トレンドはドル高へ大転換も今週はもみあい
〇先週のドル円、米金利高と期末実需で一貫してドル高・円安の動き、大きな抵抗なく110円超えを示現
〇長期的には更なるドル高方向への動き、112円台前半と114円台半ばが今後のターゲット
〇短期的には調整のドル売りにも気を付ける必要はありそう
〇今週は今日までがイースター休暇、本格的に動くのは火曜以降に
〇今週は大台110.00レベルをサポートに、110.95レベルをレジスタンスとする流れ
今週の週間見通し
先週のドル円は月曜に109円台前半へとわずかに押した動きがあったのみで、その後は期末31日の東京昼過ぎまで一貫してドル高・円安の動きが続きました。材料としてはこれまで同様に米金利が高く推移したこと、期末の実需がドル買いであったことがありますが、110円の大台をこれといった抵抗なく上抜けし、テクニカルに110円を超えたという点は大きかったと思います。
先週の週報では110円に2017年高値からのレジスタンスラインが位置していることから、いったんは反落するという見通しでいましたが、あっさりと3月月足終値で上抜けたことから1日のドル円コラムで長期レジスタンスを上抜けたことを書きましたが、おそらく多くの市場参加者が同様の見方をしていたと考えられ、110円の大台上抜けは大きな意味合いを持っていたと言えます。
今週はテクニカルを中心にポジションについても考えていくこととします。
既に109円台前半で2015年高値からのレジスタンスラインを上抜けたことで地合いは変化していましたが、110円のレジスタンスも抜けたことで長期的なドル安・円高トレンドが終わり、更なるドル高方向への動きを考えざるを得ないというのが長期テクニカルの観点です。今一度月足チャートで次の節目を見てみます。
ここから上のターゲットとしては、2020年高値の112.21、2019年高値の112.39、2018年高値の114.54とこれまで高値を切り下げる動きをしてきただけあって、節目となる水準も多い状況です。長期的には112円台前半と114円台半ばが今後のターゲットになると見ておいてよいでしょう。
ただ、3月に入ってからのドル高・円安のスピードが速かったこともあってポジションもかなりのペースで円売りに傾いています。次のチャートのサブチャートに示されるヒストグラムはシカゴの投機筋の円売りポジションで、世界的な為替ポジションの縮図と考えられるものです。
0ラインから上側が円売りポジションとなりますが、1月中旬の円買いポジションピーク(50,520枚、1枚は1250万円で約11.4万ドル)に円買いポジションは減少し、3月中旬(3月16日時点、19日発表)には大きく円売りに転換しました。その後も円売りは増加し、2日に発表された3月30日時点のポジションは59,481枚とコロナショック前のドル高の枚数を超え、2019年5月以来の円売りとなっています。
つまり短期間に急速に円売りポジションが膨らみ、しかも長期的テクニカルでもドル高・円安を示しているということから、おそらくは市場参加者の10人のうち9人はドル高を見ているのではないかということです。まだ全員がドル高を見ているとまでは行っていないと思いますが、かなり見方が傾いてきていることは事実で、短期的には調整のドル売りにも気を付ける必要はありそうだと言えるでしょう。
今週は今日までがイースター休暇で本格的に動くのは火曜以降になると思いますが、連日経済指標等のイベントは多いものの重要度の高いものは少ないため、実需と大口投機筋の動きが今週も重要となってくると考えられます。現在の水準から見ると既に110円の大台割れは遠ざかってきていると言えますが、日足チャートもご覧ください。
ドル円(日足)チャート
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
110円に赤の水平線を引いてありますが、これは月足のレジスタンスでもあり短期的にはサポートとなる水準です。いっぽう上値については2月23日安値を起点とした上昇N波動を考えると61.8%エクスパンションが111.14となり現時点でのターゲット兼レジスタンスです。
しかし、先週高値で同水準を試しきれなかったことから先週高値110.97が最初のレジスタンスとなります。上述の通りポジション的な大きな変化もあり、短期的には横方向のもみあいを経てから次の動きが出てくるという見方をしています。
今週は大台110.00レベルをサポートに、110.95レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2021年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。
4月5日(月)
**:** 豪州、欧州、香港・中国市場休場
**:** 豪州市場冬時間
16:00 トルコ3月CPI
22:45 米国3月サービス業PMI
23:00 米国3月ISM非製造業指数
23:00 米国2月製造業新規受注
4月6日(火)
**:** 香港市場休場
10:45 中国3月MarkItサービス業PMI
13:30 豪中銀政策金利発表
18:00 ユーロ圏2月失業率
4月7日(水)
16:50 フランス3月サービス業PMI
16:55 ドイツ3月サービス業PMI
17:00 ユーロ圏3月サービス業PMI
17:30 英国3月サービス業PMI
21:30 米国2月貿易収支
22:00 シカゴ連銀総裁講演
23:30 週間原油在庫統計
24:00 (ダラス連銀総裁講演)
27:00 FOMC議事録公表
**:** G20(〜8日)
4月8日(木)
08:01 英国3月住宅価格
08:50 本邦2月貿易収支(国際収支)
10:00 NZ4月企業信頼感
15:00 ドイツ2月製造業新規受注
15:45 フランス2月貿易収支
17:30 英国3月建設業PMI
18:00 ユーロ圏2月PPI
21:30 米国新規失業保険申請件数
24:00 (セントルイス連銀総裁講演)
4月9日(金)
10:30 中国3月CPI・PPI
15:00 ドイツ2月貿易収支
15:45 フランス2月鉱工業生産
21:30 米国3月PPI
23:00 米国2月卸売売上高・在庫
**:** IMF総会(〜11日)
前週の主要レート(週間レンジ)
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
3月29日(月)
週明け早朝から買いが先行したものの金曜高値は越えられず、実需のドル売りと上値の重たい株価の動きもあって東京後場には109.37レベルの安値をつけました。その後は一貫してドルがじり高の展開を辿り米金利上昇とともに引け間際には109.85レベルと金曜高値に並んで高値圏での引けとなりました。
3月30日(火)
ドル円は前日に続いてドル高の流れが続き、東京後場には米金利が年初来の水準を上抜いたことをきっかけにドル売りオーダーをこなしながら110円の大台をあっさりと上抜け。海外市場に移ってからも達成感が出ること無く、NY市場前場には110.43レベルの高値をつけました。引けにかけても調整らしい調整は無いままドル高地合いで引けました。
3月31日(水)
ドル円は期末もドル高が進みました。東京市場では仲値に向けて実需のドル買い、その後も東京昼頃までドル買いが強く一時110.97レベルと111円目前の水準まで上昇。その後欧州市場序盤にユーロ買い戻しとともにドル売りが入り、海外市場ではユーロドルとドルの動きで歩調を揃え110円台半ばから後半で上下しながら、もみあいのまま引けました。
4月1日(木)
新年度初日のドル円は小動き、110円台前半の買いと110円台後半の売りに挟まれて横方向のもみあいに終始しました。
4月2日(金)
イースター休暇で欧州市場が休場となりNY市場では雇用統計が発表されることもあって東京市場では小動き。欧州市場序盤にポジション調整と思われる売りに110.37レベルまで押したものの勢いも無く、110.50/55水準で雇用統計待ち。雇用統計の結果は予想よりもかなり強く110.75レベルへと日中高値を更新し、その後も底堅い地合いでの引けとなりました。
ディスクレーマー
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オーダー/ポジション状況
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