先週後半の調整を挟みユーロ安再開へ
〇先週のユーロ、安値1.1705、月末欧州市場でポンド買いと月末実需のユーロ買いが加わり反転上昇
〇米雇用統計前には週初の水準まで戻すも雇用統計後のドル買いの動きから反落し下げる形で週を終わる
〇イースター休暇により欧州勢の市場復帰は火曜からで今週は重要度の高いイベントも少ない
〇そのため中期的なユーロ安・ドル高トレンドの再開か短期的な買戻しが続くのか見極める必要性あり
〇今週は1.1680レベルをサポートに、1.1800レベルをレジスタンスとユーロ安トレンドへと回帰する動き
今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロは、月末東京前場まではドル円がリードするドル買いの動きとなり1.1705レベルの安値をつけました。月末の欧州市場ではまずポンド買い、その後月末実需のユーロ買いも加わり反転上昇、金曜の米国雇用統計前にはほぼ週初の水準まで戻していましたが、雇用統計後のドル買いの動きから反落しやや下げる動きで一週間を終わりました。
しかし、金曜から本日まで欧州はイースター休暇で休みとなることもあって、木曜NY市場以降は動意薄の状況が続き、ユーロドルの週間レンジも89pipsに留まり比較的静かな値動きの一週間となっていました。今週も欧州勢の市場復帰は火曜からとなりますし、今週はイベントも重要度の高いものが少ないため、中期的なユーロ安・ドル高トレンドが再開するのか、短期的な買い戻しが続くのかを火曜以降に見極めてからでないと動きにくそうです。
ドル円の週報でもシカゴの通貨先物ポジションを確認しましたので、今週はユーロのポジションも見ておきましょう。
ドル円のように極端な変化はありませんが、年初から着実に買いポジションが減っている様子がわかります。1月最終週には165,344枚(1枚12.5万ユーロ)あった買い持ちが先週30日時点では73,739枚の買い持ちへと半減以下のサイズになっていて、それまでのユーロの下げと一致しています。
ここからの動きも4月から始まった緊急プログラムによる債券購入の加速などを考えると、これまでのユーロ買いポジションを落としていく動きが継続する可能性が高そうですし、ドル円も110円の大台を超えたことから長期的トレンドがドル買いへと転換したことを考えると、ユーロドルにおいてもユーロ安の流れが継続しやすいのではないかと考えることができそうです。
テクニカルに日足チャートも見てみましょう。
昨年11月安値と今年1月高値との78.6%(61.8%の平方根)押しが1.1761(赤のターゲット)は先々週、1月高値からの逆N波動を考えた場合の127.2%(161.8%の平方根)エクスパンションが1.1738(ピンクのターゲット)は先週到達し目先のターゲットを達成したことが先週後半の調整による買い戻しと見られる理由です。
しかし、2月高値からのレジスタンスと2月17日安値からのラインで構成される下降ウェッジの中での動きが継続中で、やや角度が急ではあるもののこのウェッジを基本に考えるとよさそうです。現在レジスタンス側は1.1800レベルにありますが、下側はまだ距離があり、まずは先週安値をトライしに行く展開を考えてみたいところです。またコラムで見るポンドドルのチャートも上値が重く、このことも欧州通貨が全般に上値が重くなるという見方の1要因です。
今週もテクニカルな観点から1.1680レベルをサポートに、1.1800レベルをレジスタンスとユーロ安トレンドへと回帰する動きを見ておきます。
今週のコラム
今週はポンドドルのチャートを見てみます。
ポンドドルは2月高値からは下げて来ていたものの3月22日までは昨年11月安値からのサポートライン(ピンクの太線)の上で推移していました。しかし3月23日にサポートラインを下抜け、その後の買い戻しでは抜けたサポートがレジスタンスとなっています。
ここからの動きを2月高値からの下降ウェッジ(ピンクの細線)の中で考えることは既に上限に達しているため難しそうですが、現在1.38台後半に位置するかつてのサポートラインが引き続きレジスタンスとして効いてくるでしょうから、ユーロドルとともに上値の重たい展開になりやすいという見方をしておこうと思います。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。
4月5日(月)
**:** 欧州市場休場
4月6日(火)
18:00 ユーロ圏2月失業率
4月7日(水)
16:50 フランス3月サービス業PMI
16:55 ドイツ3月サービス業PMI
17:00 ユーロ圏3月サービス業PMI
17:30 英国3月サービス業PMI
4月8日(木)
08:01 英国3月住宅価格
15:00 ドイツ2月製造業新規受注
15:45 フランス2月貿易収支
17:30 英国3月建設業PMI
18:00 ユーロ圏2月PPI
4月9日(金)
15:00 ドイツ2月貿易収支
15:45 フランス2月鉱工業生産
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
3月29日(月)
ユーロドルは終日1.17台後半の狭いレンジの中で方向感が無い状態が続きました。ただ、米金利上昇によるドル買いの影響もあり、どちらかというとユーロの上値が重たい流れとなっていました。
3月30日(火)
ユーロドルはドル円同様基本的にドル高(ユーロ安)の1日となり、東京市場後場までは動きが鈍かったものの、ドル円が110円を上抜ける動きとともにユーロ売りが強まりました。NY市場前場には1.1711レベルの安値をつけ、その後の戻りも鈍いままの引けとなりました。
3月31日(水)
ユーロドルは東京市場ではドル円の動きに沿ってややドル高(ユーロ安)の動きとなりましたが安値は1.1704レベルまで。欧州市場に入ってからはポンド買いとともにユーロでも買い戻しが目立ち、NY前場には月末実需のユーロ買いも重なって1.1760レベルまで買われた後に、引けにかけては1.17台前半へ押して引けました。
4月1日(木)
ユーロドルは東京市場では動きが鈍かったものの、欧州市場に入りユーロが対ドルだけでなく主要通貨に対して買いが強まりました。その後も米金利低下の動きが対ユーロでドル売りが目立つ動きとなりユーロドルは1.1780レベルまで上昇し高値引けとなりました。
4月2日(金)
ユーロドルは東京市場では動かず、欧州市場序盤にドル円のドル売りとともに若干ユーロ買いとなりましたが、高値は1.1787レベルまでで動きは鈍いままでのNY市場入り。強い雇用統計に反応したドル買いの動きから1.1749レベルへと売られ、若干戻しての引けとなりました。
ディスクレーマー
アセンダント社が提供する本レポートは一般に公開されている情報に基づいて記述されておりますが、その内容の正確さや完全さを保証するものではありません。また、使用されている為替レートは実際の取引レートを提示しているものでもありません。記述されている意見ならびに予想は分析時点のデータを使ったものであり、予告なしに変更する場合もあります。本レポートはあくまでも参考情報であり、アセンダント社および二次的に配信を行う会社は、為替やいかなる金融商品の売買を勧めるものではありません。取引を行う際はリスクを熟知した上、完全なる自己責任において行ってください。アセンダント社および二次的に配信を行う会社は、本レポートの利用あるいは取引により生ずるいかなる損害の責任を負うものではありません。なお、許可無く当レポートの全部もしくは一部の転送、複製、転用、検索可能システムへの保存はご遠慮ください。
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
南アフリカランド(ZAR)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
南アランド円週報:『約1カ月ぶり安値を更新するなど上値の重い展開が継続中』(11/23朝)
南アランドの対円相場は、11/7に記録した約4ヵ月ぶり高値8.86円をトップに反落に転じると、今週前半にかけて、一時8.44円まで下落しました。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
トルコリラ円週報:『トルコ中銀は政策金利の据え置きを決定。一巡後の反発に期待』(11/23朝)
トルコリラの対円相場は、9/16に記録した史上最安値4.10円をボトムに切り返すと、11/15にかけて、約3カ月半ぶり高値4.56円(8/1以来の高値圏)まで上昇しました。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
来週の為替相場見通し『トランプトレードと円キャリーの組み合わせがドル円を下支え』(11/23朝)
ドル円は、今週前半にかけて、一時153.28まで急落する場面が見られましたが、週末にかけては一転154円台後半へと持ち直す動きとなりました。
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。