ドル続伸への期待強い、111円台乗せなるか
〇ドル円、日中高値110.95まで値を上げた後も高値圏で推移、16時現在110.70前後で欧米市場を迎える
〇中国が香港の選挙制度改正計画を承認、各国から批判コメントが相次ぎ米中の対立激化に警戒
〇バイデン米大統領が発表する「約2兆ドル規模の雇用インフラ支出計画」要注視
〇本日発表の米3月ADP雇用統計にも注意、内容によっては波乱要因になる可能性も
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジ110.10-111.10
<< 東京市場の動き >>
31日の東京市場はドルが大きく続伸。米長期金利の上昇もあり、一時111円近くまでドル高・円安が進行していた。
ドル/円は110.30-35円で寄り付いたのち、しばらくは冴えない。110.25-40円といったレンジ取引をたどるも、上抜けするとそのまま一気に日中高値である110.95-00円まで値を上げている。111円突破はならなかったが、その後もドルは高値圏で推移。16時現在では110.70円前後で推移し、欧米市場を迎えていた。
なお、ドルは対円以外でも堅調かつ、円は対ドル以外でも弱く全面安の様相。そうしたなか、ユーロ/ドルは一時1.17ドル割れをうかがう様相となり、年初来安値(ドルの同高値)をまたもや更新している。
一方、材料的に注視されていたものは、「米ヘッジファンド破綻問題」と「中国情勢」について。
前者は、米ヘッジファンドのアーケゴス破綻が、クレディスイスと野村ホールディングス以外にも多額の損失をもたらす可能性が取り沙汰されていた。たとえば、三菱UFJ証券ホールディングスも明言は避けながら、「米顧客との取引で多額の損害が生じ得る事案が発生した」と発表している。まだ全容が解明されていない状況下、損失などのさらなる広がりも懸念されており、状況次第で市場の「安全資産志向」が強まる可能性も否定できない。
対して後者は、昨30日に中国の全人民(国会に相当)常務委員会が、香港の選挙制度改正計画を承認。それにより反体制派や民主派を抑え込むことが容易となった。そうしたなか、日本の吉田外務省報道官が「中国の香港選挙変更、看過できない」と発言、米国務省もほぼ同様の見解を示すなど、各国から批判コメントが相次いでいる。米中の対立激化などに警戒したい。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円は、昨日東京時間で心理的なフシ目である110円を突破したあとのドル高進行が早い。前述したように、本日東京では一時111円に接近する局面も観測されていた。ポジションの偏りだけは気掛かりだが、昨日もレポートしたようにチャート的には110円台にそれほど強い抵抗がなく、次なる明確なレジスタンスは111.70円レベルだ。さすがにやや遠い存在だと考えていたら、すでにそのレベルまで1円もない。予想以上に早いタイミングで、到達する可能性を否定できないだろう。
年明けから3ヵ月、上昇幅が8円を超えてきたドル高・円安の継続性が注視されている。一部市場筋によると、本日は3月期末最終日で、明日からの新年度入りをにらんだリバランス関連のオーダーも観測されていたという。月末・期末特有の駆け込みフローなどとあわせ、このあとも引き続き需給要因には要注意。なお、それ以外、材料的にはバイデン米大統領が発表されるといわれる「約2兆ドル規模の雇用インフラ支出計画」を注視している向きが少なくないようだ。
テクニカルに見た場合、ドル全面高が続いており、対円では111円手前まで一気に値を上げてきた。わずか一日で1円近い上昇になる。先でも指摘したように、ドル/円の強い次の抵抗は111.70円レベルで、少し遠い気もするが、それでもすでに1円もない。ひょっとすると今日、明日にでも到達あるいは突破する可能性も否定できないようだ。
ただし、改めて指摘するまでもなく、ドルが買われ過ぎの域に到達していることは間違いないことから、調整の動きにも十分な注意を払いたい。
材料的に見た場合、中長期的には領有権をめぐる周辺国との対立や人権問題など話題に事欠かない「中国情勢」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「米露が冷戦への逆行懸念」、「新型コロナウイルス再拡大と変異種の発生、ワクチン開発・接種」、「バイデン米大統領による政権運営」−−などが注視されている。
一方、本日の新規材料としては、3月のADP雇用統計や同シカゴ購買部協会景気指数といった米経済指標が発表される予定となっている。週末に注目の3月の米雇用統計発表が予定されるなか、その前段階としてADP雇用統計に対する関心も高く、内容次第では波乱要因になりかねない。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは110.10-111.10円。上方向は、本日東京高値を含めた111円レベルで、それを超えると次の強い抵抗である111.70円レベルがいよいよ視界内に。
対するドル安・円高方向は、110円台にもいくつか弱いサポートは散見されるが、強く意識されているものはやはり110円レベル。昨日上抜けしたのち、一度も割り込まずにいる。ドルの下値は堅そうだが、110円をしっかり下回ると、意外な深押しとなる可能性も考えられる。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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