半値押しの106.76円前後へ下値目途が切り下がる可能性も多少あるとみる。4月9日夜高値超えからは調整終了による上昇再開の可能性を優先する。
【当面の主な予定】
4/14(水)
09:30 (豪) 4月 ウエストパック消費者信頼感指数 (3月 111.8、予想 113.0)
11:00 (NZ) NZ中銀(NZ準備銀行、RBNZ) 政策金利 (現行 0.25%、予想 0.25%)
18:00 (欧) 2月 鉱工業生産 前月比 (1月 0.8%、予想 -1.1%)
18:00 (欧) 2月 鉱工業生産 前年同月比 (1月 0.1%、予想 -0.9%)
20:45 (欧) パネッタECB理事、欧州議会出席
21:30 (米) 3月 輸入物価指数 前月比 (2月 1.3%、予想 1.0%)
21:30 (米) 3月 輸出物価指数 前月比 (2月 1.6%、予想 1.0%)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
23:30 (英) ハスケル英中銀委員、講演
25:00 (米) パウエルFRB議長、講演
26:00 (欧) シュナーベルECB理事、講演
27:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
27:30 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、討論会参加
28:00 (米) クラリダFRB副議長、イベント参加
29:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、イベント参加
31:05 (米) カプラン・ダラス連銀総裁、経済問題討論会参加
4/15(木)
10:30 (豪) 3月 新規雇用者数 (2月 8.87万人、予想 3.50万人)
10:30 (豪) 3月 失業率 (2月 5.8%、予想 5.7%)
15:00 (独) 3月 消費者物価指数改定値 前月比 (速報 0.5%、予想 0.5%)
15:00 (独) 3月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (速報 1.7%、予想 1.7%)
20:00 (ト) トルコ中銀、政策金利 (現行 19.00%、予想 19.00%)
21:30 (米) 週間 新規失業保険申請件数 (前週 74.4万件、予想 70.0万件)
21:30 (米) 週間 失業保険継続受給者数 「前週 373.4万人、予想 370.0万人)
21:30 (米) 4月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (3月 51.8、予想 40.0)
21:30 (米) 4月 ニューヨーク連銀製造業景気指数 (3月 17.4、予想 18.5)
21:30 (米) 3月 小売売上高 前月比 (2月 -3.0%、予想 5.5%)
21:30 (米) 3月 小売売上高・除自動車 前月比 (2月 -2.7%、予想 4.8%)
22:15 (米) 3月 鉱工業生産 前月比 (2月 -2.2%、予想 2.6%)
22:15 (米) 3月 設備稼働率 (2月 73.8%、予想 75.6%)
23:00 (米) 2月 企業在庫 前月比 (1月 0.3%、予想 0.5%)
23:00 (米) 4月 NAHB住宅市場指数 (3月 82、予想 84)
24:30 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、討論会参加
27:00 (米) デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、講演
28:45 (米) クラリダFRB副議長、シャドウオープンマーケット委員会出席
29:00 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、講演
29:00 (米) 2月 対米証券投資・全体 (1月 1063億ドル)
29:00 (米) 2月 対米証券投資・短期債除く (1月 908億ドル)
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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